七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

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『イリュージョニスト』 -L' ILLUSIONNISTE-  於 シネマート六本木 スクリーン2

ジャック・タチが遺した脚本を基にシルヴァン・ショメが監督。

老手品師と貧しい少女との交流を描く物語。


illu


まず映像が素晴らしい。 不思議な画風で水彩画のような柔らかさが印象的。 それでいて動きがとても滑らか。
人はしなやかに動き、機関車は滑るように走り、車はサスまで細やかに動く。
レトロでノスタルジックな画風と精緻な動きのギャップに違和感すら覚えるほどだ。

ストーリーは'50年代のパリから始まる。 手品師など芸人稼業は斜陽の時代。
パリで食い詰めた老手品師は旅芸人となり、スコットランドの離島で貧しい少女と出会う。
都会では見向きもされなかった古臭い手品に片田舎のパブは沸き、少女は彼を魔法使いと信じる。
島を離れる老手品師を少女が追い、言葉の通じない二人旅の末にエディンバラでの共同生活が始まる。
少女に生き別れた娘をダブらせる老手品師は、魔法を信じる少女に服や靴を買い手品でそれを与え続ける。
時代の流れに取り残された老手品師に余裕などない。 やがて仕事も金も尽き・・・

物語は時が移ろい、少女がやがて大人びて恋をするまでのタイムスパンで描かれている。
少女がいつまでも老手品師の贈り物を魔法の力と信じている話の運びには若干の無理もあろう。
その点も含めて主人公のひとりである少女の描き込みに物足りなさは残る。
無垢と云えばそうだが彼女の思考が見えない、意地悪な言い方をすればキャラが薄っぺらいのだ。
しかしこの物語はおとぎばなしだ。 そこにリアリティは不要だと考えても良いのでは、とも思う。
ひとりの少女の人生の一時期、夢見がちな幸福の日々だけを切り取ったおとぎばなし。

しかしもう一方でこれは老手品師のダンディズムの物語でもある。 むしろ僕にはそちらの印象が強い。
最後の最後まで彼は少女に魔法をかけつづけ、やがて幸せな日々の区切りに決意を以ってある行動に出る。
そこにはダンディズムの粋と悲哀が綯い交ぜとなって、大人の男目線によれば格好良さがあるのだった。
その老手品師の姿に、フーテンの寅次郎を思い起こすのは僕だけだろうか・・・。

演出だとは思うが、少し画面が暗い。 絵がきれいなのでもう少し多めの光量で観たかった。
製作は2010年だが、タチの遺稿が基になっているだけに昔の映画を観ているような気分になる。
新しいものの発見はないが、素敵なものの再発見はある。
粗末なシート、前の観客の頭が画面に割り込むような、鄙びた劇場で観るのが似合いそうな作品であった。
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  1. 2011/05/08(日) 14:38:08|
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