七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先でのよしなしごとを。

『 みなと毎月落語会 』 三三独演会 於 麻布区民センター区民ホール / 平成二四年五月二九日

金明竹 / 市也
湯屋番 / 三三
三人旅 / 三三

(仲入り)

五貫裁き / 三三


夜には荒れ模様の予報に折畳み傘を捜す。 僕は山口瞳ではないから。 しかし探せど探せど見つからない。
もう出ないと間に合わないところまで来て財布を入れようと鞄の中を覗くと傘が・・・。

麻布区民センターの落語会も久々だ。
傘の一件で時間が押したので外苑東通りのセブンイレブンに寄ったが、
手っ取り早くて便利なゼリードリンクが置いていない・・・珍しいコンビニだな。 別の物を買って会場入り。
C列だったので前から三列目かと思いきや、スタッキングで い・ろ・は・に の四列が前に。
都合七列目であったが、上手側で左が通路際だったのでなかなかの良席であった。

一席目は先日菊六で聴いた 「湯屋番」。菊六の時の印象が今ひとつだったので聴き直しの気分。
少々運びも違ったが、柳家と古今亭の違いなのかどうか・・・そろそろ その辺の見識も持たねばと思う。
菊六は番台から転げ落ちて這い上がるところでプツリとサゲたが、
三三は下駄が無くなって順送りするよく聴くかたちだった。 

時折空調の風切り音が大きく、三三もそれをイジッて隙間風が吹いていると笑わせる。
サーモが働いて風速が一定域に入るとダクトが鳴るようだ。 仕事柄、こう云う不具合が凄く気になる。

二席目は下がらずに 「三人旅」。 「二人旅」 は聴いたことがあるがこれは初めて。
調べると連作長編 「三人旅」 の 「小田原」 の件の一部になるようだ。
昔は、東海道五十三次の宿場一つ一つに対応した噺が存在したらしい。
現在は 『発端』 『旅立ち』 『朝這い』 『鶴屋善兵衛』 『おしくら』 とほぼ五つに分かれている。
『おしくら』 はまさに三三で聴いたことがある。
師は小田原出身だし、この一連の噺に愛着があるのかも知れない。

トリ根多は 「五貫裁き」。 これも初めて聴く噺、政談もの。 大岡裁きだ。
先日扇辰で聴いた 「さじ加減」 同様、大家が活躍する噺だった。
しかし悪役となる質屋・徳力屋が少々気の毒だ。
大家が店子の八五郎の味方をして切る啖呵も分からぬではないが、
最初に徳力屋から貰った一銭をはした金と逆ギレして投げつけ、徳力屋に手を上げたのは八五郎だ。
いくら八五郎が恩義のある人の孫とは云え、徳力屋にしてみればその来訪で災難に巻き込まれた感もある。
最後は和解して徳力屋も善人な振る舞いを見せるが、単純に目出度しメデタシとは思えぬ噺だった。
噺と云うのは遣り方で運びも違うもの。 その違いで溜飲が下りるか否か。
いずれ別の噺家でこれを聴く機会が来るのを待ちたい。

さてお開き。 以前ならこの会場の後は西麻布の大将の店へ寄るのが定番だったが、その店も今はない。
その同じ場所に新しく出来た店にも先日行ってみたので早速再訪する手もあったが、他の店も色々と頭に浮かぶ。
芋洗坂の赤提灯や墓地下のラーメン屋、或いは数駅戻って千駄ヶ谷の懐かしい店などなど・・・。
候補を辿りながら連想が地元駅まで戻って来て、先日まで改装で休んでいた居酒屋のことを思い出す。
あすこにするかと地下鉄で戻ることにして、鳥居坂とは反対方向へ歩き出した。

それにしても落語の後に六本木交差点へ向けて歩くというのは風情のないものだ。
三三が纏わせてくれたイイ感じの江戸の空気が、ケバケバしい喧騒に剥ぎ取られて行く。
大将の店へ目掛けて麻布のお山を上ったり下りたりしていた頃が懐かしい。
静かな元麻布の住宅街の坂道を少し汗ばみながら歩くのは、落語の余韻に浸るのには良い時間だった。
そんな郷愁を胸に地下鉄に揺られて地元まで戻ってみれば、お目当ての店は定休日なのであった。 涙なみだ。


  1. 2012/05/30(水) 12:01:19|
  2. 演芸など
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レンタネコ 於 テアトル新宿

荻上直子監督作品。
過去の作品では 「かもめ食堂」、「めがね」 が印象深い。

初めて観たのは 「めがね」 だった。
南の島の魅力的なダイニングのある宿が舞台で、
出てくる食事がとても美味しそうでなかなか面白い作品だった。
その後、目黒シネマに 「かもめ食堂」 が掛かって観る機会を得た。
これもそこそこ面白かったが、「めがね」 の方が好みであった。

「めがね」 の後 「トイレット」 が発表されたが個人的には今ひとつ。 そして本作へ至る。

別の分類でスールキートスの作品群としての見方。
荻上作品ではないが「プール」「マザーウォーター」「東京オアシス」と連なる。
この中ではまたしてもとても居心地良さそうな宿が舞台の 「プール」 が印象深い。
他の二作は今ひとつであった。

