七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

ダイ・ハード ラスト・デイ - A GOOD DAY TO DIE HARD - 於 TOHOシネマズ日劇 スクリーン1

このシリーズを映画館で観たのは前作「4.0」が初めてであった。
1~3作目までも何度となくTVやビデオで観ている。ついつい観てしまう。

その「4.0」でマクレーンがF-35Bにしがみついた瞬間、
ああ、これはドリフなんだなと思ったのを憶えている。
ハリウッドのハードアクションが取手市民会館でのドタバタコメディに、
真っ黒に汚れたスキンヘッドのブルース・ウィルスが、
崩れたセットからゲホゲホ言いながら出てくるカトちゃんにダブって見えたのであった。

そんな位置づけで今回も笑わせて貰おうと足を運んだのだが・・・

お約束の派手なアクションと破壊シーンの連続。
シリーズ化すると前作を上回らなければならない宿命を負うものだが、
こちらの期待値も上がってしまい相当のものを見せられたにも拘らず刺激は今一つ。
それでも例によって有り得ない不死身っぷりを披露してくれ、
その点においてはドリフの比ではなく こち亀 の 両さんに匹敵するタフさであった。
そうした超人マクレーンの不運を笑いながら観ている途中までは良かったのだが・・・
やがて雲行きが怪しくなって来たのである。


DIE HARD 5
(C) 2013Twentieth Century Fox


(ネタバレはじめ) 

舞台はチェルノブイリへと移り、謎の中和剤で放射能は消え去り、
濃縮ウランの詰まった箱をとてつもなく乱暴に扱い機関銃で穴を開ける始末。
米国人と云うのはいつまでたっても放射能音痴であり、
認識の根底に「アトミック・カフェ」が脈々と息づいているのである。
こうした国が核抑止を謳いつつ、世界第二位の核保有国であることに悪寒が走るのだった。

その中和剤、くれないかな。マジで。

ストーリーの捻りも今ひとつ。
さてこの後何が起こるのだろうと身構えていたが、結局そのまま事件は治まってしまった。
悪い女の子はパパの仇!と叫んで自ら操縦するヘリで突っ込んで自害してしまうし、
脚本はこれでもかと云うくらい乱暴なのであった。

まぁ、ハリウッドアクションに目くじら立てる自分もどうかと思うのだが・・・


(ネタバレおわり) 


そんな訳でシリーズの中ではかなり出来の悪い方と云うのが正直な感想。
マクレーンの娘役も 「4.0」 の方が可愛かったしなぁ などと思いつつ、キャストを調べてみると・・・
どちらも メアリー・エリザベス・ウィンステッド、なんと同一人物ではないか。
「4.0」 の時はもっとスラリとしたイメージだったが、本作では少しポッチャリとして、
尚且つ地味な装いだったのでてっきり別人かと勘違いするほど印象が違っていたのだ。
これはストーリーよりビックリな結末で、印象深い出来事なのであった。


さぁマクレーン 次はいずこで ダイハード by 良速
 
 
  1. 2013/02/24(日) 23:59:30|
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『 第46回 人形町らくだ亭 』 小満ん・一朝・一琴・春蝶 於 日本橋公会堂・日本橋劇場 / 平成二五年二月二二日

真田小僧 / まめ平
牛褒め / 一琴
黄金餅 / 一朝 

(仲入り)

地獄巡り / 春蝶 
居残り佐平次 / 小満ん


昼食が軽かったせいか、茅場町駅から地上に出た時にはかなり空腹であった。
いつもどおり小諸に入り おおもり を注文、少々混んでいるカウンターへ並ぶ。
ガラス越しの厨房で若いお兄ちゃんが威勢良く茹で上がった蕎麦を水で締めている。
立ち食い蕎麦のクセにやたら美味そうである。
おおもりは程よい量で260円。 地元の蕎麦屋の大盛は700円である。

