七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

白酒独演会 於 シアター711 / 平成二四年一二月三〇日

明けましておめでとうございます。
・・・なんですが、年を遡って年末の落語会二回分をまとめてUPしました。
御用とお急ぎでない方は、前頁もご覧頂ければ幸甚です。



尿瓶 / 白酒
天災 / 白酒

(仲入り)

居残り佐平次 / 白酒


月初めに北沢タウンホールで喜多八・白酒二人会があった時には道順を間違えた。
今回はその轍を踏むことなく会場へまっつぐ行かれた。
その時の記事で下北沢駅の箱根そばの場所が分からなくなってしまったと書いたが、
後日調べると駅の改装に伴い店自体が無くなっていたようだ。
二線乗り入れている駅に蕎麦屋が無いと云うのも寂しいものだ。
急激ではないが駅蕎麦と云う文化が徐々に衰退している感もあり、何とか生き残って欲しい業態である。
今時の言い方を借りれば駅蕎麦こそ日本のファストフードの原点であり、蕎麦は東のソウルフードなのだから。

当日の天気予報ではちょうど開演時刻あたりの雨脚がピークとなっていたが、果たしてそれは的中。
土砂降りの中、開場を待つことになってしまった。
もう暗い時分ではあったが、車が通る度にヘッドライトが映し出す雨脚は相当なものであった。

ジーンズの裾を濡らして漸く入場。
整理券番号は50であった。狭い会場は端が良い。
手前の通路際を確保したが、次回からは奥の通路際の方が良さそうだと後になって思った。憶えておこう。

「尿瓶」、初めて聴いたが何とも云えずキレイな噺とは言い難い。尾篭とまでは言わないが気持ちの良い噺ではないな。
「天災」は聴いているようで回数はそれほどでもない。 白酒で聴くのも初めてであった。
そして今年最後の一席は 「居残り佐平次」。 改まって暮っぽい噺を演らずに〆たのが白酒らしいと言えなくもない。

最後に挨拶。 白酒はこれが仕事納めとのこと。 こちらも聴き納め。 一本締めをパンと叩いて解散と相成った。
外に出ると雨は止んでいた。 年内の外出もこれが最後なので高円寺のマスターの所へ。
今年はマスターと釣りが出来なかった。
このところ店に顔を出す機会も減っているが、来年はまた源流へお供したいものだ。
年内に食べておきたかった湯葉豆腐で一杯やって、酒場放浪も締めくくりである。

来年も笑って過ごせる一年でありますように。
 
 
  1. 2012/12/31(月) 23:59:08|
  2. 演芸など
  3. | コメント:0

『 圓太郎商店 独演その十五 』 於 池袋演芸場 / 平成二四年一二月二八日

子褒め / いっぽん
富久 / 圓太郎

(仲入り)

柳田格之進 / 圓太郎


二十六日に予定していた兼好を仕事でふいにしてしまった。
これで噺問屋は二回続けてキャンセルしたことになり、申し訳ない限りだ。
次回は二月なので暫く兼好を聴かれないのも残念である。

その仕事で持ち上がった心配事も圓太郎を聴く日にはほぼ払拭され、
年越しで懸案事項を残さずに済んだのはまことに晴れやかな気分であった。

圓太郎商店は通うようになってからは皆勤である。
こちらも人気の会で、早々に席が埋まってしまう。
斥候が一人来てたくさん席取りをしているようだ。 自由席の会は仲間連れが有利である。
いつも最後列の折畳み椅子席の決まった場所に座るのだが、生憎この日は先客がいた。
池袋は小さいので同じ最後列のいちばん端の席に落ち着いた。隅は隅で広々と使えて悪くない。
一旦おもてへ出て富士そばでかけ蕎麦を啜ってから開演に臨んだ。

「富久」 を聴きたいと複数のリクエストがあったらしい。
圓太郎本人はそれ程乗り気でもなかったような口ぶりだが、なかなか楽しめた。

「柳田格之進」 は何度聴いてもどうにも解せない噺だ。
柳田の愚直なまでの武士の一分は分からぬでもない。
が、それが元で娘の絹が吉原に身売りすることになるのは度が過ぎる。
しかもその発端となった万屋の番頭・徳兵衛と絹が最後には夫婦になってしまう。
これはちょっと展開に無理があろうと云うものだ。 まぁ、いいんだけど。

はねてから、少々遠かったが新橋まで足を伸ばした。
年内最後の顔出しで美人マスターの所へ。
泡のワインを一本干して、ちょっと食べたら諭吉が飛んでしまった。 散財であった。
もともと客単価の高い店だ。 一年の締め括りにご祝儀としよう。
ひところに比べるとこの店も行かなくなった。
落語終わりの夜分に顔を出すには、高カロリーなメニューが多いこともあって少し足が遠のきつつある。
落語を聴くようになって、九時過ぎから飲むことが増えて確実に腹が出て来た。
年明けからは少し自重しなくては、最近写真を撮られると顔が丸いよ。
 
