七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

『 人形町 噺し問屋 その28 』  兼好独演会  於 日本橋社会教育会館8階ホール / 平成二四年二月二七日

芝居の喧嘩 / 朝呂久
雛鍔 / 兼好

(仲入り)

蝦蟇の油 / 三木男 (急遽代演)
紺屋高尾 / 兼好

“その28” とある。 兼好恒例の独演会に初参加。
会場に着くとズラリと行列、受付払いの会なので支払いの順番待ちである。
木戸銭は二千円と分かっているのだからつり銭のないように用意しておけば良いものを、
結構な数の人が万札を出しているから捌けが悪い。 案の定、開演時刻になっても緞帳は上がらなかった。

少し遅れて開演。 まずは兼好が挨拶に立って会場を沸かせた。
主役が前説のようなものだ。 これでは朝呂久も遣り辛かろう。
彼の 「芝居の喧嘩」 は二度目。 大きな声で畳み掛ける。 主役に負けじ、であろうか。
しかし少しばかり笑いを欲しがるようなところが気になった。
所々で小噺が入るのだがそこでいちいち間を取って反応を見る。もう一度遣りますよと念を押すところも。
まぁそれも遣り方ではあろうが、ここは以前志らくが言っていた笑いを潰すようなスピード感が欲しかった。
客の笑いを待つ、欲しがるとテンポも悪くなるし野暮ったくもある。 秋には二ツ目だ、頑張って欲しい。

「雛鍔」、生で聴くのは初めてだ。
まだ師の落語を十席も聴いていないので “ らしさ ” を語るのもおこがましいが、
自分がイメージしているもの、期待している師の面白味は存分に楽しめた。
特に植木屋の熊が女房に来客の番頭さんへお茶を出させる件のテンポの良い台詞回しなど、
このグルーヴを聴きたくて足を運んだのだと我知らず気持ちが前のめりになってしまった。
金坊の演じ方も猪口才で可愛らしく、この噺の聴かせどころはきっちりと押さえて楽しませて貰った。

仲入り後、客演の紫文ではなく三木男が登場。 どうやら紫文が追いつかなかったようだ。
どう見ても三木男は準備があったようには見えない。髭を当たっておらず鼻の下が薄っすらとくすんでいる。
羽織も着ておらず体に合わないダブダブの着物は恐らく体格の良い朝呂久のもの。
“勉強に来たのですが急遽こう云うことになりまして・・・”と。 やはり着物も朝呂久の借り物であった。
客席から“芝浜!”とかけ声がかかるが、当然そんなことはなく 「蝦蟇の油」。
この間、三三独演の開口一番で聴いたばかりだ。 あの時よりは滑らかであったが、また二度ほど噛んでしまった。
隣席の男性がそれを面白そうに笑っている。 嫌な感じである。 ピンチヒッター、ご苦労様。

トリは 「紺屋高尾」。 来なかった紫文を偲んで(?)から、
まくらは合わなかった三木男の借りた着物や土に還る繊維の服の話など、かなり面白くて会場を沸かせた。
ちょっとその爆笑が余韻を引き過ぎたか、可笑しくも人情ものの割に客の反応がいちいち笑うばかりであった。
会場内の雰囲気にあって、メリハリが今ひとつだったのかも知れない。
笑わせるところと聴かせるところ、笑うところと聴くところ。
兼好と客の呼応が今ひとつ噛み合っていなかったような印象が残った。
確かにお玉ヶ池の先生を徹底的に藪医者にして弄くるところなど笑いどころ満載ではあったが、
そちらが勝ち過ぎて、デリケートな遣り取りの部分まで笑いが侵食していたような感じであった。
ただダラダラと笑い続ける会場の空気に、違和感があったのは自分だけではない筈だ。・・・と思いたい。
楽しみ方は人それぞれ、落語を聴いて笑って悪いことなどないのだろうが、今ひとつ腑に落ちないのであった。

お開きの後は先週金曜、鯉昇の会の後に会場近くで目に留まっていた “鰻 居酒屋” と書かれた赤提灯へ寄ってみた。
手頃な酒代で鰻を肴に飲ませる まぁまぁな良い感じの店であったが、
さすがに21時を回ってからタレで鰻の串が五本ついて来るセットは重かった。
う巻も追加して、ビールと菊姫を一杯ずつ飲んで三千円で釣りが来たが、少々コッテリと遣っちまった感じである。
また寄ることがあったら “ うなちゃんセット ” は やめておいて、肴は単品で行こう。
 
 
  1. 2012/02/28(火) 18:28:50|
  2. 演芸など
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『 白酒むふふふふふふふ 』  白酒独演会  於 なかのZERO 小ホール / 平成二四年二月二五日

子褒め / 扇
幾代餅 / 白酒

(仲入り)

アコーディオンライブ / 柴草玲
二番煎じ / 白酒

なかのZEROに向かう線路と並行する道沿いにラーメン屋 “ 北国 ” はある。
いわゆる町のラーメン屋。 ラーメン、炒飯、餃子に定食がメニューに並ぶいたって普通の食堂。
麺屋ナンチャラとか云って黒づくめの装束にタオル頭巾の兄ちゃんが
テボを振り回して麺の湯切りをするようなスカしてキザッペな店ではない。
普通の身なりをしたおじさんがやってる昔ながらのラーメン屋だ。
今回は開演が1330時だったのでこちらで肉野菜定食を食してから会場入りした。
ZEROでの夜会の際にも、こちらで炒飯などを食してから臨むことがある。
要するに年に数回利用する店なのである。 ・・・が、今回初めて知った事実が。
“ 北国 ” は “ キタグニ ” ではなく “ ホッコク ” である事が判明したのである。 驚愕!
何でも店のご主人、富山のご出身だそうでその名をつけたとのこと。
けれど “ キタグニ ” だと思っている客も多かろうが訂正もしていないようだ。
出前もしていないので電話で店名を言うこともなく、 “ キタグニ ” と言わせておけ、のようである。
なんかカッコイイぜ、“ ホッコク ”。

扇ちゃんは今年中には二ツ目にはなれないとこぼす。 この話を聞くのは二度目だ。
経験年数からしてもう昇進しても良い頃合なのにと・・・ん~、正直もう少し精進して欲しい。
印象としては褒めて伸びるタイプのようだが、ここはまだ我慢が彼女の為ではなかろうか。
羽織を着るのはまだ早いと思うぜ、おっちゃんは。

白酒一席目。 人情噺の 「幾代餅」 でこれだけ笑わせる噺家も稀有であろう。
その笑いが噺を逸脱した悪ノリではなく、筋の中にある可笑し味を抽出して増幅させている。
ドタバタと賑やかす訳でもなく噺はきちんと進めて行き見識を外さない楽しませ方がいい。
そして今回思ったのが台詞の端々、特に語尾の言い回しにふと垣間見える志ん朝の面影。
志ん朝を実際に聴いたことがある訳ではないが、今聴くことの出来る音源から耳に残っている特徴が、
今回白酒の言い回しの所々に見え隠れしていると感じたのであった。 古今亭の系譜と云うことか。
その辺は客として日の浅い自分が言及するまでもないことかも知れない。
清蔵と幾代太夫が一夜を過ごす件がないところで、
ここに古今亭と柳家の違いがあると云ったようなひと言が冗談交じりに入ったが、
そこには白酒の支持する落語観が表明されていたようにも思えた。