らくだ亭は開場するとロビーで次回の券を手売りしている。
ネット販売が翌日からなので来場者の特権で、ある程度席を選んで求めることが出来る。
今回は早めに着くことが出来たので前寄り、左が通路際と云う自分好みの席を確保出来た。

二年半ぶりに一琴を聴く。 なかなか面白い 「 牛褒め 」 であった。
与太に愛嬌があり、愚鈍とは違う雰囲気が出ていた。
与太を馬鹿にしておらず、愛着を持って成り切っている感じが好ましかった。

一朝の江戸言葉は聴いていて気持ちが良い。足立の出身とあるが代々 下町なのだろうか。
この人のべらんめぇな町人は兎に角聴いていて楽しい。

春蝶、上方の噺家だが今拠点は東京にあるとのこと。
師匠三代目・春団治に、東京で試してみたいと願い出た時に“訛るなよ”と言われたそうだ。
上方落語を演る上で、東京訛りが出ないようとの戒めだ。

小満んの 「 居残り佐平次 」。
佐平次の二面性みたいな部分が台詞まわし、立ち居振る舞いに顕著で、
幇間めいた明の顔と、居残りを決め込む性悪な暗の顔の織り成しに見応えがあった。
路銀を無心するところまでで、サゲ。
それでも自分がイメージする人物像に近い佐平次が見られて満足であった。

はねて外へ出る前からまっつぐ帰ろうと心は決まっていた。
翌土曜は飲み会であったし、少々懐も寂しかったので地元まで戻った。
コンビニでビールと焼き鳥と厚焼き玉子を買い、家で焼き鳥をチンして軽く飲んだ。
これが大変安上がりであり、そこそこ満ち足りてしまう家飲みなのであった。
この流れ、小遣いの節約にもなろうと云うものだ。
よしよし。 いや、しめしめ。 ・・・どっちでもいいや。


  1. 2013/02/23(土) 23:59:42|
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『 人形町噺し問屋 その37 』 兼好 独演会 於 日本橋社会教育会館 8階ホール / 平成二五年二月一九日

道灌 / 鯉◯
館林 / 兼好

(仲入り)

漫才 / 宮田 陽・昇 
うどん屋 / 兼好


噺問屋、11月12月と二回続けて当日になって仕事で行かれずドタキャンをした。
1月はお休みだったので四ヶ月振りである。
四ヶ月振りの上、ほかの会でも殆ど顔を見なかったので、
久々の兼好節が懐かしくもあり新鮮でもあった。

「 館林 」 は初めて聴く噺。 初聴きはいつでも嬉しいものだ。
演題が分からず仲入りに iPhone で検索する。
噺に出て来たキーワードでヒットした粗筋が該当かを確認するのだが、この作業が結構楽しい。
大抵、キーワードそのものズバリと云うことが多いが、今回は噺の舞台となる地名であった。

食い付きの宮田 陽・昇、初見の芸人さん。
なかなか面白い。 色物も様々だが個人的には三味線やギターの漫談・紙切り・漫才が好きだ。
太神楽・ジャグリング・奇術はどうもリラックス出来ないので苦手である。

トリ根多の 「 うどん屋 」 は冬の定番の割にあまり聴く機会がなく久々。
二年前の小三治がとても良かったのを憶えている。 果たして今回の兼好もなかなかの高座であった。
この噺では最初に登場する酔っ払いが見所ではあるが、
個人的には最後に登場する小声の客をどう演じるかが気になる部分だ。
まず啜っているのが蕎麦ではなくうどんに見えるかどうか。 その点において今回の兼好は秀逸であった。
そしてこの客は風邪で体調が今ひとつなところ、鍋焼きで身体を温めようとうどん屋を呼び止めている。
だからそのうどんの食べ方も、威勢良くさも美味そうに啜るのはおかしい。
ダルそうに、うどんも重々しく啜る感じがあってこそ、
最後の“うどん屋さん、あんたも風邪ひいたのかい。”の台詞が生きてくるのだと思っている。
そのことに於いて、兼好の 「 うどん屋 」 には満足なのであった。