 
  1. 2012/12/29(土) 23:59:54|
  2. 演芸など
  3. | コメント:0

「第211回ノラや寄席 『 兼好えりの欧州凱旋公演! 』 」 兼好・えり 二人会 於 高円寺HACO / 平成二四年一二月二三日

※ 暫く滞っていたので記事を三つまとめてUPしました。御用とお急ぎでない方は遡ってご笑覧下さい。(三つとも落語日記だけど)


欧州好演・ビデオ&スライド&トーク / 兼好・えり

(仲入り)

越後獅子 替え歌 / えり
初天神 / 兼好


兼好とえりがスイスとドイツで7公演ほど打って帰国した。
いったいどんな行脚をして来たのか、ちょっと興味があって足を運んだ。
今まで行ったHACOの興行では最も客入りが良かった、立錐の余地もないほど。

少し遅れて開演。 前半は旅の報告を面白可笑しく。
えりの立ち居振る舞いが天然であることを再確認するような思い出話が並んだ。

今回は文化庁のプログラムで国費によるツアーだったようだ。
それを補佐しているドイツ人女性がたまに落語会で見かける人であった。
あぁ、そう云う繋がりで物事が動いていたのかと得心。
そんなこんなで話を聞くうちに、えりがドイツの都会で初めてづくしな体験をするハイジのように思えて来たりして。

結局、この前半がメインであった。
仲入り後、えりの歌はここでしか披露出来ない旅で出会った人々を歌った替え歌で、
しかも出来立てでしどろもどろ、ひどいものである。 彼女でなければ通用しない荒業であった。
兼好の 「 初天神 」 も途中でサゲて短いものであった。

はねてからは会場を模様替えしてクリスマスパーティ的打ち上げと云う運び。
いつものように打ち上げには参加せず会場を後にした。
結局、トークショウと打ち上げでの楽しい会話、それを楽しむべき会であったのだろう。

中野で途中下車。 友人から教えてもらった焼き鳥屋へ寄って飲んで帰る。
注文すると一種類につき4~5本出て来るスタイルだったので、独りで飲むには結構しんどかった。
腹パンパンに鶏を食って、調理法こそ違えクリスマス連休に鶏の受難の片棒を担いでしまったのだった。
めでたし、メデタシ。
  
 
  1. 2012/12/24(月) 23:59:21|
  2. 演芸など
  3. | コメント:0

『 人形町らくだ亭 第四十五回 』 雲助・さん喬・圓太郎・きつつき 於 日本橋公会堂(日本橋劇場) / 平成二四年一二月二一日

掛取り万歳 / さん喬

(仲入り)

化け物使い / 圓太郎
火事息子 / 雲助


仕事が片付いたのは開演15分前であった。 大遅刻だが、らくだ亭はどう云う番組構成だったか。
考えながら地下鉄に揺られて茅場町を目指す。 開演後15分位には着けるだろう。
先ずは若手のきつつきが上がる筈だが、その前に前座があったかどうか・・・
転がるように会場へ入ると、前座が下がって きつつきが上がったばかりであった。
きつつきには悪いが、さん喬に間に合えば御の字である。 ここまで来れば焦ることはない。
次回の券を前売りしているカウンターへ寄り道。 いつも座っている席が空いていた。確保、次回は二月二十二日。
途中からでも後ろの空席ならば入れると促されたが、ホワイエで きつつきが終わるのを待つことに。

きつつきが下がったところで着席。 これが早とちり。 ひとつ後ろの席に座ってしまった。
本来の自分の席は隣も空席、座ったお隣には男性がいて自分が座るまではかなり足を崩して座っておられた。
間違って座って彼の快適を奪ってしまった格好。
さん喬がまくらを話しているうちに、失礼ひとつ間違えてましたと小声で呟き本来の席に納まった。

三師三様、どれも良かったが さん喬の 「 掛取り万歳 」 がかなり良かった。
噺の中に出て来る芸が達者でないと楽しめない。 あまり喉自慢をされても困るし(副会長のことね)。
この噺であまり楽しんだ憶えがなかったが、今回は堪能した。

らくだ亭のレギュラーにゲストが圓太郎となれば嬉しい限りだ。
食いつきで出て来て、最初からトップギア。 飛ばしに飛ばして、こちらも笑い飛ばした。
吉田のご隠居は元気そのもの、使用人は堪ったものではない。 それと渡り合う木助の返しがなかなか面白い。
くすぐりも程よく配し、客をカラカラと笑わせてトリに繋いだ。 ・・・うーむ、職人だ。

雲助の 「 火事息子 」、藤三郎が格好良い。
この噺、本来は短い。圓生の音源などで何度も聴いているが、それは火消しや刺青の説明に時間を割いている。
それで高座がまとまった時間になっている。 そうした肉付けがあまりなかった割には今回の雲助は少々長く感じた。
誰が演ったら面白く聴かれるか・・・自分の好みと噺家の芸風と、色々思い浮かべて見たが結論は出なかった。