そうした落語観は師匠雲助から受け継いだ、或いは師匠に共感した白酒自身のものなのだろう。
二席目の 「二番煎じ」 は先日雲助月極十番の楽日に聴いたそれとほぼ同じであった。
年寄り、大旦那衆が集まっての夜回りでの出来事。
立ち居振る舞いにはどこか余裕と品があって然るべき。 そんな解釈が伺える好印象な遣り方。
それを白酒も入れごとクスグリ殆どなし、師匠の遣り方をそのまま踏襲していた。
この 「二番煎じ」 には個人的にも共感するものがあり、とても印象深い。
白酒と云う噺家は長い目で見ても褪せることなき魅力を持っている、そう云う予感が改めてする一席であった。
この人は自分の想像以上に切れ者なのだろう。 ちょっと切れ過ぎかもしれない。
切れ者はあまり切れ者然としていない方が良い。 その点が気がかりだったりするのである。
 
 
 
  1. 2012/02/26(日) 21:50:03|
  2. 演芸など
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『 通ごのみ 鯉昇ひとり会 』  鯉昇独演会  於 日本橋社会教育会館8階ホール / 平成二四年二月二四日

寿限無 / 鯉○
熊の皮 / 鯉ちゃ
時そば / 鯉昇

(仲入り)

芝浜 / 鯉昇

茅場町の小諸そばでかけ蕎麦を啜ってから会場へ向かう。
やはり もり蕎麦にしておけば良かった。 温かい汁のせいで歩きながら少し汗ばむ。
落語で御馴染みの夜鳴き蕎麦と云えば温蕎麦だ。
器がひとつで済むから路傍で立ち喰いするには必然そうなる。花巻に しっぽく。
つけ蕎麦は笊に蕎麦猪口がいるから立ち喰いでは両手に余るし、
手繰っておいてつゆにつけるだけ口に運ぶ行程が多い。温蕎麦と比すれば まだるっこしい。
ではこの行程の差で食べる速さに差が出るかと云うと、出る。 要する時間には差が出る。
出るのだが早く食べ終わるのは行程の多いつけ蕎麦の方だ。
理由は簡単で熱くないからさっさと手繰って飲み下すことが出来るから。
やはりかけ蕎麦はフゥフゥ云いながら啜るので もりよりも時間がかかる。
手っ取り早く済ませるには もり蕎麦、でも かけで美味い方が蕎麦としては上出来、が持論。

御通家のブログを読んで知ったのだが嘗ては古典の落協、新作の芸協と呼ばれていたそうだ。
革新の芸協と読み替えるなら、鯉昇の噺はある意味で嘗ての芸協の特色を表しているのかも知れない。
師の古典はどこか弄くってあり、スタンダードでないことが間々ある。
今回の 「時そば」 も最初の蕎麦屋はハーフである。 蕎麦嫌いでココナッツが好き。
勘定払いで銭を数えて八つまで来たところで “好物はなんだっけ” と訊いて
九つをココナッツで飛ばすと云うアクロバット。
時を数えないから時そばとは云えない訳だが、
その辺の奔放ぶりが師のちょっと惚けた風貌と相まって妙にシックリ来るのだった。
そして模倣犯を企む二人目が捕まえた不味い蕎麦屋は甘いもの好き。
勘定払いで八つのところで好物を蜜と答えて四つからやり直しと云うサゲ。
師はこうした改変を常としているので、この “古典のようなもの” は結構割り切って楽しめるのである。

昨年10月に聴いた 「芝浜」 を再び。 実のところ、あまり 「芝浜」 は好きな噺ではない。
しかし鯉昇の解釈が入るとちょっと違った噺の側面が見えて来る。
魚勝は大金を拾ったことを夢と言われてもコロリと改心する訳ではない。
仕事には精を出すが、帰って来ると飲みたくなる。
けれど家に戻ると自分が酔って壊した脚の折れた卓袱台が目に入る。、
それを見ては酒の失敗を思い出し次第に酒への思いを断つと云った件がある。 コロリと改心より人間らしい。
三年後に女房が真実を打ち明ける件にしても、どこか師の言い回しにはシニカルなものが混じっている。
師が熱を帯びて演ずれば演ずるほど、芝居がかった女房の陶酔と弁解が垣間見え、
善男善女の風景にどこか空々しさが浮き上がって来るようなのである。
“また夢になるといけねぇ” とサゲても、どこかそれ自体が絵空事であることに釘を刺すのであった。
情感たっぷりな人情物に仕上げず、どこか胡散臭さを残しておく。
その辺が鯉昇版「芝浜」であり、鯉昇イズムなのかなと解釈しているのだが・・・どうなの、鯉昇さん。
 
 
  1. 2012/02/25(土) 23:58:56|
  2. 演芸など
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休日のパダワン -フライキャスティングスクール-  (※2/23 末尾に追記)

フライフィッシングの釣友からキャスティングスクールの誘いを受けて参加して来た。
天気も穏やかな日曜日のこと。 場所は荒川の堤防、秋ヶ瀬あたり。

参加人数が普段より多かったようで、インストラクターお一人で見て貰える時間は正直僅かだった。
それでも主催者するショップの社長さんやスタッフさんもベテラン揃いなので、
むしろそちらのアドバイスが大きな収穫だったかも知れない。

自分は昨年の海の日連休と夏休みで入渓した十指で足りる回数しか経験の無い初心者。
見栄は張らずに基本から教えを請うべくまっさらな心持でレッスンに臨んだ。
幸いと云えるかどうか、夏休みの釣行以降はロッドを振る機会が無かったので随分のブランクがあり、
悪い癖が身体に染み込んでいなかったせいか素直に教えを受ける事が出来たと思う。


CS-120219


腕の振りから力加減、言葉で説明出来る理論と手取り足取りのレッスンを受けて、
とにかく身体に覚えさせるべくキャストキャストキャスト・・・
朝0930時から1700時までの長丁場なので、休み休みやらないともたないし肩や手首を痛めるとの助言。
少しでも上達したいと云う欲求と焦りを抑えつつ、
参加メンバーの講師生徒スタッフの分け隔てない会話も楽しみながら、
広い広いスペースで存分にラインを飛ばして来た。

最終的にはダブルホールキャストを習い、何とか身体に覚えさせたところでスクール終了。
朝方のスタートが初心者レベルだったこともあって、それなりの手応えはあったかなと云ったところ。
ダブルホールの体得には一週間後の2時間より三日以内の10分の練習が肝心とのアドバイス。
それがなかなか・・・時間も然ることながら場所が無い。 だからスクールにも足を運んでいる訳で。
最低でも自分を中心に前後それぞれ10mの空間は確保したいが、そんな場所が近場にあるかどうか。
事務所ビルの裏手にある細い空き地で飛ばしてみようか。
スペースに余裕が無い方が上達には効果的かも知れない。 実際の渓流だって空間は限られているのだ。

いずれにしても何かしら手段を講じて間を置かずダブルホールの練習を持続しなければ。
パダワンからナイトへ、ナイトからマスターへ・・・ジェダイの道は、長く険しいのである。

フォースと共にあらんことを。

  
追記:スクールから3日後の昨日、インストラクターからメールにてアドバイスメモを頂く。
    講習中に小さなノートに何か書き込んでおられたので、その内容と思われる。
    今後の課題も添えられており、細やかなアフターケアに感謝である。(2/23追記)
  
 
備忘録:

・フォワードキャスト終了時のグリップ位置が前方側になりロッドティップが下がっている。
 そのためバックラインが必要以上に高く、フォルスキャストが長くなると、
 バックラインとフォワードラインの飛行角度が180度を割り込みやすくなり、
 テーリングの大きな原因となっている。

・目安として、前後のグリップ位置
 (バックキャスト=顔の横、フォワードキャスト=顎の下で肘は軽く曲がった状態)を意識。

・リストの開閉を大きく使い過ぎないように注意。
 特にバックキャスト終了時のリストの開きすぎはロッドティップを大きく下げ、
 バックループをオープンの状態にしてしまう。

・シングルホールの反応はほぼOK。
 ただし、シングルホールはダブルホールと比較すると、その効果は数分の1程度。
 ダブルホールのリズムにも反応出来ているのでダブルホールをより明確に インプットするために、
 あと少しの反復が必要。