このところ落語を堪能したと云う実感の残る会がなかった。
前回の小三治一門は小三治の不調が残念であった。
その前の小辰は独演デビューを見守る心持ちの緊張感があったし、
更にその前の睦会はトリ根多が嫌いな 「 鼠穴 」 だったことで後味が悪かった。
その点に於いても、今回の噺問屋は久々に満足の落語会であった。


kenkoumai


さて、兼好は会津若松出身。
その縁あって隣町である会津坂下の農業振興プロジェクトに携わったそうで、
今回はそこで収穫したお米をお土産に頂いた。 その名も兼好米。
会津は嘗て仕事で二年以上通った土地であり、米や酒肴の美味い土地なのは重々承知している。
これはなかなか嬉しい土産だ。 二合ほど入っているそうなので独り占めして頂こう。

はねてからは直帰。先日、三回ほど落語終わりの独り酒を我慢すると書いたがこれで三回我慢した。
今週金曜のらくだ亭から再開するか、来週の喜多八まで我慢するか。 それは金曜の気分次第と云うことで。
 
 
  1. 2013/02/20(水) 12:05:25|
  2. 演芸など
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ゼロ・ダーク・サーティ - ZERO DARK THIRTY - 於 ユナイテッド・シネマ としまえん 3スクリーン

先週土曜に鑑賞。

2001年9月11日から2011年5月2日までの話。
オサマが暗殺されてからまだ二年経っていないのである。
それが既に映画と云うエンターテイメントのかたちで衆目に明かされる。

10年に亘ってオサマは逃げ続け、最後も確証のないまま暗殺計画は躊躇される。
CIAの男達は失敗を恐れて計画を断行出来ない。
百日以上の観察でもオサマの姿は無く、膠着状態が続く。
彼等はオサマがそこ居る確率を六割と言い、自らの失態に繋がる事態を回避しようとしり込み。
そんな中、オサマの存在を100%確信し計画実行を強く推したのは
ビンラディン追跡チームの女性分析官・マヤひとりだった。

彼女を見ているとボーン・シリーズに登場するCIA内部調査局のパメラ・ランディを思い出す。
切れ者の女はいつでも膠着した男社会に風穴を空ける重要な役割を担っているのだ。
しかしそれには一種ヒステリックなものも内在しているようで、
そこに女性特有のパワーを意識せざるを得ないところもあるのだけれど。

キャリアのある女性が元気な日本にあっても、この作品は案外女性受けが良いのではないだろうか。
隣席にカップルが座っていたが、観終わって女性の方が“やっぱり女なのよ”と意気盛んに申しておられた。

物語は終始地味で単調な諜報活動を流し続ける。
厳しい拷問のシーンなども織り交ぜられてはいるが過度な演出はなく、
そこにドラマティックな要素は乏しいものの、その事が却ってリアリティを感じさせる。
強いて言えば十年と云う長い長い調査期間をもう少し実感出来る演出が欲しかったけれど。


ZDT
Jonathan Olley (C) 2012 CTMG. All rights reserved.


その閉塞感の中からのラスト30分 オサマ暗殺実行の一部始終は、
緊迫度をMAXに上げて観る者の身体を硬くする。
映画的な演出臭さは排除され、まるでドキュメンタリーを観ているかのようであった。
それだけ現実のものごとが劇場型に起きていると云うことなのかも知れない。

内容からして先日観た「アルゴ」との比較をしてしまう。
十八年も明かされなかった脱出作戦と、二年も経たずに語られる暗殺計画の違い。
それは9.11によって大きな傷を負った米国が、
早くそれを過去のものとしたい心情が表れている気がするのは見当外れでもないだろう。

(以下、ネタバレほどではありませんが・・・)