総じて作風に通ずるものがあり、マニアは意見を異にするかも知れなが自分は同じ系譜で括っている。

とてもスロゥな世界観で、イメージではセゾンで無印良品な淡色系の女性が主な登場人物。
内容は極めて刺激が少なく静かで穏やかで柔らか・・・要するにオジサンの居場所があまりない世界観なのだ。
どの作品にもオジサンは登場するが新橋の臭いなど微塵も感じさせず、
この世界観を決して壊さない優しきオジサンしか出て来ないのである。

一連の作品で観終わっても印象を残すのが食事に関わる場面であろう。
面白いと思った作品ほど食事のシーンが多用され、また魅力的に描かれていた。
しかし「レンタネコ」 にはあまり食事のシーンは出て来ない。
つまり個人的には総じて印象の薄い作品なのであった。


r-neco
(C) 2012レンタネコ製作委員会


特段、ネコ好きと云う訳でもない。
むしろ家の中をネコが駆け回り調度品をガリガリと爪で引っ掻くシーンなど見ると、
ゾワゾワと鳥肌が立って “ ヤメんかい、バカもの! ” とか思ってしまう方である。
フワフワと抜け毛なんか飛んでようものなら窓全開でレレレのレなのである。

自然の中で動物を見たり遭ったりするのは悪くないが、
コンパニオンアニマルと生活を共にしたいと云う感覚は無い。
自然に近しい環境に居を構え暮らす上で、使役を担ってくれるパートナー。
例えば頼もしき馬とか犬(猟犬とか牧羊犬とか)と暮らすなどとなれば話は別だけれど。 
愛玩ネコとマッタリして癒されたりはしないのである。

・・・じゃナンデコレ観ニ行ッタノ? と云うことになる訳だが、
荻上作品なのでチェックしておこう、 と云う動機による選択。

次の作品が登場すれば内容は兎も角きっと観るだろう。
荻上&スールキートスは、なんか気になる。 そう云う世界なのだ。
 
 
  1. 2012/05/29(火) 12:43:29|
  2. フォト・キネマ・アートとか
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テルマエ・ロマエ - THERMAE ROMAE - 於 ユナイテッドシネマとしまえん スクリーン5

やはり阿部ちゃんは日本映画界において貴重なコメディアンであろう。
あの男前な風貌とシビレる低い声で可笑しなことをやってのけるギャップは他の追随を許さぬものがある。

なかなか面白い作品であった。 終始楽しく笑える。
細かいことはさて置けば良い。 リアリティを語る映画ではないのだから。

どこまでがセットでどこからがCGなのか・・・なかなか良く出来たローマの町並み、
そして今のご時世にしては少しレトロな日本の風景。 その対比も楽しい。


t-r.jpg
(C)2012「テルマエ・ロマエ」製作委員会


終盤に、ちょっと話が壮大になってしまう。
そこはもっとチープにコメディで通した方が良かったのではと思う節もあるのだが・・・。

実際のハドリアヌス帝時代のローマがどんな所であったのか、興味をそそられたりもする。
どうにもリアルな絵づらの中に本当のローマがあるようで入り込んでしまうのだ。
どの位、時代考証がなされているのか・・・いやいや、そんなことは気にしてはいけないのだ。
とは云え、その点に於いては相当気を遣っている感じがするのだ。
撮影もチネチッタ(ローマ郊外の撮影所)を使ったらしい。 ちゃんとしているのだ。

阿部ちゃんをはじめ、ローマ人を演ずる日本人俳優に何故か違和感が無いのが不思議である。
銭湯に居たおじいさん達がいい味を出していた。
上戸彩ちゃんの可愛さが自分にはイマイチよく分からないのだが、
他に替えの効かない雰囲気を持っているのは確かだと思う。
それに彼女が居なかったら、むさ苦しい男と老人しか出て来ない映画になっていた訳で。

終始笑える映画を観たのは久々であった。
 
 
  1. 2012/05/28(月) 17:08:06|
  2. フォト・キネマ・アートとか
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宇宙兄弟 於 ユナイテッドシネマとしまえん スクリーン1

大きくなったら何になりたい?

子供の頃にはそんな質問をされるものだ。
答えは大きな夢であったり、本当になりたいものであったり。
それは子供の発想だから二転三転することもある。
小さかった頃になりたかったものを大人になって忘れてしまうこともあるだろう。

これは小さい頃からの夢だった宇宙飛行士になった弟と、
同じ夢を持ちながらその道を別ってしまった兄の物語。

難しいことはない。 素直で明るい映画だ。
夢多きたくさんの子供たちに観て貰いたいと思った。
公開時期を夏休みにずらしても良かったのではないかとも思った。


spacebros
(C) 2012「宇宙兄弟」製作委員会


昔夢多き子供だった大人たちはこれを観て何を思うだろうか。
自分がなりたかったものになれた人、なれなかった人。
なったけれど思い描いていたものとは違っていたと思っている人。
なりたかったものにはなれなかったけれど今の自分に満足している人。
思っていたものになれず今に満足できていない人・・・

その過程がどうであれ、大人になる上で誰でも通る選択の数々。
様々な岐路があって、取捨選択を迫られる。
子供の頃の思いは遠くなり、忘れ去られてしまうこともあるだろう。

時にはこんな素直な物語を観て、
遠い昔に大きな未来が開けていた頃のことを思い出してみるのも悪くない。
さぁ何になろう。 嘗てそんな思いに胸躍らせた瞬間があったことを。

自分は子供の頃からなりたかったものになれた一人だ。
思い描いていたのとは多少違ったところもあるけれど、
なりたいものになれた今を迷わず精一杯にやって行く気持ちに揺るぎはない。
理想の場所はまだまだ先にあるけれど、辿っている道に間違いはないと思う。

大人になって、もはやされることのない質問。 子供にだけ、それを問われる特権がある。

大きくなったら何になりたい?
 