はねてから湯島へ。女将の顔も今年の見納めである。残り少なかった吉四六の壷を干してしまうのも目的のひとつ。
年明けに新しいキープを入れるのは気持ちが良かろう。果たして二杯で壷は空になり、後は燗酒を貰った。
ちょっと元気なご一行と、大人しい常連さんお二人と自分。やがて閉店の頃合で常連さんが去り、自分は少し様子見。
女将ひとりの店、ご一行の酔い方の乱れが気になる。 他人が居ないと身内ばかり大勢の気が大きくなるのは常だ。
さぁもう終わりだね、お勘定を。などと下手な芝居を打って見たがご一行には意思が伝わらず。
見れば片付けには入ったが女将もそれほど巻いている感じでもない・・・取り越し苦労か。
お節介も程々に、冬至当日だったので庭木から捥いできた柚子を帰り際に土産だと渡すとお愛想で喜んでくれたが、
その後すんなり店を閉められたかどうか・・・いや、詰まらぬ心配ごとだ。
彼女は飲み屋の主なのだ。 客応対(あしらい)のプロなのだ。
 
 
  1. 2012/12/22(土) 23:59:02|
  2. 演芸など
  3. | コメント:0

「高円寺☆若手箱vol.5お祝い二人組」 天どん・小辰 二人会 於 高円寺HACO / 平成二四年一二月一八日

粗忽長屋 / 天どん
星野屋 / 小辰

(仲入り)

鈴ヶ森 / 小辰
二番煎じ / 天どん


二つ目の二人会である。
入れ込む必要もなかったのだが、会場に随分早く着いてしまった。
出る時刻を間違えた。 寒い中、店の前で独りポツネンと開場を待つ。
中央線のガード下の飲み屋街、吹き曝しではないが時折どこからか寒風が流れて来て寒い。
暫くすると席亭のお姉さんが現れるが、もう少し待っててと。 無言でうんうん頷く。
人気の真打興行でもないのに早々に来てしまったことが少し気恥ずかしい。

更に暫くすると小辰がやって来た。 目が合う。 ペコリと頭を下げて何やら言っている。
慌ててしていたヘッドフォンを外してこちらも会釈。
お運びありがとうございます、と。頑張って下さい、の遣り取り。
更にさらに暫くすると天どんもやって来た。
同じように挨拶をされて、何故か宜しくお願いします、などと訳の分からない返事をしてしまう。

漸く開場、ワンドリンク券を貰って会場に入るといつもより少ない席の並び。
椅子のサイズも大きい。 客入りによって設えが変わると云うことか。
ゆったり足を組める場所を選んで席を確保してから、道を挟んだスタンドバーへ。
こちらでドリンク券を行使出来る。 寒いのでビールはやめて赤ワインを貰う。

プラコップ片手に戻ってくると、下座から二人の声が聞こえる。
トリを小辰に演らせようとする天どんと、それを頑なに拒む小辰の会話。
ワインを舐めながらニヤニヤそれを聞いていると、暗幕から天どんが顔を出して、
二つ目昇進祝いだから小辰がトリですよねぇ、と自分に訊いて来る。
そうですねぇ・・・と半ば同意すると、そら見ろと云った顔つきの天どん。
(結局、トリは天どんだったが)

二人とも落ち着かない。下座で大人しくしていればいいのに客がまだ少ないので会場内をウロウロする。
小辰に話しかける。 内容は差し控えるが、この会話が後に嬉しい展開を生むことになった。
その嬉しい展開も、今はちょっと書けない。 そのうち思い出話で語る時も来るだろう。

真打昇進も決まっている天どんである。 持っている雰囲気も高座捌きも悪くないと思う。
抜擢組に先を越されてはいるが、長い目で見ればそれは一時のことであろう。
彼なりの独自な世界があるから、これからも楽しませてくれる筈だ。
ただ、今回の 「 二番煎じ 」 は ちょっと長すぎだな。 イレゴトが過ぎた感じだ。

小辰が二席演るのはこれが初めてとのこと。
昇進後40日通して定席の高座に上がったそうだが、残念ながらそちらには一回も行かれなかった。
辰じん 改メ 小辰になってから、今回が初めて聴く高座だった。
これからはこうした機会も増えるだろう。 この人のこの先を末永く見て行きたいものだ。
今日のこの日を、彼の真打披露の時に思い出すのが今から楽しみである。
 
 
  1. 2012/12/20(木) 23:59:08|
  2. 演芸など
  3. | コメント:0

少年と自転車 - Le Gamin au velo - 於 目黒シネマ

十月中旬、二本立てで掛かっていたうちの一本。二本目で観る。

不遇な子供と云う設定にめっぽう弱い。 世界中の子供に幸せであって欲しいから。

主人公シリルは12歳の少年。 母親はおらず父親の育児放棄により児童養護施設へ預けられている。
彼は再び父親と暮らすことを望む日々だが、探し当てられずにいる。
ある日、施設を抜け出し昔住んでいた団地へ父の所在の手掛かりを探しに向かうがそこはもぬけの殻、
そして追って来た教師から逃れようと入った診療所で美容室のオーナー美容師・サマンサと出逢う。
後日、自分が父の縁(よすが)として探していた買って貰った自転車の所在を探し当てて届けてくれたサマンサに、
シリルは週末だけ里親になってくれと懇願し、やがて二人の暮らしが始まる。