ラストシーンは作戦基地から帰国する迎えの輸送機の乗務員からどこへ行きたいと訊かれて、
マヤが無言のまま思慮深げな表情を浮かべるところで暗転する。
彼女の行きたかったところは2001年9月10日だったのではと、ふと思ったのだが。(陳腐かね)
 
 
  1. 2013/02/18(月) 12:55:20|
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『 柳家小三治 一門会 』 小三治・〆治・三三・三之助 於 練馬文化センター 大ホール / 平成二五年二月一四日

道灌 / 三之助
池田大助 / 〆治

(仲入り)

転宅 / 三三
甲府い / 小三治


久々の練馬文化センター、ねりぶん(勝手に命名)である。
昨年から大きな会場の落語会を避けるようになって、
大ホールと呼ばれるような所には小三治の会でしか足を運ばなくなっている。
そんな小三治も昨年十月末の目黒以来、久々である。

三之助は今まで聴いた中では一番良かったように思う。
どことなく線の細さと云うか優男な印象が強かったのだが、
今回は以前より骨太な感じが出ていたように思う。
たまにしか聴かないから分かる変化もあるのかなと思ったり。

〆治は少し喉を痛めていたのか。 心なしか声に張りがなかった。
途中咳き込みそうになるのを堪えている様な場面もあった。
ただの乾燥喉か、それとも風邪でもひいていたのか。

食いつきの三三はまくら無しでいきなり噺に入った。
潔くて気持ち良いが、この時点で小三治へ急いで渡そうとしているような感じを受けた。
この 「 転宅 」 に女盗賊として高橋お伝なる名が出てくる。
毎回聞く名前だがどんな人物かまったく知らないことが今更ながら気になってネットを閲覧。
すると女盗賊と云うとのは随分様子が違うのだった。
お伝は生まれてすぐ養女に出され、十七で結婚するも夫と死別。
その後ヤクザ者と恋仲になってその生活で借財が重なり、
一夜の枕を条件に知り合いの古物商と借金の約束を交わすも同衾の末にそれを反故にされ、
怒りにまかせて剃刀でその喉を掻き切り殺害、財布の中の金を奪って逃走する。
お伝 二十六 の時の事件で、その後逮捕、判決が下り 二十九 で斬首刑に処されている。
ざっと流し読んだ範囲では、お伝の犯行はこの辱めを受けた男への強盗殺人一件のみ。
彼女は時の政府の道徳教育に利用され、毒婦盗賊に仕立て上げられ不貞の見本として晒されたらしい。
写真で見るとなかなかの美人だが不幸な人生の末、
極悪人として首を斬られた悲劇の人であったと思われる、これこそ“ああ無情”ではなかろうか。

そんな 「 転宅 」 の後、おもむろに師匠が登場。
いつもならいつ終わるとも知れないまくらを始めるところですが、今日は弟子達の噺がまくらと云う事で・・・
そう言うと小三治もまくら無しで 「 甲府い 」 に入った。周囲が少しザワつく。
師の場合はそのまくらお目当ての客が少なからず居る訳で、その当てが外れての溜息が漏れていた。

果たして小三治の高座は言い淀みや間違えが目立ち、正直良いものではなかった。
三三が急いだのも小三治本人がまくらを省いたのもその辺に理由があったのだろう。
高座が遠くて顔色までは判然としなかったが、体調が思わしくなかったのかも知れない。
それとも何かの気まぐれか・・・いや、それで高座の質が下がる人ではなかろうから、
やはり心身のいずれかに不調があったのだろう。
なかなかチケットの取りづらい人だけに、聴ける機会には堪能出来ることを願うばかりだ。
 
 

  1. 2013/02/15(金) 12:20:15|
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『 入船亭小辰の会 その壱 ~冬のコタツ~ 』 小辰独演会 於 日本橋ピッコロ / 平成二五年二月一〇日

反対俥 / 小辰
火事息子 / 小辰

(仲入り)