・練習はダブルホールの反復をテーマに。 

以上、マスター・ヨーダ より

 
 
 
  1. 2012/02/22(水) 11:05:33|
  2. 旅や野遊び
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『 谷中・兼文録 其の四 』 文左衛門・兼好 二人会 於 戸野廣浩司記念劇場 / 平成二四年二月二〇日

夢の酒 / 志ん吉
黄金の大黒 / 兼好
子別れ / 文左衛門

仲入り

雑俳 / 文左衛門
干物箱 / 兼好


去年の震災直後に “其の一” があって今回で四回目を数える二人会。
一昨年の暮れにやった “文左衛門倉庫” の客演が兼好で、
年明け三月から恒例で二人会をやるよと宣言があって存在は知っていた。
過去三回は都合がつかずに漸くの参加、今回も直前の偶然で開催を知ったのが先週金曜。
早速メールで予約をすると、券の郵送が間に合わないので木戸口で受け渡しとの返信が来た。

西日暮里で山手線を降りた時、財布には諭吉が二枚に英世が一枚。
木戸口で万札出してモタつくのも野暮だなと思っていたところ、構内に駅蕎麦を発見。
ざる蕎麦を海苔抜きで手繰って万札をくずし、会場へ向かう。
地下への階段を下りると小さな芝居小屋、名を告げ券と交換。
仲入りに次回の前売りをするとのことで日付を確認すると予定なし、整理券を貰ってから会場へ入る。
椅子はスチールの折りたたみ、間が詰まっていて狭苦しいが下手側の端の席だったのでまぁ由。

開演前にお三方登場。 楽屋話風に立ち話。
文左衛門が風邪っぴきとかで、あまり喋らずやろうと噺の演題をジェスチュアで当てるゲームなぞ。
やがて客席も埋まり、そろそろ始めましょうかと。 そのあたりの緩い感じが悪くない雰囲気である。

「夢の酒」。志ん吉のお花はなかなか雰囲気があったが、もうちょっと遣り込んで欲しい。
先日聴いた扇辰が重なったが、志ん吉は扇遊に教わったとの記述をネットで見つけた。

昨年十月の独演会以来の兼好。 今年はこの人を追っかける。 既に独演会を三つ、その他を押さえてある。
一席目 「黄金の大黒」。 長屋連中の演じ分けが相変わらず良かった。
表情、身振り手振りが効果的でありながら過剰なところがない。
コミカルに演じているが媚び過ぎず洗練されている感じ。 師にはそんな印象を持っている。
二席目 「干物箱」。 この噺、喜多八と白酒で聴いている。
喜多八の印象がよく残っている。 白酒のは旦那が善公の尻に小さな瓢箪の入れ墨を見つける件が笑えた。
先のお二人と比べて兼好の遣り方は細かい所まで聴き易かった。
特に旦那(親父)と運座について階の上下で遣り取りする件からの芝居が巧く、台詞がスッと頭に入って来た。
どこかで落とし噺しかやらないような記述を読んだ記憶があるが、人情噺芝居噺を遣るとどんな感じなのやら。
師はいつもニコニコしているが、実のところかなり油断ならない男なのではと勘繰っているのだが。

常々思っているのだが文左衛門は風貌から受ける印象よりかなり繊細な人のようだ。
喉も強くないらしく、先日の三人会に続いて今回は風邪っぴきでガラガラ声。
またそのことを冒頭で言い訳のように話してしまう。 これは調子が今ひとつの師の高座では間々見られる。
先に予防線を張られると聴く側のテンションも緩む、結果出来はどうであれスパッと噺に入って欲しいものだ。
「子別れ」 はこれで三度目。 師の遣るこの噺が好きである。 だからこそ、なのである。
「雑俳」 はサゲた件が小便の句だったのでちょっと後味悪し。

仲入りで買った次回の席は中央花道(芝居小屋なので)際。観易く足元も楽であろう。

お開き後は西日暮里に戻らず地下鉄で千駄木から湯島へ。
友人からダイバー繋がりで教えて貰った美人女将のやっている店へ初入店。
おばんざいを大皿で並べて刺身なども出す。 新橋の美人マスターは洋風なので和風の酒肴が有り難い。
残念ながら瓶ビールはなし。 運悪く燗酒も切らしていてズッコケた。 生のあとは麦のお湯割で摘む。
十一時で追い出しはちと早いか。 客単価は新橋同様で高めだが、美人の店は安くすると客層が荒れるのだ。
一目惚れな店ではなかったが何度か通ってみよう。 一人客向けで気軽だし、鈴本から指呼の間なのが重宝だ。
 
 

  1. 2012/02/21(火) 12:14:49|
  2. 演芸など
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『 雲助月極十番之内 拾番 』 雲助独演会 於 日本橋公会堂・日本橋劇場 / 平成二四年二月一八日

弥次郎 / 市楽
二番煎じ / 雲助

仲入り

明烏 / 雲助


三人連れで昨日書いた 「三丁目」 を観終わって、ひとり別行動。
友人二人は合流組と高円寺で落ち合って “0円餃子のたちばな” で飲み会へ。
自分も映画の感想など語りながら餃子をたらふく食べたかったがこの晩は雲助月極十番の千秋楽である、
万障繰り合わせても行かずばなるまい日本橋蛎殻町。

この会の壱番(第一回)は昨年の一月十七日。
以前やっていたブログをやめて七敵を始めるまでのブランク期間に始まった。
なので二月にあった弐番と併せて二回分の感想雑感の記録が残っておらず、
七敵を始めた四月にあった参番から記事を残している。
その記事では大したことを書いていないし、どうも雲助の良さに理解が及んでいないような記述。
自分でも少々呆れてしまう。
しかしその後、回を重ねるごとに雲助の魅力に填まっていくことになるのだが・・・

「二番煎じ」。 夜回り当番が挨拶しながら順繰りに登場、二組に分かれず巡回へ。
雲助の声音がいかにもしんと冷え込んだ夜道の闇を思わせる中、
月番、河内屋、伊勢や、高田先生、半ちゃん・・・それぞれの演じ分けが多彩で良い。
それぞれ “火の用心” も細かい芸が冴えてやり取りに引き込まれる。
番屋に戻ればしし鍋と相成る。 酒の飲み方 鍋のつつき方、どちらを取っても雲助には品がある。
何の因果か、有閑の年寄り大旦那衆が集まっての夜回りなのだ。
時ならぬ宴席であっても酒の遣り方、箸の上げ下げに下卑なところなどなかろうと改めて思い至る。
当然、見回り役人の不意な巡回にも、鍋を股の下に隠すようなことはしない。
鍋汁を褌が吸ったりはしないのである。 キレイな落語だ。
現れた役人も心得たもので、くどくど言わずに二番煎じを命じるのであった。 嗚呼、スマート哉。

「明烏」は先日弟子・白酒で聴いたばかり。聴き進むと噺の運び遣り方は師匠のそれを倣っていたようだ。
ただ白酒のそれはいろいろと入れごとクスグリがふんだんに盛り込まれていた。
師匠は一切の入れごとなしの本寸法。 これで十分。 しかし白酒のも捨て置けない。
そこにあるのは立ち位置の違いであろう。 ふと連想するのは歌舞伎役者。
若い頃はTVドラマに出たり現代劇の舞台に立ったり、そうやって芸の幅を広げて行く。
やがて大名跡を継ぐまでの道程にはそうした枝葉を広げた修練もある。
噺家が積み重ねる修練の中にも、別に他のジャンルに挑戦せずとも入れごとクスグリで噺を膨らませて
その世界観を会得して行く道程が含まれているのではないか。勿論、まずは基本が浚えていることを大前提として。
やがて米を磨きこんで冴えが増す日本酒のように、色々なものが削ぎ落ちて本寸法が現れてくるのではないか。
間を置かず師弟の 「明烏」 を聴き比べて、そんな素人見当な空想を頭に浮かべては楽しんだ。

