七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

『 人形町 噺し問屋 その28 』  兼好独演会  於 日本橋社会教育会館8階ホール / 平成二四年二月二七日

芝居の喧嘩 / 朝呂久
雛鍔 / 兼好

(仲入り)

蝦蟇の油 / 三木男 (急遽代演)
紺屋高尾 / 兼好

“その28” とある。 兼好恒例の独演会に初参加。
会場に着くとズラリと行列、受付払いの会なので支払いの順番待ちである。
木戸銭は二千円と分かっているのだからつり銭のないように用意しておけば良いものを、
結構な数の人が万札を出しているから捌けが悪い。 案の定、開演時刻になっても緞帳は上がらなかった。

少し遅れて開演。 まずは兼好が挨拶に立って会場を沸かせた。
主役が前説のようなものだ。 これでは朝呂久も遣り辛かろう。
彼の 「芝居の喧嘩」 は二度目。 大きな声で畳み掛ける。 主役に負けじ、であろうか。
しかし少しばかり笑いを欲しがるようなところが気になった。
所々で小噺が入るのだがそこでいちいち間を取って反応を見る。もう一度遣りますよと念を押すところも。
まぁそれも遣り方ではあろうが、ここは以前志らくが言っていた笑いを潰すようなスピード感が欲しかった。
客の笑いを待つ、欲しがるとテンポも悪くなるし野暮ったくもある。 秋には二ツ目だ、頑張って欲しい。

「雛鍔」、生で聴くのは初めてだ。
まだ師の落語を十席も聴いていないので “ らしさ ” を語るのもおこがましいが、
自分がイメージしているもの、期待している師の面白味は存分に楽しめた。
特に植木屋の熊が女房に来客の番頭さんへお茶を出させる件のテンポの良い台詞回しなど、
このグルーヴを聴きたくて足を運んだのだと我知らず気持ちが前のめりになってしまった。
金坊の演じ方も猪口才で可愛らしく、この噺の聴かせどころはきっちりと押さえて楽しませて貰った。

仲入り後、客演の紫文ではなく三木男が登場。 どうやら紫文が追いつかなかったようだ。
どう見ても三木男は準備があったようには見えない。髭を当たっておらず鼻の下が薄っすらとくすんでいる。
羽織も着ておらず体に合わないダブダブの着物は恐らく体格の良い朝呂久のもの。
“勉強に来たのですが急遽こう云うことになりまして・・・”と。 やはり着物も朝呂久の借り物であった。
客席から“芝浜!”とかけ声がかかるが、当然そんなことはなく 「蝦蟇の油」。
この間、三三独演の開口一番で聴いたばかりだ。 あの時よりは滑らかであったが、また二度ほど噛んでしまった。
隣席の男性がそれを面白そうに笑っている。 嫌な感じである。 ピンチヒッター、ご苦労様。

トリは 「紺屋高尾」。 来なかった紫文を偲んで(?)から、
まくらは合わなかった三木男の借りた着物や土に還る繊維の服の話など、かなり面白くて会場を沸かせた。
ちょっとその爆笑が余韻を引き過ぎたか、可笑しくも人情ものの割に客の反応がいちいち笑うばかりであった。
会場内の雰囲気にあって、メリハリが今ひとつだったのかも知れない。
笑わせるところと聴かせるところ、笑うところと聴くところ。
兼好と客の呼応が今ひとつ噛み合っていなかったような印象が残った。
確かにお玉ヶ池の先生を徹底的に藪医者にして弄くるところなど笑いどころ満載ではあったが、
そちらが勝ち過ぎて、デリケートな遣り取りの部分まで笑いが侵食していたような感じであった。
ただダラダラと笑い続ける会場の空気に、違和感があったのは自分だけではない筈だ。・・・と思いたい。
楽しみ方は人それぞれ、落語を聴いて笑って悪いことなどないのだろうが、今ひとつ腑に落ちないのであった。

お開きの後は先週金曜、鯉昇の会の後に会場近くで目に留まっていた “鰻 居酒屋” と書かれた赤提灯へ寄ってみた。
手頃な酒代で鰻を肴に飲ませる まぁまぁな良い感じの店であったが、
さすがに21時を回ってからタレで鰻の串が五本ついて来るセットは重かった。
う巻も追加して、ビールと菊姫を一杯ずつ飲んで三千円で釣りが来たが、少々コッテリと遣っちまった感じである。
また寄ることがあったら “ うなちゃんセット ” は やめておいて、肴は単品で行こう。
 
 
  1. 2012/02/28(火) 18:28:50|
  2. 演芸など
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