七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先でのよしなしごとを。

群馬・長野遠征 ・・・偽の鬼 -GUNMA/NAGANO expedition  16~18. Jul. '11 #2-

(二日目つづき)

天候は安定していたがその分日照りは強かった。 密生する樹木、緩い足場と急斜面、装備は登山ではなく渓流釣り。
そんな状況で脱渓から2時間(出発から3時間半)近く彷徨が続き焦りが出始めた。
ひょっとしたら今回ばかりは他人様のご厄介になりご迷惑をかけるかも知れない・・・そんなことをふと考え始めた頃、
突然車の走る音が近く遠く聞こえて来た。 道路、それも少し標高を上げたあたりにありそうな聞こえ方。
枝沢の誤認はあるが北へ登ればいずれ道路にぶつかる位置関係は変わらない、それが思ったより近いようだった。

それまで本流へ降りる方法を模索していたがここで方針を変更、道路を目指して高度を上げることに。
地形を読もうと稜線へ出たが、想定と現在位置の根本的な齟齬があるのだから磁石と地図と地形が一致する筈もない。
もしかしたら稜線の下をトンネルで道路が抜けてしまっているのかも知れない・・・想像はネガティブに展開するばかり。
やがて暫く稜線に居ただけで、体力を直射日光で急速に奪われることに気づく。 慌てて木陰に下り水と塩分を補給。
塩飴はあったものの、やがて水が乏しくなり身体が欲しがる量を我慢しなくてはならない状況に。
前日は使った2.5Lのプラティパスを持参せず、沢を離れる際に少ない方の500mlのPETを満たさなかった迂闊を後悔する。
水を節約したことで頭が熱を持ち始め、呼吸も荒くなり出した。 熱中症の徴候が出始めている。もう時間があまりない。
取り敢えず塩飴をなめると呼吸は落ち着いたが、チビチビやっていた水の残りもやがてひと口になってしまった。
あと1時間保たない・・・そう思って周囲を改めて見回すと、木々の隙間に漸くガードレールがチラリと顔を出したのだった。
一気に安堵感が押し寄せ、ひとまず急斜面に腰を下ろす。 気づけば腰に付けていたフライロッドが無くなっていた。


230717
うつけ者、ふたり。 道路へ脱出。


出発から5時間半近くを経て車へ戻って来た。水分を大量に補給。入渓点の沢水を頭からかぶり身体の熱を冷ます。
ひとしきり休んで車へ乗り込み走り出してすぐ、スクロールするカーナビ画面の先に我々の入ろうとしていた沢の名前が・・・
かなり前方、この時になって初めて間違いに気づいた。 原因は調査不足と思い込み、残ったのは自己嫌悪のみ。

二日目以降は久々にフライに挑戦する筈だったが、この日のイブニングはさすがに気分が乗らず低調に終わった。
初日同様、二日目は北信の道の駅で野宿。 なでしこJAPAN のことなどすっかり忘れて反省会の夜。
普段は地図を中心に十分に事前調査をして谿に入るが、今回は風任せでエリアを選びそれを怠ったのが原因だった。
特に運転手の自分がロケーションを把握しておけば間違いに気づけた筈で、その落ち度が悔やまれてならなかった。
初日のトラブルと打って変わって、これは時が経っても笑い話には決してならない経験になってしまった。
木を見て森を見ず、沢を見て山を見ず。 全体の把握の大切さを、厳しく辛い授業によって学んだ一日であった。


# 三日目

水分不足か日射か、影響は何なのか偏頭痛が取れぬまま最終日を迎えた。
どちらかと云えば失敗の屈辱を引き摺る性分であり、当然朝から気分は冴えない。
それでもせっかくの休日、しかも遠方で東京からおいそれと行かれないエリアである。
気持ちを奮って入渓するも、リズムが出ない。 フライは枝葉に絡み、ラインは知恵の輪を作ってしまう。
渓に突っ立って仕掛けを解す時間の方が圧倒的に長い。 キャストしている時間はせいぜい5%位か。
それでも午前中は集中力を切らさずに頑張ったものの、午後の入渓は断念。
頭痛と睡魔に負けて、昼食後は友人を待ちながら木陰でまったり過ごすことに。


230718
左上:二日目イブニング  右上:山奥の秘湯
左下:三日目午後のひととき   右下:三日目午前の渓相


しかし悪いタイミングは重なるもので、やがて曇天から雨が落ち出し、厚い木陰の下でも濡れてしまうほどの雨量に。
仕方なく車の中で仮眠を取りながら雨中、遠雷も聞こえるなか粘る友人を待ち、彼が戻ったところで温泉へ。
前夜 下山が遅れて風呂に入れなかったこともあり、秘境の湯で汗と疲れを取った時は心底ホッとした。
入浴後はジュースとビールで乾杯、宿にあった観光地図で今回の釣行ルートを振り返る。
東京からの距離で云えば会津地方と同程度、しかも一般道の割合が高く随分遠く山奥へ来ていることに改めて驚く。
そう、この時点で未だ驚いていることがそもそもの減点項目なのだ・・・

いずれまた、リベンジを。 その決意だけは奮い立たせ、深山幽谷を後に長い長い帰路についた。

それにしても、フライフィッシャーへの道は長く険しいなぁ。

(おしまい)




今回のツーリング <期間:3日>

  走行距離:736㎞       走行時間:15時間20分
  平均時速:48.00㎞/h   平均燃費:11.8㎞/L

  1. 2011/07/22(金) 13:04:49|
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そんな感じでまいります。

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