噺をサゲて拍手が止むと、雲助の挨拶。 月極十番これにておしまい。 特別な趣向はないけれどと三本締めで大団円。
全十回、皆勤で足を運んだ感慨は有るもののこれで師と今生の別れでもあるまいて、清々しく会場を後にした。

翌日は朝から野遊びが入っていたので飲み屋には寄らず家路へとつく。
しかしどうにも雲助のしし鍋が美味そうで堪らず地元に帰って地下鉄を降りてのち、
牛飯の松屋にて牛皿を持ち帰りで求めて、家で常温の日本酒にてペェイツやったのであった。
煮込んだ肉を喰らわねば気も治まらぬ。 牙と角の違いはこの際拘らず、食べたい時が美味い時なのであった。
 
 

  1. 2012/02/20(月) 15:57:58|
  2. 演芸など
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ALWAYS 三丁目の夕日’64 (2D) 於 新宿ピカデリー スクリーン2

このシリーズを映画館で観るのは初めて。
もともとそれ程関心があった訳でもなく、随分前にTVかDVDで観た一作目は内容の記憶すら曖昧で、
この年末年始に地上波でやった二作目を観ながら人物の相関が今ひとつ分からなかった始末。
それでも二作目を観た後に本作の予告編を観たことで俄然興味が湧いてしまったのだった。

様々な人間模様で織り成す物語の中、
予告編で見た堀北真希ちゃん演ずる六ちゃんの花嫁姿にグッと来てしまったのだ。
別に熱心に観ていた訳でもない三部作。
そこに描かれる集団就職で上京した田舎娘の成長を見る時、もはや叔父の心境なのであった。
六ちゃんが恋をして好きな人と結ばれるまでの物語を見てみたかったのである。


3-'64
(C) 2012「ALWAYS 三丁目の夕日'64」製作委員会.


話は東京オリンピックの年、1964年。 戦後昭和史最大の節目となった年だろう。
10月10日の開会式、ブルーインパルスが空に描く五輪を見上げた堤真一演ずる鈴木オートが、
グッと堪える様な感極まった表情で顔を伏せ、再び空を見上げて感慨深げに
この辺は焼けちまって何にもなかったんだと戦後の復興と成長を口にする場面には、
不意打ちを喰らってしまい胸がいっぱいになってしまった。

描かれる幾つかのエピソードのうち、茶川と淳之介、鈴木オートと一平の父親と息子の関係は、
男なら誰でも何かしら覚えのある人生の通過点であり、その部分は割とクールに見ている自分がいた。
その印象を以って思ったのは、この作品は老若男女だれでも安心し共感しながら観られる作品だけれど、
観た者の感じ方はそれぞれの年代や性別で様々に分かれるのかも知れないなと云うこと。

そして六ちゃんの花嫁姿である。
堀北真希と云う女優さんを今まであまり意識したことはなかったが、
この作品に限って云えば、六ちゃんは彼女以外では在り得ない感があり、
個人的にはイメージとキャストの一致を見た好例のひとつであった。
(原作漫画を読んだことがないが、六ちゃんは原作にも出て来るのだろうか?)

映画の冒頭、夕日町の全体像を見せるようなシーンが続く中、
ひょっとしたらこの映画は実写と俳優で見せるより、
ジブリの「コクリコ坂から」のようなアニメの方が
生々しくなくて良いのかなと云う考えがふと頭を過ぎったりもしたのだが、
観終わってみると、一作目で小さかった少年達が生意気で大人びた学生に成長していたり、
赤いホッペをした女の子がキレイなお嫁さんになった姿を見たりすると、
足掛け七年間かけて描かれたその世界観は実写でこその味わいであり、
俳優達の成長もあってこそ出せるリアリティだったのかなと思い直したものである。
(この点については「コクリコ坂から」を観た時に持った感想が覆った部分でもある)

そうした時の流れの機微も含めて、
六ちゃんの花嫁姿はあの時代、あの町の幸せの象徴なのである。(敢えて断言)
六ちゃんおめでとう。 幸せになるんだよ。


  1. 2012/02/19(日) 23:16:29|
  2. フォト・キネマ・アートとか
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『 如月の三枚看板 』 喬太郎・文左衛門・扇辰 三人会 於 銀座ブロッサム / 平成二四年二月一七日

道灌 / 辰じん
夢の酒 / 扇辰
竹の水仙 / 文左衛門

仲入り

死神 / 喬太郎


雪が降るとの予報に靴を L.L.Bean のストーム・チェイサーに履き替えて事務所を出る。
有楽町線の新富町駅から地上へ向かうと傘を閉じながら下りて来る人々とすれ違う。
外は雨、SmartWool の正ちゃん帽を被っていたので構わず近くの小諸そばまで歩く。
二枚もり290円。 さすがに食いでがあった。 腹八分で良いところ満腹に。 普通のもりで良かった。

会場に入ると何やら大きな声が聞こえる。 奥へ進むと文左衛門が物売りカウンターに座っている。
先ほどの呼び声は師が来週月曜にある兼好との二人会の切符を手売りしているものだった。
この二人会は偶然この日に知ったばかりで早速メールにて予約を入れたところだった。
こんなことならこの場で文左衛門から直接買えば良かったと、タイミングの悪さを少々悔やんだ。

去年は殆ど聴く機会のなかった辰じんだが、今年は縁があってこれで三度目。
昨日、来月彼の出る二ツ目の会を見つけた。 もう一人注目している朝呂久も出る会なので検討中。
(※上記 “二ツ目の会” は “前座の会” の間違いでした。昇進は秋ですから。 : 2/20訂正)

弟子に続いて師匠・扇辰。 文左衛門の手売りを受けてロビーにいるダフ屋にご注意を、で掴みはOK。
まくらは夢の話。 末広で紅白をやってウルトラセブンを歌った夢から色々と噺家が出て来た夢の話を披露。
「夢の酒」、嫁のお花と夢の中の御新造を巧く演じ分ける。焼き餅焼きのお花のグズりっぷりが可愛らしい。
それにしても若旦那、夢の中のこととは云え、
問われるなり端からニヤケ顔でご新造とのいちゃつき振りを調子に乗ってばらし過ぎだ。
夢の話だよと遠慮がちに話し出して、思い出すほどニヤケが増して最後はデレデレでお花が怒る。
そんな展開の方が夫婦の遣り取りに変化があって面白いのではと思ったり。
以前 喜多八で聴いた時には確かそんな遣り方だったようにも記憶している。

文左衛門は少々掠れ声、売り込みに気合いが入り過ぎたか。 まくら無しで 「竹の水仙」。
とにかく甚五郎がべらんめぇだ。 宿屋の主人もおなじ調子で、二人のキャラが被った感じに。
宿屋の主人を養子の設定でキャラ作りしていたが、もうちょっと弱腰、気弱な感じが欲しかった。
甚五郎と対等にやり合うところなどは、今まで聴いた事のない遣り方。
それでも客が甚五郎と分かると謙って “どーもどーも” と頭を下げる。“お前はそば清か” と甚五郎。
他にも 「道具屋 」や 「火焔太鼓」 が出て来たり、プロレスを使ったクスグリもありでオンパレードな感じ。
会場は沸くが本筋だけでも十分に笑わせることも出来るだろうに、どうしたものか・・・
細川越中守からせしめた金を、宿に預けて路銀のない旅人を泊めてやってくれと頼む甚五郎が目新しい。
これは文左衛門オリジナルなのか、自分が寡聞にして知らないだけで誰か先人の遣り方なのだろうか。