12歳にもなると もう少し大人かなとも思いつつ、親の居ない生活をしている孤独な少年の境地は計り知れない。
優しくしてくれる里親と、彼女の尽力でやっと探し当てた父親から受ける冷遇。
そして施設を出てサマンサのもとで過ごす中で知り合う近所の不良少年との危うい行動。

愛情を持って接してくれるサマンサ。
しかし いざそうした存在が出来てみると孤独な日々にはなかった苛立ちがシリルには芽生え始める。
人間とは、いや少年とは複雑な生き物である。

サマンサはとても大人な女性で、深い愛情でシリルを包み込む。
少年に振り回されることで交際していた男性との仲もうまく行かなくなり疎遠になってしまう。
彼女の行動と心境を母性のひとことで片付けてしまって良いのかは、観てふた月経った今でも良く分からないのだが。
少なくとも彼女は少年を甘やかすようなことはしない。
毅然としていて、一己の人格として認めた上で、僅か十二年しか生きていない経験の不足分を補うことに腐心する。
里親は親代わりではなく、幼い心に大人が日々見守り己の存在を認めてくれている安寧を与える存在なのかも知れない。


Le Gamin au velo
(C)christine plenus


物語は二人の信頼関係を厚くしならがも、不良少年を介したシリルの無軌道な行動で波立って行く。
結果的に彼は誤ったことをして人を傷つけてしまうが、結果的にそのことが二人の絆をより強いものにすることになる。

12歳と云えば子供とは云え、既に青年期へ足を踏み入れている時期だ。
それ故の心の危うさみたいなものが、弱いだけの幼子にはない心の葛藤として描かれていて秀逸であった。
少年とその心をガラスに例えたりするが、キラキラしていて傷つきやすく割れると人をも傷つけてしまう、
そんな少年時代の例えとしてそれ程陳腐な比喩でもないのかなと思ったりもして・・・

そしてとても印象的なラストシーン。 フランス映画らしい、と云うかとても文学的な情景で幕は下りる。
観る者に色々な想いを投げかけて、一筋の光を残すような巧妙な演出にひとつ深い溜息をつく。
こんな後味と余韻は久々であり、いい映画を観たなと充足感に満たされて席を立ったのを昨日のことのように思い出す。

(一本目が余り琴線に触れなかったので、二本立てをこちらで締め括れたのは順番として良かった。)
 
 
  1. 2012/12/19(水) 23:59:59|
  2. フォト・キネマ・アートとか
  3. | コメント:0

漆黒の闇で、パリに踊れ - Une nuit - 於 銀座テアトルシネマ

10月中旬に観た一本。

フィルム・ノワールと云うとフランス映画のようだが、Wikipediaによれば、
起源はフランスの映画評論家・脚本家のニーノ・フランクがアメリカの犯罪映画を指して与えた呼称らしい。
そこから逆輸入的にフランスで作られるギャング映画などを指すフレンチ・フィルム・ノワールが生まれたようだ。
本作はその系譜の最先端にある一群の作品の中のひとつだ。

清水に魚棲まずと云う言葉がある。 清廉・潔白ばかりが世の中を回している訳ではない。
汚れ役などと呼ばれる立ち位置に居場所を見つけて活躍する者も少なからず必要なのが世の中と云うものなのだろう。
それがビジネスであれ政治であれ、時として正義の徒である警察であれ。

主人公ワイスは夜のパリでクラブやディスコ、乱交クラブ、腐れたバーなどを巡回している犯罪取締班のリーダー。
ある夜、初めて巡回を共にする若い女性警察官を運転手にプジョーで街へ出る。
物語はもう若くはない男の主人公とこの若く魅力的な脇役、二つの目線から夜のパリを映し出す。
上司と部下、年長者と若者、男と女、このコントラストが物語にメリハリとリズムを与える。

物語の展開するその夜は何か不穏な空気が流れ、ワイスは自分が内部調査班の捜査対象となっていることに気づく。
犯罪の巣窟と対峙する彼にとって見逃しや贈収賄、恐喝や懐柔など狡猾な手段を駆使しながら
治安と保身をギリギリのラインで保っている事実があった。
それが違法であれ、そうする事で街と彼は生きながらえて来たし、ある意味必要悪として欠かせぬ要素でもあった。
巨大なギャング組織の罠、或いは古き友の裏切りの疑惑に緊迫した危険な夜が更けて行く・・・


Une nuit
 (C) Les Films Manuel Munz – Tout sur l’Ecran Cinema – Tf1 Droits Audiovisuels – UGC – France 2 Cinéma – Hole in One. 