野晒し / 小辰


昼下がりの日本橋、小諸そばに寄る。 ここは日曜もやっている。
きつね蕎麦を啜っていると隣に座った若者二人連が付いてきた蕎麦湯を怪訝そうに見て、
これは何に使うものだろうとヒソヒソ・・・蕎麦湯を知らんとは仰天。
横からお節介をして教えたが、世の中 色々あるものだ。

小辰が二ツ目になって、恐らくこれが初めての独演会の筈であった。
当日の朝まで行くかどうしようか決めかねていたが、
陽気が穏やかだったのも手伝って直前に空きを確認し足を運んだ。

会場はイタリアンの小さな食堂。 店前に小卓を出して即席の受付。
木戸銭を払う際に、落語を聴き始めて以来 初めてポチ袋を託けた。
わけあって機会があれば些少だが小辰に包みたかったのだ。

店は中もこぢんまりとした空間。 定員25名の会だったようだが数えると28名入っていた。
当日予約無しで来た人がいなければ自分が最後の飛び入りであろう。
席亭は窮屈を詫びていたが、窮屈にした張本人としては耳が痛い。

店側からひと言挨拶の後、出囃子なし店内に流れるJAZZで小辰が登場。
本人がCDを忘れたらしいが、店も落語会を催すなら汎用に一枚備えておけばよかろうに。
いずれこんな事も懐かしい思い出になるのだろう。

まくらの冒頭でやはりこれが初の独演だと言っていた。
一席目 「 反対俥 」 を熱演、景気付で汗だくの一席。
上がった息を整えながら場を繋ぎ続けてもう一席、「 火事息子 」。
これは昇進披露で扇辰と開いた小辰の地元大塚の会にて根多おろししたとのこと。
披露会でトリ根多にこのチョイス。 扇辰には呆れられたと、師匠の真似を交えて裏話。
この 「 火事息子 」、火事が治まってから息子が現れる運び。 初めて聴く。
聴き慣れたものと違うので新鮮だが、違和感も伴う。
仲入りを挟んで 「 野晒し 」。
ほぐれて来たのか、あと一席まで辿り着いた安堵も手伝ってか、前半に比べてノリノリの様子。
八のはしゃぎ様は相当で、小辰がこんなに弾けているところを見るのは初めてかも知れない。
何はともあれ、三席堂々のお務めであった。

この先彼がどうなって行くのか追いかけてみよう。
上下関係、ご贔屓筋との付き合い、女性ファンも放っておかぬだろう。 好事魔多しだ。
一見大人しそうだが、纏っている空気にはそう単純ではない気配も感じる。

託けは通じたようで帰り際に店先で小辰に声を掛けられた。 彼もこちらを憶えていた様だ。 
改めてポチ袋の趣旨を直接伝えて、手前勝手に気分をスッキリさせて家路についた。
気は心、あとで中身を見てガッカリしてなきゃいいけど。
 
 

  1. 2013/02/12(火) 23:59:33|
  2. 演芸など
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テッド - TED - 於 立川シネマ・ツー studio b

かわいいクマのぬいぐるみに命が宿りドタバタを繰り広げるコメディ。
・・・と、表面的に書いてしまうと実際の中身と随分ニュアンスが違ってしまう。
おそらくそう云うイメージ先行で来ているお客も多かったようだ。
若いカップルや二十歳そこそこの女の子グループなどに、
突っ込みどころ満載の'80sなギャグとブラックユーモアはどれだけ通じたのだろうか。

主人公はのび太みたいな少年が大人になった感じ。
クマのテッドはエロいおっさんで、下品な言動と容姿とのギャップがなかなか効果的だ。
80年代に少年期を過ごした世代には憶えのあるシチュエーションが数多く描かれているが、
それでも国の違いか笑いのセンスも含めて全体の何割を楽しめたのかについては、
多少なりとも“?”が残ってしまった。
笑いの質が万国共通のものではなく飽くまでもアメリカンであり若干置いてけぼり気味、
アクションでなく言葉で笑わせるコメディの翻訳は難しいなと改めて思ったりもした。
40代の自分でさえそうなのだから、若いお客さんには尚更であったろう。
終幕後の会場の空気にも何となく戸惑いの感じが漂っていた。