仲入り後にトリは喬太郎。まくらは当日の学校寄席、受験、神頼みから導いて 「死神」へ。
師の 「死神」 は四度目だが、師の死神はいつ見ても不気味だ。
今回は死神が男に目をかけてやった理由が垣間見える台詞が省かれていた。
それ以外は今まで聴いた遣り方とほぼ一緒であったが、個人的には今までで一番良かったように思った。
どこがと指摘出来るディテールは細々とした印象の蓄積であって列記明文化が難しいが、
噺に隙がなく締まっていながら、師ならではの入れごとも散りばめられて丁度良い加減に思えたのだ。
最後の患者が鼈甲問屋の近江家卯兵衛で遣いに文七が登場したり、文左衛門を受けて甚五郎の入れごともあった。
消えたばかりの蝋燭にホイットニーや三崎千恵子、淡島千景の名を入れるあたりもタイムリーで師らしいクスグリ。
それでも本筋からあまりはみ出さずに遊びを入れるあたりに冴えを見た思いだった。。
今年初は新作であったが、その後の古典の満足度は高い。 こんな喬太郎が好きである。

お開きの後は高円寺の赤提灯へ。 蕎麦で腹は膨れていたが、先日マスターへ送ったメールの件もあって寄り道。
解禁になった渓流釣りの話題で常連さんも交え暫し鼎談。 カサゴのアラ汁をご馳走になってお愛想。
23時過ぎに別の常連さんと入れ替わりで店を出て、雪に変わった空模様の下家路を急いだ。
 
 
  1. 2012/02/18(土) 13:56:11|
  2. 演芸など
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『 通ごのみ 』 扇辰・白酒 二人会 於 日本橋社会教育会館 / 平成二四年二月一四日

道具屋 / 辰じん
万病円 / 白酒
心眼 / 扇辰

仲入り

紋三郎稲荷 / 扇辰
明烏 / 白酒

人形町・茅場町・水天宮前の三駅で囲まれた日本橋小網町と日本橋蛎殻町には
日本橋公会堂(日本橋劇場)と日本橋社会教育会館があり、それぞれにホールがある。
小振りな函でどちらも落語会に良く使われるので、この界隈は年に何度も訪れる。
出来れば気の利いた店の一軒でも見つけられれば重宝するのだが、
まだ落語終わりにこの近辺で寄り道をしたことはない。
隠れ家風の小料理屋でも探し当てたいが。

扇辰の会なので前座は辰じんを期待していた。
前座の中では一押し、十一月には二ツ目昇進を控えている。
機会があれば今年は小さな落語会などで彼の高座を間近で聴いてみたいものだ。
白酒曰く、昇進が決まってから上がるまでのこの期間が結構危ないと。
冗談交じりの言葉であったが、あながち嘘ではなかろう。 好事魔多しと云うから。
あと九ヶ月、恙なく前座修行を全うして欲しいものだ。

白酒一席目のまくらは辰じんの話の後、鈴本で白鳥がトリな件を毒を吐きながら面白可笑しく。
「万病円」 は初めて聴く噺。 白酒の腹から出てよく響く声は侍が似合う。
子供も似合うので菓子屋の小僧も出て来てなかなか楽しめた。
本来は湯屋、居酒屋、菓子屋、古着屋、神屋(薬屋)と回るようだ。
今回は古着屋の件が抜けていたと思う。(記憶が曖昧)

白酒が退けると扇辰がモップを持って登場。 高座の前の床を拭く。
白酒の汗と唾で汚れているとのアピールに会場が沸く。
そんな小芝居をやってから再登場して、しっとりと 「心眼」 を遣るギャップがにくい。
師の女はなかなか色っぽいが いやらしい感じがなくていい。 品があるとでも云おうか。
まぁ噺に出てくる女にもよるが。

扇辰一席目のまくらでは辰じんが三月の独演会のチラシをスタッフに渡し忘れたので
欲しい人は仲入りの際に貰って下さいと告知。
弟子のチョンボに今日で辰じんを見るのは最後になりますとイジッて見せる。
この日の辰じんは話題の的であった。 件の独演会、当然前座が辰じんである。
まさに小さな函での会、行ってみようかどうしようか。

白酒のトリは 「明烏」。
以前、若旦那は柄じゃないから遣りづらいと話していたが、
この噺の初心な若旦那・時次郎の演技はなかなかのものだ。 仕種も声音も優男の感じが良く出ている。
白酒独自の入れごとも冴え、時次郎が廓の女主人を追っ払おうとフッと息を吹きかけるところや
源兵衛が甘納豆を食べ続けるところなど細かい笑いがふんだんに用意されていて楽しい。
このあたりをサラッと遣るのが師のにくいところでもある。

「明烏」 を聴いてお開きとなるとちょっとあぶらっ気のある摘みで飲みたい気分。
人形町から新橋までは浅草線で一本なので、美人マスターの店をチョイス。(最初からそのつもりだったけど)
フライドポテトとモッツァレラチーズでワインを飲んだ。
昨日はバレンタイン的な夜だったにも拘らずマスターのファンなオヤジはちっともおらず閑古鳥。
一人いた先客も早々に帰ってしまったので、少し早めに店を閉めてマスターやバイト君と連れ立って二軒目に。
時刻が時刻だったのでサクッと終電は行ってしまい、朝になるまでマスター行きつけの店で飲み明かした。
成り行き上 オジサンの奢りってことで、結局TAXI で帰るより高くついてしまったとさ。
 
 
  1. 2012/02/15(水) 17:17:37|
  2. 演芸など
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白銀の肉食獣 -ゲレンデバーべキュー 2012-

喬太郎と三三を聴いた数時間後には中央道をひた走り諏訪南ICへ、一般道を走り辿り着いたのは蓼科湖畔。
標高1,220m。 時刻は午前五時、広い駐車場に車は一台もないが雪も殆どない。
外気温は-7.5℃、ダウンパンツが要るほどの冷えは感じない。冬シュラフだけで十分。
アラームを0630時に合わせてヴォイジャーコットに横たわり目を瞑った。 仮眠は1時間半。。。

目覚めると外は既に明るい。風花が舞っている空に月が薄ぼんやりと光っている。
早々に出発、更に山道を上がって別荘を目指す。 沿道の雪は少ない。
もともとそれほど降る土地ではないが、昔に比べると湿った雪が降るようになったとは地元の声。
標高1,445m、別荘着。 気温-10.5℃も拍子抜けする積雪量。 以前にも冬に寄ったがその時より随分少ない。
倒木もないし軒の破損も見受けられず、四ヶ月ぶりの目視点検は異常なし。
内部設備の点検は別荘開きを待たねばならないが、現時点では安心材料を持ってその場を後に。


G-BBQ-2012-1

左:後部座席を倒してヴォイジャーコットで就寝  *  右:冬眠中の別荘 積雪は少なかった


往路で気になったのが別荘から車で10分下りた場所にある店の様子。 どうも廃業の気配。
確認に戻ると昨年10月末を以って店仕舞いの貼り紙が・・・別荘を冬仕舞いした直後のことだ。 
道を挟んで二軒の店が並んでいて、子供のころは一方が食堂で一方が酒屋だった。
やがてどちらも雑貨・食品・土産物を売る店に。 山の中腹にあるので何でも揃う訳ではない。
二軒で一人前と思って使い分けていたが、その一方がなくなってしまった。貼り紙には創業昭和8年とあった。
別荘族も高齢化が進み集客も細る一方であろう。 この界隈、残るは店一軒と蕎麦屋に共同温泉のみ。
往時は八百屋・肉屋・魚屋にパン屋もあった。楽焼も楽しめ大きなプールもあった。 すっかり寂れたものだ。