かなり渋い映画だった。観ている時間帯もレイトショー、気分はいやでも盛り上がる。
ハリウッドの派手なドンパチがある犯罪アクションものとは対照的な娯楽がみっしりと詰まった作品であった。
主人公はある意味、悪いヤツだ。 そして刑事である。 そのことに何故か説得力があるのだ。

嘗て映画 「 今そこにある危機 」 の中でハリソン・フォード扮する主人公ジャック・ライアンは
ヘンリー・ツァーニー扮するロバート・リターCIA副長官に、
その清廉潔白な態度にボーイスカウトと揶揄されたものだ。
リターの台詞に「世の中は黒と白じゃないんだジャック、グレーなんだよ。」と云うのがあった。

本作の主人公ワイスは正にこのグレーの世界に生きていた。 
それもかなり黒に近いグレーの中に。 ライアンよりリターに近い主人公。
それが憎まれ役のバイプレーヤーではなく主人公であるところに、ノワールのノワールたる所以を感じる。
いやむしろワイスは黒なのか。するとリターよりあくどいか・・・
しかしそのあくどさの中に街の精気みないなものが垣間見えるところに、
表現しがたいリアリズムを感じる。 これも花の都パリが持つひとつの顔なのかと。

この魅力的な主人公を待つ物語の展開と結末の意外性にはやられた。 そう来たかと唇を噛んだ。
なかなか巧い物語の運び方に、フランス映画の手練手管の巧妙さを見せられた思いだった。
作中、終始降り続いたパリの夜の霧雨に全身すっかり濡れてしまったような後味がとても印象的であり、
偶然見つけて足を運んだマイナー作品であったが、これを埋もれさせずに日本まで持って来た興行主も評価したい。
 
 
  1. 2012/12/17(月) 23:59:51|
  2. フォト・キネマ・アートとか
  3. | コメント:0

ル・コルビュジエの家 - EL HOMBRE DE AL LADO -  於 K's cinema

九月中旬を最後に映画の記事を書いていないがそれ以降10本以上観ており、
書かずじまいで師走も半ばまで来てしまった。
その全部とはいかないが印象に残った作品の幾つかを、今年のうちに振り返っておこうか。

まずは十月初旬に観た一本から。

南米に唯一存在する、コルビュジエ設計の邸宅・クルチェット邸に住むデザイナー一家と、
少々困った隣人とのトラブルを描いたシニカルでブラックな一本。

設定は名高い受賞暦も持つ成功したデザイナーが主人公で困った隣人が敵役。
デザイナーは自分をセレブと思っている。知的で財もあり、住んでいる家は世界中から見学者が訪れるコルの家。
ステータスは十分、妻もハイセンスを自覚するヨガのトレーナー・・・対する隣人は粗野を絵に描いたような男。
隣人は自邸の一室に窓がなく居住性が悪いと、突然壁に穴を空け窓を作り始める。
穴の開いた壁からはデザイナーの住まいのリビングが目と鼻の先に丸見え。
プライバシーの侵害と事前の断りもない横暴なやり方にデザイナーは怒り心頭。
色々と手を尽くして隣人に改装を思い止まらせようとする。


EL HOMBRE DE AL LADO


こんな隣人が自分の住まいに居たら厄介だなと思いながらも、
観続けているうちにやがて隣人の方へ感情移入している自分に気づく。
デザイナーの立ち居振る舞いが鼻持ちならなくなって来る。 こいつ何様だよと。

確かに隣人は迷惑な男ではあるが、彼に悪意はない。
そこが厄介だと云えなくもないのだが、兎に角悪気はないのだ。
それに比してデザイナーの態度はご近所トラブルの範囲を超えてやり過ぎの感が否めない。
彼の日々の安息は認めてやりたいのだが、
解決に向けての筋道が時を追うごとに妙な方向へ逸脱して行くことに疑問は増すばかり。
そして迎えるラストでの彼の信じ難い行動・・・
そこで受ける驚きと失望は決定的に彼を否定せざるを得ないものなのであった。

彼はトラブルの処理方法を誤った。 セレブを自負しながら真にそうであるべき心と器がなかった。
金持ち喧嘩せず。 とはよく言ったものだ。 ここで云う金持ちとは成り金のことではないのだ。

それとは別にこの作品をみて思うこと。 日本人ならではの視点も生まれる訳で。
困った隣人と聞けば、いま日本人として身に覚えのある言葉であろう。
あの島々や過去の戦時の出来事への遺恨、或いは国土を横切るミサイルなどなど・・・本当に困った話ではある。
しかし困った隣人側から見れば、我が身も隣人である。
視点の欠落や思い及ばぬところが無いか、今一度我が身を省みることも必要なのかも知れない。
ま、外交と云うのはそんなに甘くはなく狡猾さも必要だとは思うのだが・・・
このまま続けると話がポリティックになりそうなので、この辺にしておこう。