 
 
  1. 2012/05/27(日) 18:13:33|
  2. フォト・キネマ・アートとか
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定席寄席 五月下席 初日 夜の部 於 鈴本演芸場 / 平成二四年五月二三日

たらちね / 半輔 (途中から)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
子ほめ / 才紫 (代演)
太神楽曲芸 / 仙三郎社中
元犬 / 菊志ん
人形買い / 菊丸 (代演)
漫才 / ゆめじ・うたじ
短命 / 一朝 (代演)
棒鱈 / 菊之丞

仲入り

奇術 / マギー隆司
桃太郎 / 正朝
粋曲 / 小菊
妾馬 / 志ん輔


前回19日の次は29日まで落語が入っていなかった。
このところ立て続けだったので今週は落語抜きをするつもりだったのだが・・・

朝、Twitter で志ん輔師が “ 上野鈴本下席は今日から 夜の部トリを ” と呟いている。
こちらの予定は16時から浦和方面で打合せ、恐らくそんなに長くはかからないだろう。
どんなに遅くとも18時には新宿に戻られそうだったので映画でも観ようかと思っていた。
打ち合わせ次第では上野に17時もアリかも知れない・・・志ん輔を聴きたいな。

果たして上野駅に着いたのは17時前、宇都宮線のホームにある駅そばで海苔抜きのざるを手繰って鈴本へ。
中に入ると半輔が開口一番の最中。 客入りは一割以下か、平日の五時過ぎだから無理もない。


才紫 : いきなり代演から。最初から赤ん坊を褒めるのが目的ではない運び。途中で思いついて竹のところへ。

仙三郎社中 : 疲れているのか仙花の目が落ち窪んでいる。仙三の失敗が目立つ。その分、仙三郎が奮闘。

菊志ん : この人を見るとどうも髪型に目が行ってしまう。寝癖なのか拘りなのか・・・あまりキレイではない。

菊丸 : 節句が五つある話は雑学として為になった。演題が分からなかったが最後に告げて終わったので解決。

ゆめじ・うたじ : 以前にも聴いたお箸の薀蓄。二度聴いて概ね頭に入った。酒の肴に使わせて貰おう。

一朝 : 権太楼の代演だが志ん輔と共に今回聴きたかった一朝。ご隠居の “ そこだよ ” で振り返る仕草に笑う。

菊之丞 : がらがらの寄席で師を聴くのが不思議な感じ。今月の余一会は既に満員御礼、札止めだから。



マギー隆司 : 前にも見たかと調べてみたら意外にもマギー一門の奇術師を見るのは今回が初めてだった。

正朝 : 聴き憶えのない噺。演題が分からず調べるとそのまんま「桃太郎」で二年前にいっぽんで聴いていた。

小菊 : 最初の都都逸では拍手を我慢した方が良いのか。“ 短いからボーっとしてたらダメですよ ” を聞けず。

志ん輔 : 先日声が出なくなり休んだと聞いていたので気になったが元気。笑わせてしんみりさせてイイ感じ。


前々から志ん輔をたっぷり聴きたいと思っているのだが、なかなか落語会にめぐり合わず寄席トリで聴くことに。
鈴本は設備改修で下席を二日休場、当夜が初日であった。 平日通常興行、客入りは二割五分と云ったところか。
朝に思いついて都合がついたのでふらりと寄ってみたが、良い席でゆったり寛いだ時間を過ごせた。
落語を聴く容(かたち)としてはこれが理想的かも知れない。なんか一端の落語聴きになったような気がした。

追い出しで湯島の美人女将の処へ。 今回は客足もそれなりで門前払いを喰らわずに席に着く。
女将と云っても彼女は洋装なのだが、あれで着物だったらオヤジキラーポイント倍増だ。
鶏魚の刺身を頼むと、残りが少ないのでと鰊の刺身と桜鯛の昆布〆も盛り合わせてくれた。 どれも美味い。
本日のおすすめに白海老の唐揚げが、“香り良し”の文句を添えて書いてある。
頼んでみると確かに良い香りだ。 少し甘い後味に紅生姜など添えると良いアクセントになるかもと言ってみる。
すかさず はじかみを小皿に載せて出してくれた。 これが正解、海老の甘味と抜群の相性。 至福の時であった。
一時間程して四名さんが来店したのを機に店を出た。 ビールとホッピーだったので酔いは程ほど。

総じて良い夜であった。
 
 
  1. 2012/05/24(木) 12:45:00|
  2. 演芸など
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『 ワザオギ落語会 』 白酒・兼好・扇辰・百栄・菊六 於 国立演芸場 / 平成二四年五月一九日

湯屋番 / 菊六
弟子の強飯 / 百栄
さじ加減 / 扇辰

(仲入り)

元犬 / 兼好
付き馬 / 白酒


半蔵門駅の改札を出ると後ろから着物姿の男性が来るのが見えた。
オヤと思ってよく見ると、マスクと眼鏡をしているが兼好師である。
ちょっと歩度を緩めて追いつかれ、“こんにちは”と声をかけてみる。
タイミングが唐突だったので少し驚かれたようだが、
“こんにちは、いつもありがとうございます。”とお愛想を返してくれた。
もう少し自然な感じで声掛けすれば良かった。 次の機会には気をつけよう。