これも時の流れと云うことか・・・そんなことを思いながら車は蓼科高原を離れ原村へ。

秋と冬、年に二度の集い。 繋がりはダイビング、集うペンションのオーナーは西表島の元ガイドダイバー。
四季折々の自然と触れ合いながら皆と過ごせる場所をと、原村に移り住んで十数年になる。
自分が知り合ったのはここ数年のこと。数名の核となるオヤジ達を中心に今回は老若男女・総勢16名。
最盛期は30名に及ぼうかと云う参加人数だったそうだが、今は少々コンパクトになった。
自分が合流したのは中日(二日目)、昼間のイベントはゲレンデバーベキューパーティー。
場所は富士見パノラマリゾート。もちろんスキーやボードに興じるメンバーも居るが飲み食い専門が大半。
自分も足が本調子であればオーナー氏のガイドでスノーシューと行きたかったが、まだ自重。
車での荷物運びを買って出たので、ノンアルコールで飲み食い専門に。


G-BBQ-2012-2

左:快晴の八ヶ岳  *  右:BBQ 肉・野菜・焼きそば 寸胴にはカレースープ


天気は上々、ゲレンデ頂部から対峙する八ヶ岳連峰を借景にご機嫌のひととき。
・・・と、滑り出しは良かったのだが、この日に限ってゴンドラに大きなアクシデント。
約200名を乗せたまま午後1時頃から約2時間に亘って立ち往生、我がメンバー2名もその被害者に。
勢揃い出来たのは15時近くになってからだった。(このアクシデントは翌日の新聞沙汰であった)
そんなトラブルも肴にひとしきり盛り上がり、食材もきれいに平らげて撤収を終えた頃にはゴンドラも復旧、
悲劇のヒロイン2名を除けば絶妙なタイミングで難を逃れての無事下山となった。

スキー場を後に車数台へ分乗して温泉へ移動、事の顛末を笑い話に身体を温めペンションへ戻る。
夜も引き続き宴会。 晩餐はしゃぶしゃぶ、美味い日本酒と豪華な食材が饗される。
やがて前日から1時間半の仮眠のみで動き続けて来た自分も電池切れ、酔いもまわり中座してひと眠り。
日付が変わる頃に再度合流してみれば生き残りは僅か数名、
殆どのメンバーが昨晩から飲み続けなのだから無理もない。 小一時間ほどで解散となった。
その後は独り文庫本を片手に、薪ストーブの炎を愛でつつ丑三つ時まで読書を楽しんでから就寝。


G-BBQ-2012-3

左:ペンション・マリンスノーの薪ストーブ  *  右:諏訪湖半 鰻古畑


明けて日曜、最終日。 美味しい朝食をたっぷりと頂き、のんびり帰り支度を済ませて三々五々解散。
復路同道の友人のリクエストもあり、諏訪湖まで足を伸ばし土産に公魚の空揚げを買い求め、鰻重を食して帰京・・・

少々駆け足ではあったが、久々に遠出をして東京には無い大空と静けさ、清涼な冷気を満喫した週末だった。
暫くアウトドアから遠ざかっていたので、お手軽バーベキューは丁度良いリハビリだった。
渓流釣り解禁前に、冬眠状態だった野外魂を揺り起こすのにはなかなか有益なイベントであった。
 
 
今回のツーリング <期間:2日>

  走行距離:515㎞     走行時間:8時間34分
  平均時速:60.12㎞/h  平均燃費:12.6㎞/L
 
 
  1. 2012/02/14(火) 12:02:47|
  2. 旅や野遊び
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『 特撰花形落語会 』 喬太郎・三三 二人会 於 かめありリリオホール / 平成二四年二月一〇日

子ほめ / 市也
初天神 / 喬太郎
鹿政談 / 三三

仲入り

締め込み / 三三
寝床 / 喬太郎


外出から戻って報告のメールを書いて送信、バタバタと後片付けをして地下鉄の駅へ。
目の前で行ってしまったのが多少時間は多くかかるが乗り換えが一回で運賃も安上がりなルートの最終便。
次の地下鉄に乗っても間に合うが、乗り換えが二回になり運賃も割高なルート・・・だがまだ間に合う。
乗り換え乗り換え、漸く千代田線。後ろの電車が遅れているとかで途中駅で時間調整、なかなか動かない。
遥々やって来て見れば千代田線の外はJR亀有駅・・・亀有は何度来ても一眼国くらいナゾの町である。
なんとか間に合って開演2分前に着席、通路際の席だったので人に迷惑をかけることもなく開演。

市也が悩ましい。 贔屓の辰じんと共に二ツ目昇進が決まっている。
辰じんよりは二ヶ月ほど先輩にあたるが、彼はどうにも今ひとつだ。
滑舌が悪いと云うか、“さしすせそ”が言えていない。
引き合いに出すと、最近TVやラジオに出ている流通ジャーナリストの某氏と同じタイプ。
所謂、舌が長いと云おうか舌のしまい方が不器用と云おうか・・・
これは身体的な特徴かも知れないので言及しづらいのだが。
気をつけて直るものなのかどうか・・・手立があるなら何とかなると良いのだが。

喬太郎一席目は「初天神」。 師で聴くのは初めて。
金坊も親父も叫びまくる。ここまで来ると雄叫び合戦である。師はこれからもずっと雄叫ぶのだろう。 
噺は団子屋の件でサゲて凧揚げのところはやらず。 本日はトリなので一席目は程々と云う塩梅か。
最近では雲助の 「初天神」 が印象深い。 正月初席での小三治は云うに及ばず。
前座噺の範疇に入るだろうが、この噺の難易度は高いと思う。
かなり賑々しい遣り方ではあったが、それを掛けた喬太郎の取り組みにかなり満足度は高かった。
何と云っても師の古典はこれが今年初であった訳で、ちょっと人心地つけた感じである。

三三の 「鹿政談」 は先日の中野での独演会に続いて。
まくらも師匠小三治や歌丸と回った九州興行についてと同じ内容。
師匠と一緒の興行でトリを務めたことがよほど印象的だったのだろう。
話す師の様子が照れながらも嬉しそうである。 暫くはこのまくらをあちこちで話すのだろう。話して良いよ。
今回の 「鹿政談」 は、中野の時のように奇妙なタイミングでの笑いは少なかった。
堪能具合と云う言葉があるかは分からないが、今回は前回より堪能出来た。
会の全般で拍手の沸く場面が多かったが、噺家の流れを邪魔するかどうかギリギリの線だったように思う。

「寝床」 はどちらかと云えば好まない噺だ。 幾つかの件での遣り取りがくどくて性に合わない。
以前聴いた喬太郎の 「寝床」 は旦那の義太夫が始まってからの大騒ぎの件がかなり賑やかだった記憶がある。
座布団の上で跳ね上がって大暴れ、それを見て会場が大喜びして沸いているのを見て逆に引いてしまった。
今回も全体の遣り方はほぼ同じであったが、
長屋の住人に三三の一席目 「鹿政談」 の豆腐屋与兵衛や、「芝浜」 の魚勝を出すなど、
客を悦ばせる入れごとが効いていて会場を存分に沸かせた。
そのまま弾け飛んでしまうかと思われたが義太夫の件での大暴れは気持ち抑え目、
個人的にはこれ位が良い加減と思われる感じで納まった。

喬太郎の古典を楽しみに足を運んだ会であったから、二席とも古典であった点は満足であった。
二席ともかなり元気な噺だったので、師の大声量に中てられた感は無きにしも非ずだが・・・

追い出しを聞きながらエレベータに乗り込み会場を後にする。
地上階はイトーヨーカドーの店舗内を抜ける。 なかなか白ける動線である。
JRだか地下鉄だか良く分からないと喬太郎も言っていたホームから亀有の町を見下ろして大手町経由で直帰。
この晩は酒をやらずに遠出の準備、夜中の二時過ぎには車を出して一路 中央道へと舵を切ったのであった。
 