ここはわたしの趣味・娯楽の場所ですから。 
 
  1. 2012/12/16(日) 23:59:45|
  2. フォト・キネマ・アートとか
  3. | コメント:0

定席寄席 十二月上席 楽日 夜の部 於 上野鈴本演芸場 / 平成二四年一二月一〇日

(奇術 / アサダ二世 途中から) 
金明竹 / 馬石
太閤記 / 正朝
漫才 / ホームラン 
だくだく / 白酒
安兵衛婿入り(講談) / 琴調

仲入り

ジャグリング / ストレート松浦 
道具屋 / 扇辰
ギター漫談 / ぺぺ桜井 
夜鷹そば屋 / 雲助


師走の鈴本上席夜の部の主任が雲助なのは吉例のようだ。
根多出しでどれも聴きたい噺が並んでいたが、たくさん聴く時間と金がない。
五日目の「火事息子」は21日のらくだ亭で根多出しされているので外した。
七日目の「夢金」は魅力的だったのだが、先に忘年会を入れてあったので諦めた。
残ったのが楽日の「夜鷹そば屋」であった。

御通家のブログの記述を拝借しよう。
「夜鷹そば屋」は昭和40年に五代目今輔がネタおろしした有崎勉(金語楼のペンネーム)作「ラーメン屋」がもと。
その噺を平成8年に雲助が時代設定を江戸に戻して「夜鷹そば屋」として初演した。・・・とある。
つまりこれは師のほぼオリジナルと云うことになる。
そうなるとこの噺を聴けるのは今のところ雲助の高座だけかも知れないと推理が働く。
門下の馬石や龍玉なら演るかも知れない。 白酒はこの手の噺は演らないであろう。
いずれにしても余り掛かる噺ではないだろう。 そこで楽日に足を運んだ。

顔付けがなかなか良い。 好きな演者の名が連なっている。 席も良い所が空いていた。
平日の寄席の雰囲気は格別だ。 ゆったりとした時間が流れている。
落語会で感じられる客の気合いが希薄なのがいい。
落語でも聴いてみようか。そんな「でも」な感じがいい。

果たして「夜鷹そば屋」はありがちな人情話でありながら、
雲助の話芸にかかってしっとりと場の空気を鎮めたのだった。
泣いている客も数人見受けられた。
特に泣かせようと過剰な演出があった訳でもないが、
雲助の発する言葉のひとつひとつに、老夫婦と孤独な若者の機微が情感豊かに表れていたように思う。
基本的には笑いに行っているのだが、たまにはこんなトリで終わるのも悪くない。

聴けば聴くほど雲助である。 来年のテーマが朧気に見えてきた一夜であった。
 
 
  1. 2012/12/11(火) 23:59:29|
  2. 演芸など
  3. | コメント:0

酒肴と火あれば冬の宴 -河原乞食の忘年会-

師走に入り気忙しさを増す東京から山梨へ少し入った山間の河原で、焚き火を囲み飲み食い語らって来た。
年長のTさんを繋がりに浅ましくむくつけき男ばかり八人が集っての屋外宴会である。
山や釣りを愛す野遊び同好の士、久々に再会のTさん以外は初対面の方ばかりだが差し障る筈もなく。
そもそも全員が揃ったのが20時頃、闇夜の河原の橋梁下で焚き火に浮かぶ面差しを憶えようにも覚束ない。
それでも飲んで食べて語らう上で氏素性がそれほど重要なことではないのであった。

初参加ゆえ準備段階から手探りであった。
それでも食材は豊富に持ち込まれるので酒に重きを置くようにTさんからは申し付かっていた。
夜鳴き用に蕎麦と朝食用にホットサンドが出来るようにバウルー用の食材を用意し、
酒はワインと焼酎、ウィスキーの三種。 つまり温めて飲めるものばかりを持参した。

果たして噂どおりの食材の豊富さであった。
餅のように粘る自然薯を使った鮪の山掛けから始まり、前日釣り上げたと云うイカの刺身と一夜干、
他に魚介は鰯や氷下魚の一夜干に本ししゃも、肉は豚タンやシロコロを筆頭にホルモン類、鶏のソテーや串焼きの数々、
遥々佐久からいらした先輩は我が好物・信州新町本場のジンギスカンをご持参、
寸胴の中身は酸辣湯風辛スープ・・・で、しっかり炊飯まであるのだった。(他に忘れてたらごめんね)


kk3


酒より食らう比率が断然高い様相。 冷え込みに備えて体がエネルギーを欲しがっていたのかも知れない。
やがて腹がくちれば片手には飲み物、空いた手と身振りで今年の野遊びを振り返り語らう面々・・・。
自分は久々の焚き火を前に、頼まれもしないのに火の番に付き薪を足元にどかりと座り込んだものだ。
火を前にしてもやはり温かい飲み物は欲しい。 材料をマジメに揃えたホットワインが美味く出来た。
しかし酒の火力は案外持続性に乏しい、夜更け頃には牛乳たっぷりの紅茶に蜂蜜とバターを落とし暖を取る。
これが全身に熱を行き亘らせる。 カフェインに敏感な性質なので目も冴えるばかり。
結局、夜空に頭上の橋梁がうっすらと見えはじめる頃まで炎を見つめながら過ごしたのであった。
(因みに橋梁下なのでテント・タープ類は使わず、皆さんマットやコットにシュラフのみでご就寝・・・zzz )


kk4


夜明け前の冷え込みに一人二人と焚き火の前へ。火の番を替わって頂き仮眠を取る。二時間程まどろんだろうか。
やおら起き上がり、夜鳴きにしなかった蕎麦をと勇んで支度を始めた・・・のだが、
蕎麦やパスタはお湯が大量に必要、野外料理にはどちらかと云えば不向きなことは承知の上であったが、
朝の冷込みが追い討ち、湯が作れず皆さん待たせること多大なる時間、これほど湯沸しに気を揉んだことは嘗てない。
何とか茹でた蕎麦だが小さな鍋の湯はやがてドロドロと粘度を増し、終盤の蕎麦には妙な粘り気が出る始末。
あー、焚き火でも簡単に作れるホットサンドにしておけば良かった。
今回日の目を見なかったバウルーを横目で見つつ、後悔先に立たず。なのであった。

