七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

旅芸人の記録 - O Θίασος - 於 早稲田松竹

テオ・アンゲロプロス監督が最新作の撮影中に交通事故で急逝したのは今年の一月のこと。
作品を観たことは無かったものの、字幕翻訳を愛読の池澤夏樹が手がけていたこともあり、
名前だけは知っていた映画人であった。

GWの連休後半、仕事も入って遠出が出来なくなったこともあり、
早稲田松竹へ240分の大作 『 旅芸人の記録 』 を観に行った。

監督の代表作であり、幾度となく観る機会はあったものの未見であった作品。
旅芸人の一行がギリシアを旅し、'39~'52年の政治と歴史を目撃する形で語られている。

アンゲロプロス監督の特長は長回しと360°のパノラマ撮影、徹底した曇天でのロケーション。
その映像は極めて特徴的で、人物のアップなどは皆無であり、音楽も乏しい。
そこに独特の寂寥感があり、青いエーゲ海横たわるギリシアのイメージがシンクロすることはない。

第二次世界大戦を時間軸に置いているので、その時代におけるギリシア情勢に疎いと背景が分かりづらい。
ストーリーは目まぐるしく時間が前後して語られることもあり、複雑であった。
4時間に及ぶ物語の中で一行の離合集散、生き死にが順序立てて描かれていないので暫し混乱も。
正直、内容に関しては観終わって帰ってきてからWikiのストーリー解説を読んで納得したのだった。


tabigeinin.jpg
 
著作権不詳


ギリシア映画の代表作として名高い作品であるが、
その社会背景や歴史に関しての予備知識があってこそ その中身に対して観る側が感受出来る要素が多く、
その点で自分は観客として能力・知識不足であったと思わざるを得なかった。

丁度、先日最終回を迎えたNHK総合でやっていたドラマ 『 開拓者たち 』 を観ていた時期とダブった。
ドラマは満州開拓の歴史と戦後の混乱、引き上げ後の那須高原における再度の開拓の物語であった。
歴史の成績が良くなかった自分にはこれもまた知識不足な中での鑑賞であったが、
そこに同じ日本人である開拓者たちの血の滲むような労苦を見る時に、
シンパシーや感銘を受けたことを鑑みると、『旅芸人』 を観るギリシア人の思いに少し理解が及ぶ。

史実に基づく物語は、ある視点により描かれることに対しての自らの立ち位置や意見姿勢が、
例えそれが傍観であったとしても明確でないと落ち着かないものだなと思わされた作品であった。
 
 
  1. 2012/05/13(日) 17:26:16|
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