七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

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『 人形町 噺し問屋 その30 』  兼好独演会  於 日本橋社会教育会館8階ホール / 平成二四年四月一六日

牛褒め / 昇也
湯屋番 / 兼好
真田小僧 / 由瓶

(仲入り)

小間物屋政談 / 兼好


仕事で日曜からの徹夜明け、15時に店仕舞いして仮眠を取る。
18時前に目が覚めて探し物などグズグズしているうちに開演時刻が迫って来た。
茅場町の駅に下りた時点で8分程しかない。 早足、早足。 会場に入るとまだお囃子が聞こえる。
間に合ったと思ったが、受付で婆さんがひとり、お連れが木戸銭を払ったかどうか分からないと愚図愚図。
当日清算の会ならではの光景だが、もう始まるよ婆さん。
それでも取り敢えず払っとくからと受付の兄さんに二千円パッと渡したからまぁ由としよう。
こちらはエレベータの中から二千円握り締めている。
名を告げ券をサッと受け取りホール扉へ向かう途中で、ご挨拶で登場した兼好の声が聞こえて来た。
恒例のご挨拶の中、席へ滑り込む。 その前に勘違いで別の席の人に席番を確認する粗相をしてしまった。
ゲスト由瓶とのオープニングトークを聴いているうちに、こちらの気忙しさもやがて落ち着いて来た。

開口一番は前回の “ 噺し問屋 ” 同様、昇也。
この人は話し方がとても流暢だ。 だが過ぎるところがあるのか、噺の内容がスゥと身体に入って来ない。
喋るのは達者だが話しに生身の温もりが足りないとでも云おうか・・・まだ判断がつかないのだが。
総じた様子は好みの前座さんだ。 これからも気にかけて行こう。
ゲストの由瓶は上方の噺家。 上方はどうも苦手である。
そして師はどこか白鳥に似た雰囲気を醸し出しているし、色々な意味でシックリ来ないのであった。

兼好、一席目。まくらでは宮家を創設すれば年間維持費は3,050万円かかるそうで、人品を保つには金がかかると。
金持ちなら人品が伴うかと云えば鳩山みたいな人騒がせもいる。しかし憎めないのが若旦那と進めて 「湯屋番」。
噺の若旦那は妄想癖もここに極まれり、とにかく幸せな男。 これだけ妄想で恍惚となれれば人生楽しかろう。
しかし案外、世間はこうした妄想を日々繰り広げている暇人によって平和が保たれているのかもしれない。
いや、男をそう云う妄想に駆り立てる いい女の存在が世界平和を担っているのだなと、
もういい歳の四代目若旦那である自分はおめでたく結論づけるのであった。

二席目は袴を着けて登場。 侍噺か政談ものか講談か・・・で 「小間物屋政談」。
仲睦まじい夫婦、背負いの小間物屋 亭主小四郎と妻 お時。
小四郎が上方への出稼ぎの道中に小田原宿で客死したと勘違いされ縁が切れる。
実際は箱根へ向かう道中で追い剥ぎに遭った同じ小間物屋ながら大店の主人 若狭屋甚兵衛を助けて、
小四郎が自前の着物を与えた後に甚兵衛が件の宿で客死したのが間違いのはじまり。
人違いで後家になった格好のお時を、世話焼きでせっかちの大家が小四郎の親戚筋とくっ付けてしまう。
そこへ小四郎が戻って来たから女房と家を盗られたと騒ぎ出し いざこざの末、お白州でお裁きを受けることに。
大岡様に問われてお時は、毎日位牌に手を合わせて心の整理もつけてしまったし、今の亭主も優しいからと。
もはや よりを戻す気はないと小四郎を落胆させる。それを聞き入れ大岡裁きは小四郎へ実際に死んでしまえと。
ギョッとする言葉から続けて、助けた甲斐なく客死した甚兵衛の残された妻が店と使用人を持て余す故、
甚兵衛に成り代わり店と妻を引き受けないかと持ちかけ、後家も亡夫の大恩ある優しき人に異存はないと言う。
そこで小四郎、改めてふと見ればこの妻、歳は二十三にしてその美しいことと云ったらない。 どえらい別嬪。
女房・家のことなど吹っ飛び、お裁きに感謝々々。“ ご恩は背負い切れません ” で “ もう背負わんで良い ”。

悲劇のち喜劇のような噺だが、これを聴くと夫婦の絆なんてその程度のものかと思う節もある。
ここには江戸の頃の死生観も含まれていようし、男女の仲の割り切りのようなものも表れているのかも知れない。
女は夫の死を嘆きつつも、今優しくしてくれる生身の男がいればそちらに情が移るもので、
男の欲は保って来た体面体裁より、いい女と財産が目の前にぶら下がればそちらに靡くものだと云う、
人の業とでも云おうか、シニカルなエッセンスがこの噺には含まれている気がするのであった。


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  1. 2012/04/18(水) 15:00:13|
  2. 演芸など
  3. | コメント:0

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