やがてすっかり朝の光に包まれていた河原。 ふーん、こんな所だったのかと見回しつつ、早くも撤収作業。
手際良き野郎共はカマドを始末し、ゴミひとつ残すことなく忽然と姿を消すのであった。

自主独立、されど和を以て貴しとなす (ちょっと違うか・笑)。
清算などと云ったチマチマした儀式もなく、それではまたいずれどこかでと、有るや無しやの口約束を残して。
河原乞食よ、今は何処(いずこ)で何する人ぞ。 一期は夢よ、ただ狂へ!



今回のツーリング <期間:2日>

  走行距離:146㎞     走行時間:2時間57分
  平均時速:49.5㎞/h  平均燃費:11.4㎞/L
 
 
  1. 2012/12/10(月) 23:59:27|
  2. 旅や野遊び
  3. | コメント:6

『 DOURAKUTEI出張寄席 「滑稽噺対決」~冗談いっちゃあいけねぇ~ 』 喜多八・白酒 二人会 於 北沢タウンホール / 平成二四年一二月〇四日

やかん / けい木
にらみ返し / 喜多八
宿屋の富 / 白酒

(仲入り)

紙入れ / 白酒
火事息子 / 喜多八

小田急線は都合十年通学に使った私鉄だが、社会に出てからは疎遠になっている。
昔は各停・準急・急行しかなかった普通列車も何やら種類が随分増えて、
パッと見てそれが自分の目的地に停まるのかどうか判別がつかない。
いずれにせよ下北沢は乗換駅なのでどれも停まるだろうと踏んで一番早いのに乗り込む。
(と云うのは嘘できちんと確認して乗り込んだ)

落語で来るようになって久々に降りてみると下北沢も随分様子が変わっていた。
中学生の頃は途中下車してゲーセンや飯屋へ寄り道したものだが、
駅周辺でも戦後闇市の名残が感じられる雑然とした雰囲気があり、
小洒落た私鉄沿線の中でサブカルなテイストも放っていたものだが、それも随分と薄れてしまった。
前日の睡眠不足もあったので、落語前の駅蕎麦はやめておいた。(腹がくちれば眠くなるので)
そもそも駅にある筈の箱根そばの場所が分からなくなってしまった。
確か昔は改札のすぐ脇にあって、その内外どちらからも入ることが出来た記憶がある。
もちろん、その間には大きな木の衝立があって無断で駅内外を行き来できないようにはなっていたが。
それこそ中学生の頃だったか、その箱根そばの前で大人のカップルが入る入らないで諍っていて、
もちろん入ろうとしているのは男の方でお姉さんが当然それを嫌がっていた。
昭和50年代の話である、女性が立ち食いそばに入るなんてことはまずなかった頃だ。
それでも男は腹が減ったと暖簾を潜ってしまい、お姉さんがふくれっ面で店前に佇んでいたのを憶えている。
女を困らせて優越に浸るとは安い奴だと中坊ながら思ったのを今でも憶えている。お姉さんはキレイな人だった。

タウンホールと駅の位置関係をいつも間違える。今回も反対方向へ5分以上歩いてから引き返す間抜けぶり。
時間には余裕があったので支障はなかったものの、かなり無駄足をした。
さすがに今回で位置関係は頭に刻まれたと思うので、次回は大丈夫だろう。 ・・・と思う。

白酒は独演より競演の方が気が楽だと常々口外している。
責任の分散、特に香盤が上の噺家とやる場合は(大抵の場合は)頼れるのでのびのび出来ると。
本心はどこにあるのか分からないが、見る限り喜多八との関係には心安いものを感じているような気がする。
シニカルでどこかアウトローを気取る両師にはお互い通ずるものがあるのかも知れない。

今年は圓太郎・白酒・兼好を追いかけると決めて始めたせいもあって、
特に白酒を沢山聴いた。 この会を含めて四十八席、今年最後の落語も白酒だから五十は超えそうだ。
さすがに少し食傷になりつつある。 年越しを機にバランスを取り直さなくては。
それでも聴いた高座の総数では白酒に次いで多い喜多八にはそれ程飽いた感じがしない。
そのあたりに両師の違いが伺えようか・・・白酒が今後、どんな歳の取り方をして行くのか、
まだお兄ちゃんな感じの師がオッサン丸出しになってどう立ち居振舞うのか、次のステージに興味津々である。