そんなお客の反応には地域性もあったかも知れない。
ベッドタウン(古いねどうも)である立川のエリア文化との乖離とでも云おうか、
本作は新宿武蔵野館でもかかっていたが、あちらで観たらお客の反応は全然違ったであろう。
一緒に観た友人から、敢えて武蔵野館は避けようと提案があったので立川をチョイスしたが、
確かに武蔵野館で観たら観たで、周囲のスノッブな反応にひいてしまったかも。


ted
(C)UniversalPictures/Tippett Studio


要するになかなかクセのある作品で、客層としては我々おじさん世代がツボであるということ。
更に映画好きならいろいろと組み込まれている
落語で云うところのイレゴト・クスグリにニヤリとしながら、
時折ダークなディテールに声を殺して乾いた笑いを漏らす・・・そんな映画であった。
あと五年もすればこの手の笑いはひと世代下のお客が共感するものに取って替わる。
そんな友人の感想にもなるほどなと頷いてしまった。

興行成績も好調なようだが、果たしてお客の満足度はいかほどのものか。
深夜の地上波放送や、たまたま飛行機の中でやっていたのでついつい最後まで観てしまった。
どちらかと云えばそういうシチュエーションが似合うかも知れない。
 
 
  1. 2013/02/10(日) 23:59:18|
  2. フォト・キネマ・アートとか
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『 落語睦会 ~牡丹雪のゼントルマン 』 扇遊・鯉昇・喜多八 三人会 於 国立演芸場 / 平成二五年二月六日

やかんなめ / 喜多八

(仲入り)

そば処 ベートーベン / 鯉昇
鼠穴 / 扇遊


大雪が降ると喧伝していたにも拘らず、夕方には雨も上がってしまった。
事務所前の雪掻きを覚悟していたので服装が野良仕事風。
その着替えもあって少し出遅れ、開口一番には僅かな差で間に合いそうもない。
当初は例によって小諸そばへ寄るつもりであったがそれどころではない。

果たして演芸場に着いた時にはモニターに開口一番の高座がながれていた。
知らぬ顔だが羽織は着ているので二ツ目であろう。 兎に角腹が減っていたので売店へ。
残っているのは720円もするサンドイッチと980円もする煮物中心のお弁当・・・
サンドイッチを選んで200円もするPETボトルの紅茶と都合920円、高いなぁ。

モニターの見える席で開口一番を聴きながらそれをパクつく。
正直あまり面白くないまくらを結構長くやってから根多に入った。
噺の方は聴いたことがある運びだが、全体が見えない。 何を演っているのかな。
高いばかりのサンドイッチを食べながら聴く高座がこれかと、ちょっと業腹な気分に。
こんなことなら開口一番は諦め、小諸で230円の美味しいかけ蕎麦を啜ってから来れば良かった。
高いばかりのサンドイッチはそれなりに量があって、食べるのにも時間がかかった。
(と云うことは高いばかりではなく高くてそこそこボリュウムのあるサンドイッチか)
それでも高座は終わらない。 背後から「前座のくせに長いね。」とボヤキ声。
振り返ると白髪の小柄な男性がスタッフにケチをつけているところであった。
「もうすぐでございますので・・・」 やれやれ、高座の君に聞かせてやりたいよ。

やがて終わって(噺は 「 熊の皮 」 だった)やっと席につくことが出来た。
出囃子は “ 梅の栄 ”。 喜多八が上がって睦会は今年初なので新年のご挨拶を、と。
とは言え漸く寄席も正月気分が抜けて、力みのないいつもの空気になって来ていい塩梅だと。
節分の豆撒きも終わり落ち着いた二月平日の寄席の空き具合を想像してみる。 うむ、いい塩梅だ。
喜多八でお仲入りだったので、こちらはすぐに休憩に入った気分だ。それにしてもちょっと早い。

