七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

月光ノ仮面 於 角川シネマ新宿 シネマ1

「ここで死んでるのは確かに俺だが それを見ているこの俺は いってえ誰なんだ」

若干異なるが、作中に出てくる落語 「粗忽長屋」 のサゲの台詞である。
この映画は 「粗忽長屋」 をモチーフに帰還兵の摩り替わりをプロットに描かれている。

板尾創路と云う人はちょっと謎めいている。
ひな壇に並ぶガヤの芸人ではないし、かと云って舞台中央で場を仕切るタイプでもない。
言っていることが良く分からない、その意味不明な部分がミステリアスであり興味をそそる。
最近は観ていないので出ているのか知らないが、以前は 「ガキ使」 でも扱いが別格だった記憶がある。
♪ ボスニア~ヘルツェゴビナでも~ ♪ あの意味不明な歌を何故か今でも憶えている。

先日は 「電人ザボーガー」 のリメイクにも登場し、今は深夜に黒川鈴木と云う変な刑事を演じている。
映画監督は今回で二作目。 とにかく色々やっている、これを多才と云うのだろうか。

特に予備知識を入れずに観に行ったところ、思った以上に落語の世界を扱った作品であった。
昨年末から落語ばかり聴いていたので 「宇宙人ポール」 同様、
気分転換もあって映画館に足を運んだところ また落語だった訳で。

「粗忽長屋」 は江戸市中で行き倒れた遺体を見た男が、それが自分の舎弟分だと言い出し、
今朝会ったばかりだから間違いないと主張する。
しかしその遺体は前夜に行き倒れたものなのでそんな筈は無いと返される。
では本人を呼んでくるから確かめればいいと呼んで来た舎弟まで、確かに俺だと言い出す。
自分の遺体を哀れんで抱く舎弟、兄貴分に向かって何だかわからなくなっちまったと、
「抱かれてるのは確かに俺だが、抱いてる俺はいってえ、誰なんだろう」


gk
(C)2011「月光ノ仮面」製作委員会


粗忽とつく落し噺だけに、惚けた登場人物の勘違いを描いた笑い話な訳だが、
取り様によっては何ともシュールな一面が窺える噺とも捉えられる。
そのシュールな解釈を膨らませたのが、この映画の世界観なのだろう。

しかし、正直よく分からなかった。 シュールと表現すれば済むものなのか・・・
こう云う難解な作品をしたり顔で評するほど自分も若くない訳で、
分からないものは素直に分からないと自信をもって言ってしまおう。

ラストの破天荒な展開で板尾監督が描いているものは何だったのか、
どこかにそれを紐解くインタビューの記録でもあれば判明するかも知れないが、
観終わって間もないこともあって自分の頭の中に浮かんだ 「?」 マークを消すことよりも、
頭を振ってはそれをカラカラと鳴らして余韻に浸っていたい、今はまだそんな気分なのである。


♪ ボスニア~ヘルツェゴビナでも~ ♪  
 



  1. 2012/01/16(月) 11:01:30|
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