開口一番から菊六とは贅沢と思ったが、内容は今ひとつに思えた。
若旦那が豆腐を遣いに行く件がどうもネットリしていて嫌な感じが残った。
所謂様子の良い噺家なのに、噺に猥雑な雰囲気があると何故か生臭く感じてしまう。
男の助平心を出す時はもっと崩したところがあった方が良いのかも知れない。
分かり易くヘラヘラニヤニヤして見せない分、ムッツリ感が出てしまっているように思う。

五師の中で百栄だけあまり積極的に聴かない。 新作と上方にはそれ程興味が湧かないのだ。
しかし今回の 「弟子の強飯」 はなかなか面白かったのだ。 師匠が高校2年生をスカウトする噺。
この高校生、酒も呑めば煙管も吸う。 喋り方は圓生そっくりと云う妙な少年。
圓生を観たことがないのでとても不思議な気分になる。
どこまで似ているかと云えば瓜二つとは行かないにしても圓生だと誰でも分かるくらい。
なんかとても新鮮で、不思議なものを見せて貰ったと云うのがまず以っての感想。
新作は良く分からない話の運びで笑いのツボが悉く自分とズレるのが今までの体験だっただけに、
奇を衒い過ぎていない分(ないからこそ)、抵抗なく引き込まれるような内容だったと思う。
こんな感じで聴かれるなら新作も悪くないと思う一席であった。

百栄と入れ替わり、座布団の色も変わって扇辰。
百栄の後は遣り辛いと云って、高座から暫し客席を見回す。
何を遣ろうか思いつかないと、少し沈黙も交えながら手探りな様子。
「さじ加減」 は初めて聴く噺。 政談ものでなかなか楽めた。
お白州でやり込められる加納屋(叶屋?)が小賢しいワルなので、素直にカタルシスがあった。
最後はお人好しの医者・阿部玄益の家主にまでやり込められてしまい、悪巧みも随分と高くついてしまう。
登場人物の多い噺だったが、この玄益の家主がなかなか印象に残る人物であった。
それにしても扇辰はムラがないと云おうか、回数を重ねるごとに好きになる噺家さんである。

食いつきは兼好。 扇辰とはガラリと場の雰囲気を変えて明るく楽しく。
「元犬」 も師のコミカルな表現で一層可笑し味が増す。
トリの白酒がまくらで言っていたが兼好は風邪気味だったようだ。
辛そうには見えなかったが、少々軽めに遣った印象が残ったのはそれがあったからかも知れないと一人合点した。

一昨日たっぷり聴いたばかりの白酒がトリ。 少々白酒飲み過ぎの感あり。
誰でもそうだろうが、殊に白酒は間を空けず沢山聴けるタイプではないと改めて思った。
何となく二日前のテンションのままと云おうか、聴いているこちら側の感受性がフラットになっていたように思う。
噺が変わっても登場人物の遣り方にそれ程差を感じなかったのも一因かも知れない。
一日置いて都合四席、噺ごとの印象が明確に分けられないのはこちらばかりに原因があるとも思えないのだった。

第三週は随分と落語な一週間であった。 次までは十日程空く、一旦頭から落語をキレイに追い出して臨もう。



  1. 2012/05/21(月) 17:47:42|
  2. 演芸など
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『 第27回 白酒ひとり 』 白酒独演会 於 国立演芸場 / 平成二四年五月一七日

真田小僧 / さん坊
花色木綿 / 白酒
笠碁 / 白酒

(仲入り)

宿屋の富 / 白酒


行きたい落語会の日時がダブってしまえば諦めもつく。 一方を選んで他方を諦める。
諦めた方が独演会だとなんかその噺家に悪いことをした気分になる。 妙な話だが。

うまい具合に一日違いの場合は、あぁダブらなくて良かったと迷わず両方を予定に入れるが、
悩ましいのが三日連続だ。 所謂、三連荘。
二日連続でもそれなりに気になる。
券を手に入れるのは1~2ヶ月前なので、その時の仕事の繁閑が読めないこともしばしばで、
況してや三日連続で予定を入れてしまうのはリスクを高めることにもなる。
それに三日連続だといくら好きとは云え多少かったるくなって来るのも正直なところなのだ。
だったら止めときゃいいって話なのだが、止められないのが人の業・・・は大袈裟だけど。

どう云う順番で券を手に入れたのか記憶は曖昧だが、
今週は小三治・喜多八・白酒と三夜連続になってしまった。 どれも譲れず久々の三連荘。
三日目の白酒を聴きに半蔵門へ。 そして二日連続で小諸そばのごまだれせいろを手繰って国立演芸場へ。

開口一番はさん坊。 最近の白酒独演は彼の事が多い。 扇ちゃんはどうしたのか。
面白いまくらを遣るように白酒に言われたらしい。(後に白酒がそう言っていた)
北海道の実家で乳牛の世話をしていた少年時代の思い出話をなかなか面白おかしく。
しかし話を乳牛の末路で締め括ったので、後に白酒が苦笑を漏らすことになるのであった。

白酒一席目。 自分も世間の盛り上がりから一歩退いてしまう金環食の話など。
白酒と意見が同じではちょっと宜しくないかもなどと思いつつ。 やはりそんなに大層なイベントかよと思う。
金環食プロポーズから鈴本でプロポーズをやったカップルの逸話など。
「花色木綿」 は亡き文蔵に教わったとのこと。 短い中で “ 裏は花色木綿 ” をこれでもかと連発する。
こんなにクドかったかなと思いながらちょっと気分がダレる。 これも三日目のせいか。