はねてからどうしようか考える。 この日は湯島の女将に関係のある日であった。
代々木上原から千代田線に乗り換えれば湯島まで足労なく行くことが出来たが、
少々時間も遅かったので出向いても閉店まで一時間を切るようだった。
その件は日を改めることにして、まっつぐ地元まで帰り、駅そばでかけを啜りコンビニでビールを買って帰宅。

駅そばの外でボクを待つキレイなお姉さんはいなかったけどね。
 
 
  1. 2012/12/05(水) 23:59:58|
  2. 演芸など
  3. | コメント:0

『 雲助蔵出しふたたび 』 雲助独演会 於 浅草見番 / 平成二四年一二月〇一日

(元犬 / つる子 サゲのみ)

岸柳島 / 市楽
徳ちゃん / 雲助
付き馬 / 雲助

(仲入り)

木乃伊取り / 雲助


10時に散髪へ行って正午前に地下鉄を乗り継いで銀座へ向かう。
松屋銀座で濱甼高虎展をやっているので寄ってみる。
半纏や手拭い、和装小物を扱う店なのだが、会場は和装売り場の小さな一角で品数は今ひとつであった。
それでも来年の干支に因んで蛇の目絵柄と蛇の漫画風の柄、
それと目に留まった“山道”と称した都合三本の手拭いを買ってその場を後にした。

東銀座から浅草線で人形町へ。 新橋の美人マスターが二店舗目を出したので顔を出す。
餃子を中心に昼間はランチ、夜は居酒屋の体で回すらしい。
人形町駅からは3分ほど、土曜の昼、界隈の人影は疎らで店にも客はいなかった。
開業最初の週末にしてはちと寂しい感じではあったが、聞けば客足はまぁ悪くないとのことであった。
マスター、一週間は新橋を休んでこちらへ傾注するらしい。
その後はランチのみ顔を出し夜は新橋に戻るとのこと、働き盛りの乙な年増女は精力的である。
ランチの餃子は皿に八つ、ニンニク入りと抜きが選べる。小鉢とスープがついて飯はおかわり自由。
落語へ行く道すがらなので抜きを食べた。餡は肉多め、味は申し分ない。 ニンニク入りだと野菜勝ちらしい。
松屋の高虎で時間を取り過ぎた。 餃子定食は早食い、暇乞いも手短に浅草へ急いだ。

浅草線の駅から浅草見番までは1km以上ある。浅草寺を抜けるが仲見世の人込みでは歩度が遅い。
通りに連なる店の右裏を早足で抜けて境内から病院脇を通って浅草寺の裏手へ出る。
見番自体、行くのが初めてだったのでここで入る筋が不案内で多少迷う。
少し遠回りをして会場に着くと、丁度開口一番のつる子が「元犬」をサゲるところであった。

畳敷きの大広間に舞台高座、客は座布団で寛ぎ落語を楽しむ。
部屋は不正形で大きな独立柱もあったりで見え方は座るところで様々だ。
開演後に入ったので入り口間際に空いていた場所に決めてウロウロせずに座布団を敷いた。
座布団は積んである脇に座っていたご婦人が手渡ししてくれた。 座ると後ろの割りに良く見える。

“雲助蔵出し”については名前こそ以前から知っていたが足を運ぶのは初めて。
雲助地元の浅草で師をたっぷり聴く会。 贔屓筋には願ってもない趣向であろう。
ベテランの中でも雲助は喜多八と並んで好みなのだが、巡りあわせか あまり聴く機会が多くない。
落語会より寄席のイメージもあり、落語会中心の自分のチョイスだとつかまえ難い感はある。
そんな中での初の“蔵出し”、これはもっと早く目を付けておけば良かったと思わざるを得ない会であった。
会場の場所と雰囲気、客筋、土曜の昼下がりのゆったりと流れる時間など、どれもがとても好ましい。
聴くべき人を聴くべき場所で聴くべき人が聴いている、そんな感じである。
もともと休日の昼過ぎに落語へ足を運ぶのに贅沢を感じる方なので、夜の会とは違う満足度も加わって◎。

まくらは地元ばなし、根多選びも独壇場、雲助オンリーな時空がキレイに出来上がってる。
もう随分と回を重ねた会と聞くし、これは逃した日々が悔やまれてならないが振り返っても仕方がない。
この先は機会ある限りは足を運ぼうと心に決めつつ、仲入りで求めた次回の券を懐に見番を後にしたのであった。
 
 
  1. 2012/12/02(日) 23:59:34|
  2. 演芸など
  3. | コメント:0

profile

 良速

Author: 良速
  
 
- りょうそく - と申します。
 
九山八海  花鳥風月
東奔西走  南船北馬
美酒嘉肴  羽化登仙
歌舞歓楽  一竿風月
謹厚慎重  天空海闊

そんな感じでまいります。

.......................

category

旅や野遊び (62)
演芸など (313)
フォト・キネマ・アートとか (157)
道具のたぐい (39)
飲んだり食べたり (4)
徒然なるままに (12)
序 (4)
未分類 (1)

comment

calendar

11 | 2012/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

archive

counter

search form