七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先でのよしなしごとを。

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少年と自転車 - Le Gamin au velo - 於 目黒シネマ

十月中旬、二本立てで掛かっていたうちの一本。二本目で観る。

不遇な子供と云う設定にめっぽう弱い。 世界中の子供に幸せであって欲しいから。

主人公シリルは12歳の少年。 母親はおらず父親の育児放棄により児童養護施設へ預けられている。
彼は再び父親と暮らすことを望む日々だが、探し当てられずにいる。
ある日、施設を抜け出し昔住んでいた団地へ父の所在の手掛かりを探しに向かうがそこはもぬけの殻、
そして追って来た教師から逃れようと入った診療所で美容室のオーナー美容師・サマンサと出逢う。
後日、自分が父の縁(よすが)として探していた買って貰った自転車の所在を探し当てて届けてくれたサマンサに、
シリルは週末だけ里親になってくれと懇願し、やがて二人の暮らしが始まる。

12歳にもなると もう少し大人かなとも思いつつ、親の居ない生活をしている孤独な少年の境地は計り知れない。
優しくしてくれる里親と、彼女の尽力でやっと探し当てた父親から受ける冷遇。
そして施設を出てサマンサのもとで過ごす中で知り合う近所の不良少年との危うい行動。

愛情を持って接してくれるサマンサ。
しかし いざそうした存在が出来てみると孤独な日々にはなかった苛立ちがシリルには芽生え始める。
人間とは、いや少年とは複雑な生き物である。

サマンサはとても大人な女性で、深い愛情でシリルを包み込む。
少年に振り回されることで交際していた男性との仲もうまく行かなくなり疎遠になってしまう。
彼女の行動と心境を母性のひとことで片付けてしまって良いのかは、観てふた月経った今でも良く分からないのだが。
少なくとも彼女は少年を甘やかすようなことはしない。
毅然としていて、一己の人格として認めた上で、僅か十二年しか生きていない経験の不足分を補うことに腐心する。
里親は親代わりではなく、幼い心に大人が日々見守り己の存在を認めてくれている安寧を与える存在なのかも知れない。


Le Gamin au velo
(C)christine plenus


物語は二人の信頼関係を厚くしならがも、不良少年を介したシリルの無軌道な行動で波立って行く。
結果的に彼は誤ったことをして人を傷つけてしまうが、結果的にそのことが二人の絆をより強いものにすることになる。

12歳と云えば子供とは云え、既に青年期へ足を踏み入れている時期だ。
それ故の心の危うさみたいなものが、弱いだけの幼子にはない心の葛藤として描かれていて秀逸であった。
少年とその心をガラスに例えたりするが、キラキラしていて傷つきやすく割れると人をも傷つけてしまう、
そんな少年時代の例えとしてそれ程陳腐な比喩でもないのかなと思ったりもして・・・

そしてとても印象的なラストシーン。 フランス映画らしい、と云うかとても文学的な情景で幕は下りる。
観る者に色々な想いを投げかけて、一筋の光を残すような巧妙な演出にひとつ深い溜息をつく。
こんな後味と余韻は久々であり、いい映画を観たなと充足感に満たされて席を立ったのを昨日のことのように思い出す。

(一本目が余り琴線に触れなかったので、二本立てをこちらで締め括れたのは順番として良かった。)
 
 
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  1. 2012/12/19(水) 23:59:59|
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