一旦引っ込み前回アンケートを携えて上がる。 今回はこの “ とうげつアンサー ” に結構時間を割いた。
個人的にはもうちょっと短くて良かったか。 終盤、そろそろ落語が聴きたいなと思いながらも笑っていたが。
ひとつ、抜擢真打ちも追い抜いた先輩にはいつまでも気を遣うのでそれなりに大変と云う話が印象的だった。 (追記)
「笠碁」 は大師匠・馬生を軸にしているようだが丸々浚っている訳でもない。
聴き慣れた部分もありながらそうでない部分がところどころで入る。
待った待てないの言い合いで、昔入れあげた女の話を持ち出す件なども初めて聴いた気がする。
大旦那ふたりの演じ方がちょっと若かったか。 もう少し老けた感じ、年寄りの依怙地な感じが欲しかった。

「宿屋の富」。 柳家と云うか小三治は泊まり客にもっと訛りがある。
古今亭は違うと云う事なのか・・・こう云う疑問が湧くと自分の浅学にガッカリする。
途中、結構派手に遣る。 天神様で男が富を当てた妄想から堂々巡りを始めるところなどかなり賑やかだった。

聴く方には聴く楽しみ快感しかないが、噺家には聴かせる快感と話す快感があるのかなと、
今回の白酒を見てそんなことをふと思った。
機関銃のように言葉を飛ばす師の姿は、かなり楽しそうであった。 実際のところは知る由もないが。

追い出しで、あぁやっと三日終わったと思ってしまった。 まったく以って馬鹿な話である。
 
 
  1. 2012/05/18(金) 23:59:00|
  2. 演芸など
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『 喜多八膝栗毛 春之瞬 』 喜多八独演会 於 博品館劇場 / 平成二四年五月一六日

たらちね / 天どん
短命 / 喜多八
宿屋の仇討ち / 喜多八

(仲入り)

粋曲 / 小菊
鼠穴 / 喜多八


メールを送って仕事を片付け事務所を出る。 思ったより遅くなってしまった。
前夜の深酒で昼食が控えめだったため空腹である。 新橋の駅を出ると開演までまだ10分以上ある。
立ち喰いそばなら十分な時間だ。 小諸そばへ立ち寄る。 みると “ ごまだれせいろ ” の貼り紙。
あぁ、もうそんな季節か。 あれは季節モノ、初夏の候に出てくる。 一枚手繰って博品館へ向かった。
タイミング良くエレベータが上がるところ。 最後に入って8階へ。 先に入った皆さんを送り出す。
最後に降りた着物姿の小柄なご婦人、気づけば小菊姐さんではないか。
相変わらずおキレイである。 今宵の色物は粋曲か。 ちょっと得をした気分で会場入り。

前日の師匠・小三治に続けて弟子・喜多八を聴く。
実は火・水・木と禁断の三連荘なのである。 喜多八は三ヶ月ぶりだ。

天どんの 「 たらちね 」 は例によってお千代が金髪のハーフ。
まくらで本当の 「 たらちね 」 について解説してサゲまで教えてから本題に。
言葉が丁寧な上に英語とチャンポンで喋るお千代。 初めて聴く人は面食らう変わりネタ。
相変わらず面白かった。 以前より台詞回しが複雑になっているようだ。
キワモノだが中身が進化している。 これも個性、頑張って欲しい。

喜多八の 「 短命 」 は聴くより観るだ。
短命の理由を問われてご隠居が言い難そうに身振り手振りでお茶を濁す。
そろそろ察してくれよと云ったところだが八五郎の勘が鈍い。
やがて声はなくなりただ々々手振りを繰り返すばかり。
表情を含めてその可笑し味は生高座ならではである。
これも少しずつ演じ方を変えているようだ。 短命、進化中。

一旦引っ込んで二席目。 ネタ出しの 「 宿屋の仇討ち 」。 とりネタかと思ったので意外であった。
世話九郎の居住まい、喜多八の重みのある声が良く似合う。
そしてまた築地の河岸仲間三人衆のお調子者が上手いから、その対比がなかなか楽しい。
色々くすぐりの入る白酒のも楽しいが、喜多八の本寸法が耳に心地好いのであった。

食いつきは小菊姐さん。 しなやかで艶っぽい。 この人が高座に上がると本当に華やかだ。
たっぷり唄ってサッと下がった。 客あしらいも鮮やかで格好いい女である。

とりは 「 鼠穴 」。あまり好きな噺ではない。 気分的には小菊さんで満足であった。
前日の深酒と一日の疲れで首の辺りが痛く、そちらが気になり出す始末・・・で、お開き。

11日の三三の後、美人マスターの店で帰り際に水曜にまた来るよと言っておいたのだが、
昨日の今日で酒を飲む気分でもなくラーメン屋で軽く済ませて帰ることに。
仲入りで約束は反故にする旨、侘びのメールを打っておいたので、
残念なことに美味しくなかったラーメンを食べ終えてさっさと家路についた。

そうそう、この日は前列にたまに見かける美人母娘が座っておられた。
娘さんはアラフォーな感じ、楚々とした和美人である。 親子で落語、なんかいい雰囲気なのである。
本人にその気があれば自分も親父を誘って連れ出してみようかね。 ・・・美男父倅じゃないけどさ。


