七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

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『 エッセンシャル・キリング 』 -ESSENTIAL KILLING-  於 シアター・イメージフォーラム スクリーン1

アフガニスタンの荒地で米兵を殺害して捕虜になった男ムハマンド。
北方へ移送されるも護送車が事故を起こし雪深い厳寒の森へと逃走を図る。

ただひたすらにムハマンドの逃走を映し出す。 延々と。
ひとり無言で移動し続ける彼を追っているので台詞が極端に少ない。
恐怖に怯え、寒さに凍え、飢えに苦しむ姿を延々と映し続ける。

見ていてふと疑問が湧く。 彼はどこへ行こうとしているのか、進むべき方向が分かっているのだろうか。
時たまにカットインする彼の妻子らしき母子の姿や中東の町並み、そしてアザーンに似たジハードを賛美する歌声。
それは彼の思考の断片を表しているのだろうから、彼に懐郷の思いがあるのは顕かだが、
今自分がいる場所さえ分からない中、何を根拠に方向を定めて移動しているのだろう。


ek
(C)Skopia Film, Cylinder Production, Element Pictures, Mythberg Films,
Syrena Films, Canal+ Poland. All rights reserved.


暑く乾いた故郷は遥か遠く、その距離と障害を克服して帰還出来るほど彼はスーパーソルジャーではない。
ただ、自分を虜にしようとする者に囚われたくないと云う恐怖だけが彼を移動させ続けている。
動き続けることで何かヒントを掴もうとしていたのかも知れない。

逃げるために人を殺し、蟻や木の皮を食べ、時には赤ん坊を連れた女を襲い母乳まで貪る。
やがて一軒の家に辿り着き怪我の手当てを受けるも、馬一頭を宛がわれ再び雪原へと見送られる・・・

結果は見えている。 彼は助からないだろう。 助かる要素がそっくりと抜け落ちている。
唯一、再び捕えられれば何かしら次の一手が見つかったかも知れない。 しかしそれを頑なに拒絶しているのだから。
ラストは直接的ではないが彼の終わりを表している。 静かでソフトだが、なかなか印象的なラストシーンだ。

いくぶん退屈ではあったが、こんな映画もたまにはいいか。


 
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  1. 2011/09/01(木) 12:14:47|
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