 

  1. 2012/02/13(月) 12:31:21|
  2. 演芸など
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凍えて小声で嘆かぬように - NANGA portable down pants -

今週末、寒いところへ行く予定。
そこで、いずれ買おうと思いつつ使う時まではと先延ばしにしていた物をゲット。


nanga-pdp

ナンガ・ポータブルダウンパンツ


噂と評判に違わぬコンパクトパッケージ。 (画像は500mlPETボトルとの比較)

ハイテク防寒素材も色々出ているけれど、やはりダウンのナチュラルな温かさが何より。
ナンガの製品はナノダウンジャケットと冬シュラフのオーロラ600DX (2011/11/03掲載)を所有。
ナノダウンはフードなしの旧型で ほぼ毎日着用のお気に入り、
冬シュラフは今回漸くの初の出番となる予定。

今回のメインイベントはペンションと昼間のゲレンデ周辺なので冬キャンプほどの装備は不要と思われるが、
イベント前夜、若干標高高めの湖畔にて車中泊を考えているので、そこでの防寒が一番の課題。
オーロラとダウンパンツがあれば、まず大丈夫でしょう。

どうしても辛かったら、エンジンかけます。 許してチョンマゲ。
 
 


  1. 2012/02/09(木) 18:50:49|
  2. 道具のたぐい
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点景・・・主題ではなく - allroad & ALLTRACK -

AUDI A4 allroad (2011/08/08 掲載)の 2013 版フェイスリフトが発表になって暫く経つ。
更改前より装飾が より抑えられて魅力増が主観的印象。
AUDI ブランド自体、特に A4 は売れ過ぎ走り過ぎの感は否めないが、
ニッチモデルの allroad は やはり独自のポジションで評価したいモデルなのである。




・・・ニュースが伝える人出を見て結局行く気さえ起こらなかった昨秋の東京モーターショウ。
展示車両のチェックもいい加減で、迂闊にも最近まで気づかなかった車がある。

Volkswagen Passat ALLTRACK。

いずれ出ないかと待望していた Passat のクロスオーバーモデル。
昨年の11月末には既に日の目を見ていたようだが、、
今さらながらに知って俄然興味が湧いているここ4~5日なのである。




外観に限れば ALLTRACK は allroad に比してかなり地味な印象。

しかし allroad は寂れた集落や仄暗い林道での佇まいを想像すると、どこか違和感を覚える。
日本の田舎の風景、或いはアウトドア然としたシチュエーションではスタイルが洒落過ぎなのだろう。
それに比して ALLTRACK の醸し出すある種の野暮ったさは、もっとカントリーライクなのだ。
そして LEGACY OUTBACK ほど骨太でなく、VOLVO XC70 に感じる幼稚さもない。
匙加減として中庸を得ている。 主張が程好く抑制され、出しゃばらず点景として収っている。

日本の風景に馴染む佇まい。ALLTRACK にはそんなものを感じるのである。

欧州リリースはこの春、日本への導入はいつになるのだろうか。
必然、比較モデルとして allroad の名が浮かぶが、
いずれもハイテクの塊のような 4WDシステムの性能比較を軸に、
それぞれの長短を仔細に見比べた記事を目にするのが今から待ち遠しい。

将来、車の買い替え時に状況がどうなっているかは知る術もないが、
次に欲しい車として妄想する候補が増えることは楽しいものだ。

さて、LEGACY のフルモデルチェンジは早くて再来年あたりだろうか・・・ 
 
 
  1. 2012/02/08(水) 14:21:38|
  2. 道具のたぐい
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ハンター -The Hunter- 於 新宿ミラノ・シネマスクエアとうきゅう

主人公は傭兵、バイオ・テクノロジー企業の依頼で豪州・タスマニア島を訪れる。
目的は絶滅したとされるタスマニアタイガーの生き残りを見つけ出し、生体サンプルを採取するというもの。
ベースキャンプとなる人里離れた山小屋には幼い姉弟とその母が暮らす。
環境保護活動に熱心だった動物学者である父は数ヶ月前に森で消息を絶ち行方不明のまま。
発電機が壊れた山小屋は決して快適とは言えず、
行方不明の夫を思うあまり妻は薬漬けとなり床に伏して姿も見せない。
詮索好きな子供たちの視線を絶えず受けながら、選択の余地なくそこでの任務が始まる。

優秀なハンターでもある男は12日間を1サイクルに森や草原にトラップを仕掛けて回る生活を送る。
与えられた時間は二ヶ月、それ以上は企業が独占している目撃情報の隠匿が困難であることがその理由。
物語は彼の孤独なフィールドワークと逗留先の家族との交流の二本柱で進んでゆく。
そこに森林伐採業者と環境保護団体の対立などが織り交ざる。
非合法ハンターの素性を隠して研究者を装う男はエコロジストと疑われ、
森林伐採を生業とする地元の労働者たちから要らぬ敵愾心を抱かれ難儀することもしばしば。
やがて大企業の思惑や関わる人々の思いが複雑に交錯し、物語はサスペンスの様相を呈してい行く。


Hunter
(C)2011 Porchlight Films Pty Limited, Screen Australia, Screen NSW,
Tasmania Development and Resources and Nude Run Pty Limited.



広大なタスマニアの大地にあって、孤独な男の存在が際立って見える。
そこには自然賛歌や環境保護のスローガンなどは微塵もなく、
ただただ獲物を追う者のストイックな行動が坦々と描かれて行く。
彼は野生動物を見て目を細めたり、紅い夕陽を観て溜め息をつくことはしない。
そこに自然と対峙する人間と云う構図はなく、一己の生き物が自然の一部となって行動している。
そう云う様がシンプルに描かれていて、
情緒にうったえる甘美なものは極力排除されているのが却って清清しい。

それとは別に、一定期間を終えて山小屋の親子の所へ還って来た時の束の間の休息が、
傭兵と云う特殊な生き方を選択した男が嘗て味わったことのない安らぎを与えて行く。
この、家族との交流が物語の上であった方が良いのか否か、観ながらずっと考えていた。
もっとストイックな展開でも成り立つし、男の生き様が際立つのではないだろうかとも思ったから。
しかし終盤に向けての展開で、この家族との交流が大きな意味を持ち男のキャラクターを立たせることとなり、
大きな流れの中で説得力を持たせる脚本には巧いと認めざるを得ないものがあった。

とても安直で安っぽい表現を敢えて使えば、男とタスマニアタイガーがダブって見えるのである。
捜し求める獲物は果たして本当に存在するのか、生き残っているのか。
ただ一頭、絶滅する運命が待ち受ける中、日々を生きながらえているのだとしたら。
その大いなる終焉に向けて時を刻む幻の獣が、
峻厳な大自然の中で黙々と獣を追い求める側の男とダブルのである。

そうした緊張感の中で織り交ぜられる人間社会の矮小な争い諍い。
森を切り開いて生計を立てる労働者たちの切迫感は、決して彼等を悪者には仕立て上げ切れないし、
ウッドストック気取りのエコロジスト達の正義感は、何ともオメデタく間抜けに見えてしまうのが不思議でもある。

地球に優しいと云う滑稽な言葉が使われるようになって久しい。
そう云うレトリックにどっぷりと浸かった現代の環境保護意識にあって、
男がクライマックスで取った行動はある意味過激だが、
自分のような捻くれ者としては共感出来るものがあったし、カタルシスさえ感じるのであった。
道理とか正義とか、そう云うものでは説明出来ないものも、この世界には沢山あるのだから。


  1. 2012/02/06(月) 12:42:53|
  2. フォト・キネマ・アートとか
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二月上席 三日目 夜の部 於 鈴本演芸場 / 平成二四年二月三日

道具屋 / 辰じん (途中から)