  1. 2012/05/17(木) 22:33:00|
  2. 演芸など
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小三治独演会 於 北とぴあ・さくらホール / 平成二四年五月一五日

辰巳の辻占 / こみち
小言念仏 / 小三治

(仲入り)

船徳 / 小三治


朝六時半にメールが来て七時から作業、朝食も摂らずに昼までにまとめる。
移動後、午後一時の打合せまで10分あったので駅前のマックでチキンなんとかを食す。
これがこの日最初の食事。 何か食べておかないと打合せで声も出ないほど空腹だった。
帰途、乗り換えの高田馬場で銀行に寄ったついでに三時の頃合でカレーライスを食す。
これで落語前に腹にものを入れずに済む。
結局、夕方ギリギリまで仕事が片付かなかったので会場へは滑り込み、食事の時間は無かった。

小三治曰く、“ 蒸し寒い日 ” であった。
北海道で雪が降ったと。 雪が降っても富良野とはこれ如何に。
北海道の地名を北から思いつくまま。 元ライダーだからバイクで回った記憶だろう。
羽幌の喫茶店に元保母さんが働いていた。
ちょいとイイ女だったと遠い目をして、ヘヘッと笑ってスミマセンねとひと言。
「 小言念仏 」 は二席目に軽く遣ってお開きと云うパターンばかりだったので意外だった。
バランスとしては前半に開口一番と併せて二席、後半に長講一席の方が配分が良いと思う。
一席目に長講を終えた後の 「 小言念仏 」 とはまた違った印象、ギュッと詰まった感じがした。

二席目、議員と噺家の世襲についてぼやく。 誰でもなれるってことなんでしょうと。
苦労しないのは如何なものか、しかし苦労知らずなのが若旦那でと導いて 「 船徳 」。
時間はたっぷりある。 小さな話が随所に織り込まれる。
頭と徳さんの遣り取りだったり、船頭連中の遣り取りだったり。
舟を漕ぎ出せば身振り手振りもふんだんに。 竿を操る。 見える見える。
今回は 「 船徳 」 と云う噺を解説つきで聴くかのような丁寧さでたっぷりと。
計ったわけではないが50分位だろうか。 充実の一席であった。

最近の小三治は自分が聴き始めた三年前と比べてもまくらが短くなって来ている。
あれを楽しみにしている客も多かろう。 しかしまくらが短くなって噺が充実しているようにも思う。
当然、噺あってのまくらだが、小三治と云えば長まくらでもある。
しかし聴く側にしてみると面白いまくらの印象が強すぎるよりも、今の方が好ましい。 個人的には。
以前にも同じようなことを書いた。 繰り返しになるがそう思うのである。

お開き後、王子から飯田橋で乗り継いだ東西線は三鷹行。 中野で乗り換えずに高円寺まで行かれた。
マスターが大きいのを釣ったと聞いたので土産話を聞きに行く。 泣き尺だったらしい。
デジカメをバスに忘れたとかで画像はお預け。 話を聞いて想像を巡らせる。
三々五々、常連が顔を出し気づけば賑やかに。 会話も弾み酒も進む。
挙句、同い年の常連さんと二軒目に。 カウンターの中にお姉さんがいる店、ガールズバーと云うやつか。
途中で記憶が飛んだ。 朝目覚めたのは家の寝床だったのできちんと帰って来たようだ。
上着のポケットには小銭とTAXIのレシートが入っていた。
ガールズバーはお連れの奢りだったようだ。 今度会ったら礼を言わねば。


 
  1. 2012/05/16(水) 23:59:00|
  2. 演芸など
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バトルシップ - BATTLESHIP - 於 新宿ミラノ1

嘗ては栄華を極めた歌舞伎町の映画館街(洒落ではないよ)。
この界隈も都内各所にシネコンが台頭して随分と寂れた感じになってしまった。
ロケーションもあるだろう。 やはり歌舞伎町は未だに一般的には敷居の高いエリアなのだろう。

往時のミラノ座と云えば今は無き新宿プラザと双璧を成す新宿きっての大劇場だ。
外観、内装共に古めかしいが、大規模劇場としての空間は今でも圧巻であり、
古き良き映画館の雰囲気を醸し出している。

ネット予約が主流のシネコン時代に、ここのチケットは当日手売り専門。(前売りは扱っている)
全席自由で上映回の指定もない、所謂入れ替えなしの大劇場と云うのも今では珍しい。

今回観た「バトルシップ」は封切後1ヶ月とあってか客足も鈍く寂しい入りであった。
しかし観る方にとってみれば席は選び放題、巨大スクリーンと臨場感満点の音響を独占するようなもの。
同行の映画仲間と間にひとつ席を挟んでたっぷり場所を確保し、やはりここは穴場だなと再確認した次第。
ここに掛かる作品なら人込み激しい封切直後のシネコンで観るよりも、
少し時期をずらしてゆったり観る選択肢の方がより魅力的だと云う結論に落ち着いたのだった。

しかし、2015年春にはコマ劇場跡に12スクリーン、約2500席と都内最大級のシネコンが誕生する。
そうなれば再びこの界隈が映画ファンで賑わうことになるであろう。
その時ミラノは相乗効果で賑わうのか、或いは煽りを喰らってやがては消え行く運命なのか・・・
ならば尚更のこと、今は古き良きミラノ贔屓になってみるのも趣向としては面白きことであろう。


bs
(C)2012 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.


