七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

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星の旅人たち - The Way - 於 ヒューマントラストシネマ有楽町 シアター1

聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅を扱った作品は、五年前に「サン・ジャックへの道」を観た。
あれは遺産相続の条件として巡礼の旅を命ぜられた仲の悪い兄弟三人が主人公の話だった。

本作は大学をドロップアウトして世界中を旅していたひとり息子の客死を受けて、
我が子が成し得なかった巡礼の旅を成り代わって歩くカリフォルニアの眼科医の話。
父トムをマーティン・シーン、子ダニエルを実子のエミリオ・エステヴェスが演じるエミリオの監督作品。

息子ダニエルは巡礼の旅の初日に、出発して間もなく嵐のピレネー山脈で命を落してしまう。
妻に先立たれてから疎遠だったひとり息子の突然の死。
亡骸のもとに向かった父トムは担当の警部から巡礼の旅の意味を聞き、やがてそれを行動に移すことを決心する。
遺灰と共に旅立つトム。 途中その遺灰を少しずつ撒きながらの旅路が始まる。
慣れないバックパックツアーは見ていて心許ない。 おじさん大丈夫か?と心配してしまう。

孤独に旅立ったトムも出会いを重ね、やがて三人の同行者が出来る。
それぞれの事情と動機を持った大人四人の旅が続く。
巡礼の道は美しく、人も町も荒野も森も魅力的だ。
巡礼と云う言葉からイメージするストイックさはなく、一日歩き終えれば宿でワインと食事を囲んで楽しく語らう。

トムは亡き息子を思い、時に幻影を見ながら旅を続ける。
路傍の木立に、宿での食事の席にフッと姿を見せるダニエル。 まるで共に旅をしているかのようだ。
そう、この風景は本来なら自分ではなく、息子が見る筈だったもの・・・トムに笑顔はない。
ひとり息子を突然亡くした父親の悲嘆は想像を超えて切ないものがある。
それでも距離と時間と同行の仲間がその悲しみを少しずつ埋めて行く。
楽しい旅ではない。 しかし不思議と悲壮感もない。


the way
Copyright 2010 The Way Productions, LLC All Rights Reserved.


これと云って突出したものはないが、旅の物語として正統派のつくりになっていて好ましい。
巡礼路の雰囲気は十分に伝わり、観る者を銀幕の中の旅へ誘(いざな)ってくれる。
時折若くして逝った青年のことを思い胸が痛むが、
それでも残されし者には喜怒哀楽があって世界は広く陽はまた昇るのだ。
聖地へ向けて800㎞を歩く、ひたすら歩く。 けれどその繰り返しは日常のルーティーンと異なり単調ではない。
その単純明快な目的と行動が旅の間の生き方を純化し、自らを見つめる時間となるのだろう。
そのテーマと物語のシンプルさが魅力的で、観る者に快さを残すのだ。

序盤、遺品のバックパックの中身を広げてトムがひとり泣くシーンがある。
もし自分が山や海から帰らなかったらと想像する。
黒くて傷だらけのコッヘル、皺くちゃの渓流の地図、或いは色褪せた潜水機材・・・
旅は素敵で魅力的だ。 しかし帰って来てこその旅だ。
上質なロードムービーの世界に浸りながらも、頭の隅で我が事に置き換えてそんなことも考えていた。

旅好きにお勧め。 いい映画です。


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  1. 2012/06/22(金) 12:27:43|
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  3. | コメント:2

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 良速

Author: 良速
  
 
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東奔西走  南船北馬
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謹厚慎重  天空海闊

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