一目上がり / 麟太郎
曲独楽 / 紋之助
地球の裏表 / 扇里
宮戸川(お花半七なれそめ) / 志ん輔
漫才 / ゆめじ・うたじ
棒鱈 / 歌奴
寄合酒 / 文左衛門

豆まき

仲入り

奇術 / 夢葉
浮世床(太閤記) / 圓太郎
粋曲 / 小菊
抜け雀 / 白酒(代演)


水曜日のこと。
ひょっとしたら金曜は時間があるかも知れないと思い定席のHPを開くと鈴本に扇辰の写真が。
お、扇辰が主任かと番組を見ると他に文左衛門、圓太郎が出ている。
これは良いなと更によく見れば三日は扇辰の代演で白酒となっている。
目を付けたきっかけは扇辰主任だったが白酒でも不足があろうはずがない。
行けたら行こう・・・で、当日。

果たして火急の用事もなく、少し早めに仕事を切り上げ上野広小路へ。
鈴本のHPにリンクがあり、本来主任である扇辰の割引券を持参。
ご本人が出ていないのに割引券を使うのも無粋かなと多少の葛藤もありつつ、600円引きには抗し難い。
600円は大金である。 昼飯一回分の大金である。 木戸口のおねえさんにそっと見せて2200円で入場。

中に入ると前座が始まっていた。 見れば辰じんではないか。
辰じんは個人的に前座の中では一押し、扇辰のお弟子さん。 残念、端から聴きたかった。
今年の十一月に二ツ目昇進が内定している。 おめでとう。

そんなこんなで正月の特別興行を除けば初の定席を楽しむ。

麟太郎 : 今ひとつ、入って来ない。こちらも温まっていないからか。

紋之助 : 正月同様ノリノリであった。

扇里 : 「やかん」の問答のようで筋が異なり、何という題目なのかが気になって仕方がなかった。

志ん輔 : 少々押さえ気味か。お花ちゃんのコケティッシュな部分をもうちょっと見たかった。

ゆめじ・うたじ : 割り箸の種類の薀蓄が面白い。丁六・小判・元禄・利休・天削・竹割など、知らなかった。

歌奴 : 体格が立派で艶があり様子が良い。記憶違いで今回が初聴きだった。いずれ長講も聴いてみたい。

文左衛門 : 若い衆が本当に填まる。 いつも思うが眉間の皺の使い方は恐らく師が随一だろう。

夢葉 : 笑いのスピード感が小気味よい。 ちょっと“きみまろ”テイストが入っていてそこがまた由。

圓太郎 : 少し長めのまくらから 「浮世床」。つっかえ方が巧いと云うのも変な表現だが、巧い。

小菊 : 読んで字の如く、粋であった。 いつも思うが粋曲聴きながらペェイツやってみたいものだ。

白酒 : 師の 「抜け雀」 は初めてで嬉々。 相模屋の主が女房との馴れ初めを話したがるところが傑作。


二月三日は節分、お仲入り前に演者総出で豆まきがあった。
まくのは豆ばかりでなく、手拭いや鈴本の招待券も混じっている。
立ち上がって積極的に取りに行かなかったが “ ほ ノ 5 ” に座っていたので近くまで飛んでくる。
あっという間の豆まきだったが、手拭いが二本手元に。
一本は色物さんの、もう一本はこの日の演者ではないが三三のものだった。
三三を頂いて、色物さんのは戦果が上げられなかった前席の女の子に進呈した。
結局肝心な豆はひと粒も見なかったが、お開き後に飲み屋で摘ませて貰ったので由としよう。

この日の客入りは六~七割ほどだったか。
週末金曜ではあったが、平日の定席通常興行の雰囲気も堪能出来たし、良いひと時であった。


  1. 2012/02/04(土) 10:55:01|
  2. 演芸など
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『 三三独演会 冬 』 於 なかのZERO 小ホール / 平成二四年一月三一日

蝦蟇の油 / 三木男
首提灯 / 三三

仲入り

湯屋番 / 三三
鹿政談 / 三三


昨夜は 『喜多八膝栗毛』 とバッティング、暫く迷ってから三三に決めて手配しての当日。

早く出過ぎてしまい、開場時刻に会場へ着いてしまう。
このホールは椅子が良くないので長いこと座っていたくないのだが、
かと云って他に寛ぐ場所があるほどホワイエが充実していない。
仕方なく席で携帯をいじったり本を読んだりしながら開演を待つ。

調べたら昨年の 『冬』 も開口一番は三木男であった。
祖父・三代目三木助の縁で談志に可愛がって貰った思い出話。
まくらの最中、言葉の繋ぎに “え~” が頻繁に入る。
すらすらと言葉が出てこないなら多少間を空けても良いと思うのだが。その方が客も集中するだろう。
“え~”“え~” の連続では言葉が均され単調になり頭に入って来なくなる。
「蝦蟇の油」 は口上の途中で一箇所引っ掛かる。 惜しい。
間誤付く三木男に会場から笑いが・・・そこ笑うところか。
それを自らいじるか否か、主観ではさらりと流した方が良いといつも思う。
自虐で笑いを取るのは芸が別だろう。

「首提灯」 は根多出し。 初めて聴く噺だったのでつい気になって調べてしまった。
そこで見つけた志ん朝の動画を観たのは拙かったか。
斬られた首をしきりに直す仕草にかなりの差を感じる。
志ん朝のそれからは頭の重みがリアルに伝わってくる。遣り方はそれぞれだろうが、三三はそこが軽い。
首の筋肉で支えているのが分かるからだろう。 いや実際は支えていなかったら大変なことなのだが。
そこをあたかも首が離れているかのように、が見せ場であろう。

「湯屋番」 は四代目小せんに習ったとのこと。
小せんは正月の落語番組で見たばかりで顔も浮かんだ。
一席TVで聴いただけで人と成りを分かるはずもないが、
映像でその人を見たことがあるだけでも三三のする思い出話に絵が浮かぶ。
鬼籍に入った噺家たちについて多少でも予備知識があった方が、
現役の噺家たちから逸話を聴く上でも近しく感じられることを改めて実感。
気になった名跡はなるべく調べるようにしなくては。

「鹿政談」。笑える場面も幾つかあるが、そこは笑うところなのかと思う場面が幾つかあった。
豆腐屋与兵衛が根岸肥前守の助け舟の甲斐もなく馬鹿正直に何でも答える場面や、
鹿の守役、塚原出雲の融通の利かなさに根岸肥前守が睨み付ける場面などは笑うところなのだろうか。
的外れではと思う客の反応には今までも数え切れないほど遭っている。
勿論、自分の考えが誤ってることもあろう。
噺の楽しみ方など人それぞれかも知れないが、出来ることなら連綿と伝わる行儀流儀は知っておきたい。
何から何まで自由奔放に楽しんでいるうちは、嗜みの域には辿り着けないと思うのだ。

お開きになって、ホールのある南側から線路を潜って北側へ。
午後九時を回った定休日前日の鮨屋、ネタ切れも承知で暖簾を潜ると先客はご夫婦づれお二人だけ。
思いの外、ネタは揃っており頼んだ中で切らしていたのは鯖だけだった。
小鉢で頼んだ鱈の白子ポン酢がなかなか美味い。
先日、新年会で頼んだ河豚の白子は格別であったが、値段を鑑みれば鱈の白子が分相応だなと実感。
白魚の軍艦も美味かった。 やがて摘みと握りで腹八分、十時も回ったので海老芋の揚げだしは自重。
瓶ビールのあと、熱燗はやめておいて温かい緑茶割りを二杯。
最後に玉子をひとっぺら摘んでお愛想。 お会計はニアピン。 土地柄か、ここは案外お手頃なのだ。



  1. 2012/02/01(水) 17:28:20|
  2. 演芸など
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