作品の話。
内容は以前観た『 世界侵略:ロサンゼルス決戦 』(2011/10/05記事)を陸上白兵戦ものとすれば、
本作はそれの海戦版と云った感じの内容であった。

今回の謎のエイリアンは人類が呼び寄せてしまう。
地球に似た星を見つけて通信を試みたところ、性質の悪い連中だったようで攻撃を受けてしまったのだった。
引き合いに出した 『 世界侵略 』 の記事でも書いたことだが、
兵隊さん(今回は水兵さん)の戦う相手が同じ人間でないと観る側の気も楽なもので、
それは戦争映画と云うよりはゲーム感覚に近いものがある。
作り手もそれを十分意識しているのだろう。
今はこの星の中でイザコザを起こしている内容ではリアル過ぎる、洒落にならないものがあるのだろう。

艦船同士の戦い、艦内での白兵戦、地上で起きているまた別の戦いとストーリーも賑やかで、
中弛みすることなく最後まで集中力を切らせることなく観終わった。
登場人物も個性的で色分けが出来ており、あと一人憎まれ役がいればベタな布陣でより王道だったかも知れない。
ひょっとしたら浅野忠信演ずる海上自衛官が若干その役柄だったのかも知れないが、
同じ日本人から見ると終始イイ奴にしか見えず、なかなか良い役どころを貰ったと云う感じである。

自分は決して好戦的な性格だとは思わないが、
定期的にこの手のドンパチを観るとスカッとして気持ちが良いのは素直に認めるところである。
さて、次はどんな戦いが待っているのだろうか。
 
 
  1. 2012/05/15(火) 23:59:00|
  2. フォト・キネマ・アートとか
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『 J亭落語会 月替わり独演会 春シリーズ 』 三三独演会 於 JTアートホールアフィニス / 平成二四年五月一一日

手紙無筆 / きょう介 (サゲのみ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
のめる / 三三
不孝者 / 三三

(仲入り)

妾馬 / 三三


GWに入る前夜、同じ企画の白酒独演に行って以来の落語。
結構前な気もするが丁度二週間前のこと。 会場も同じく虎ノ門のJTビル。

仕事の外出から戻って来た時は十分間に合う頃合であったのに、
いざ地下鉄に乗り込むと虎ノ門駅に着くのが開演1分前の計算・・・勘違いしたのか間に合わない。
まぁ開口一番は諦めようと日本橋で銀座線に乗り込んだが、これが動かない。
銀座駅で乗客の鞄が戸袋に巻き込まれたとかで遅延アナウンス。
結局会場に着いたのは前座のきょう介が「手紙無筆」をサゲるところであった。

お目当てには間に合った。
一席目、まくらが噺の導入部とは限らないと狐と狸の話などして無くて七癖な 「のめる」。
テンポ良く切れがある。 詰め将棋の件も丁寧で、指す人が聴いてもリアルなのではと想像する。
なかなか良かったがこの噺は個人的には文左衛門のイメージが強い。
酒にだらしない八っぁんの浮かれた感じが師にピタリと填まっている気がするので。

「のめる」 の後、仲入りの太鼓が鳴って三三が止めに入る。
段取りが通じておらず、そのまま二席目へ。
「不孝者」。 これは三三に合う噺だと思う。
旦那親子の関係がなかなか巧く伝わって来る。
親不孝とこぼして上階の座敷から聞こえる倅の唄にケチをつける旦那が不快に思っているようには見えない。
いっちょまえにお座敷遊びをする倅に自分の老いを感じながら満更でもない様子。
むしろそこには倅への対抗意識みたいなものが感じられる。 そこへ昔良い仲だった きんやと再会する。
縒りを戻そうと駆け引きするふたり、旦那には倅の振る舞いに昔日の自分がダブったのではないか。

仲入り後の 「妾馬」。
八五郎の妹、鶴が殿様に見初められる件から聴くのは初めてか。
長屋に家来がやって来て鶴を探すのにお喋りな住人・大家に手を焼くところはなかなか面白かった。
この発端部分、噺全体のほのぼのした感じにも馴染んでいていい。
「大工調べ」 と云い、三三は端折らず遣ることが多くその点は非常に好感が持てる。
特に独演会なのだからそうした取り組みはあって然るべきだし評価したいところだ。
(・・・駆け出しの落語聴きが少々上から目線過ぎたか?)

お開きになって会場を出る。 二週間ぶりと云うこともあってか落語を聴いた充実感が残った。
白酒や兼好のグルーヴとは違う、老成した感のある三三の落語に感じるこの感覚。
恐らく今後は菊六にもこれを感じることになって行くのかなと、ふと思う。

虎ノ門から新橋へ歩いて美人マスターの所へ。 今宵は自分が最年長な感じの客層。
アルゼンチンの赤ワインをボトルで入れてチリコンカンで飲む。
手隙になったらマスターにも付き合わせようと思ったが忙しそうだ。
結局彼女には最後に残った申し訳程度の一杯を注いだだけで、ほぼ1本一人で飲んでしまった。
 
 
  1. 2012/05/14(月) 12:51:34|
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旅芸人の記録 - O Θίασος - 於 早稲田松竹

テオ・アンゲロプロス監督が最新作の撮影中に交通事故で急逝したのは今年の一月のこと。
作品を観たことは無かったものの、字幕翻訳を愛読の池澤夏樹が手がけていたこともあり、
名前だけは知っていた映画人であった。

GWの連休後半、仕事も入って遠出が出来なくなったこともあり、
早稲田松竹へ240分の大作 『 旅芸人の記録 』 を観に行った。

監督の代表作であり、幾度となく観る機会はあったものの未見であった作品。
旅芸人の一行がギリシアを旅し、'39~'52年の政治と歴史を目撃する形で語られている。

アンゲロプロス監督の特長は長回しと360°のパノラマ撮影、徹底した曇天でのロケーション。
その映像は極めて特徴的で、人物のアップなどは皆無であり、音楽も乏しい。
そこに独特の寂寥感があり、青いエーゲ海横たわるギリシアのイメージがシンクロすることはない。

第二次世界大戦を時間軸に置いているので、その時代におけるギリシア情勢に疎いと背景が分かりづらい。
ストーリーは目まぐるしく時間が前後して語られることもあり、複雑であった。
4時間に及ぶ物語の中で一行の離合集散、生き死にが順序立てて描かれていないので暫し混乱も。
正直、内容に関しては観終わって帰ってきてからWikiのストーリー解説を読んで納得したのだった。


tabigeinin.jpg
 
著作権不詳


ギリシア映画の代表作として名高い作品であるが、
その社会背景や歴史に関しての予備知識があってこそ その中身に対して観る側が感受出来る要素が多く、
その点で自分は観客として能力・知識不足であったと思わざるを得なかった。

丁度、先日最終回を迎えたNHK総合でやっていたドラマ 『 開拓者たち 』 を観ていた時期とダブった。
ドラマは満州開拓の歴史と戦後の混乱、引き上げ後の那須高原における再度の開拓の物語であった。
歴史の成績が良くなかった自分にはこれもまた知識不足な中での鑑賞であったが、
そこに同じ日本人である開拓者たちの血の滲むような労苦を見る時に、
シンパシーや感銘を受けたことを鑑みると、『旅芸人』 を観るギリシア人の思いに少し理解が及ぶ。

史実に基づく物語は、ある視点により描かれることに対しての自らの立ち位置や意見姿勢が、
例えそれが傍観であったとしても明確でないと落ち着かないものだなと思わされた作品であった。
 
 
  1. 2012/05/13(日) 17:26:16|
  2. フォト・キネマ・アートとか
  3. | コメント:0

季節を逆戻り、別荘開き。 '12 春 - gradation of the season -

連休中、特筆すべきことはなかったけれど・・・でも備忘録として簡単に。
こんなことでも書かないと、全部落語の記事になってしまうよ。笑

4月27日に白酒を聴いてまっすぐ帰宅。
残りの準備を済ませて1時間ほど仮眠してから中央道を蓼科へ。


240508-0
往路 双葉SAより曙光


今年はGW前に事前チェックも兼ねた別荘開きをしていないので、いきなりの使用開始。
不具合があったら連休中の不便があるかも知れないと気を揉みつつ現地到着。
結果的には往く道すがらの心配は全くの杞憂で、異常個所は皆無で越冬していた。
やれやれである。


240508-1
ウッドデッキにカーミット


先行して風を通していると思いの外早く後発組が到着。
今回は兄弟友人含め男ばかり総勢8人で休日を過ごした。
(虫が出るので女性陣からは敬遠されている山の家である)

自分の最大の目的はフライ。 新調したロッド&リールで果たして釣果を上げられるか・・・
で、あったのだが、残念ながらボウズ記録を更新してしまった。
フライの師匠・将軍も釣果なし。 この結果から推して入渓ポイントが悪かったと結論づけておこう。


240508-4
久々の焚き火 ファイヤーポンチョ大活躍


釣りをやらない連中からは落胆の声も聞こえたが、料理上手な友人の肴で夜は屋外宴会。
ウッドデッキに卓を出し、久々に焚き火を突きながら酒を沢山飲んだ。

都合3泊4日、三度の入渓は全て空振りに終わったが、ノンビリと読書など楽しみながら、
街中の新緑、山裾の満開の桜から高原の冬枯れの森まで、季節のグラデーションを愛でて来た。


240508-2
我がカーティスクリーク 独り占めじゃないけど


白状すると、一度だけ餌釣りを試みたのだが、僅か四投目で竿先を折ると云う大失態。
これはとあるフライの先輩からのご忠告、今季はフライに集中せよとのお言葉に背いた罰であろう。

実際のところ、積年の誓いで餌師マスターと入りたい山奥もあり、一意専心とは行かぬ義理もある。
それでも、今季はフライで釣る。が最大目的であることには変わりはないのだが・・・


240508-3
カモシカ 遭うたび見つめ合う 同一固体かも知れない


連休は前半のみ。 後半は仕事をこなしつつ、一本映画を観に行っただけで大きなイベントは無かった。

振り返れば蓼科の数日が思い出だが、カモシカ・キツネ・シカを間近で見た位しかトピックの無い、
なかなか穏やかで良い休日であったと、日記には書いておこう。

これから半年、今シーズンは何度行かれるだろうか。



今回のツーリング <期間:4日>

  走行距離:544㎞     走行時間:9時間30分
  平均時速:57.26㎞/h  平均燃費:13.0㎞/L
 
 

  1. 2012/05/08(火) 18:18:06|
  2. 旅や野遊び
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Author: 良速
  
 
- りょうそく - と申します。
 
九山八海  花鳥風月
東奔西走  南船北馬
美酒嘉肴  羽化登仙
歌舞歓楽  一竿風月
謹厚慎重  天空海闊

そんな感じでまいります。

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