食いつきの鯉昇が、喜多八さんが短く演ったので少しダラダラまくらをやりますと。
聞き覚えのあるまくらが幾つか織り交ざったが、師を聴くのが久々なのでそれでも面白く。
根多は 「 時そば 」 の鯉昇オリジナル版。 ハーフのそば屋が面白い。
ちょっとイジってかけることの多い鯉昇。 それでも本筋が破綻しない匙加減がなかなか巧い。
くすぐりも程よく入って、この日一番の高座であった。

扇遊は嫌いな噺 「 鼠穴 」。 トリがこれでは後味が悪いと思いつつ、聴きながら途中舟も漕いだ。
誰が演っても嫌いなものは嫌いなのであって、やっぱり後味悪く会場を後にした。

この日は直帰。 前日発売した限定ウヰスキーを思わずクリックしてしまい思わぬ出費をした。
ひとり酒を二三回我慢すれば良いくらいの値であった。 なのでこれから三回ガマンするのである。


  1. 2013/02/07(木) 23:59:57|
  2. 演芸など
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ももいろそらを 於 シネマカリテ スクリーン2

先週金曜に観賞。

落語家の桃月庵白酒が出演しているのをきっかけに興味を持った映画。
彼は町の印刷工場の社長役で、なかなかのはまり役であった。

女子高生いづみが30万円入った財布を拾うところから物語は始まる。
財布の持ち主は中身から別の高校に通う一つ年上の少年であることが判明、
父親は天下りの元役人、家は豪邸で諸々カチンと来るいづみなのであった。

白酒演じる釣り堀仲間の社長は仕事がなく金策に頭を悩ませていた。
拾った財布は体制側のろくでもない金だからくれてやると、いづみ。
彼女は新聞記事を隈なく読んでは採点するような、ちょっと変わった少女なのだ。
結局社長は必ず返すからと財布から20万を抜いて借用書を渡して姿を消す。

その後、学校の違う仲良し二人とカフェで落ち合ったいづみだが、
友達のひとりが落し主の学生証の写真がカッコイイ男の子だったことから返還を強く主張、
それをきっかけに彼と親しくなりたいのがそのコの魂胆なのだが、
それがもとで20万足りない財布は少年のもとへ戻ることになってしまう。
少年にとってもいわく付きの金であったことで物語はあらぬ方向へと彼らを導いていく。


momoirosorawo
(C) 2012 michaelgion All Rights Reserved.


なかなか面白い作品であった。
女子高生三人と一つ年上のちょっとイケメンの男子高生、今時のこの年頃ってこんな感じなのかな。
もちろん十人十色、この四人をその代表みたいに捉えることは無理としても。

いづみはちょっと変わったコだが、友達二人もそれぞれに個性的。
少年に至っては、終盤でなかなかインパクトのある秘密が明かされたりする。
ひとりひとりと向き合えば誰もが一己の人間として味わいがあることを再確認させてくれる。

ストーリーも良く出来ていて、
巡り巡って高校生達の行動の影響下で社長がうまいことに仕事ありつくあたりは、
気持ちの良い起承転結であった。

主人公を演じた池田愛と云う役者さんは実際現役の女子高生で、
現在は進学の為に女優業は休んでいるらしい。
なかなか雰囲気のあるコなので復帰も期待したいところだが、
逆にこのまま引退してしまうのも、劇中のいづみの個性とダブってカッコイイかもなと思ったり。

ちょっと露出オーバー気味のモノクロ画面が特徴的。
黒沢映画の 「 天国と地獄 」 みたいな演出が軽妙な遊び心となっているところも面白い。


  1. 2013/02/04(月) 23:59:52|
  2. フォト・キネマ・アートとか
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Author: 良速
  
 
- りょうそく - と申します。
 
九山八海  花鳥風月
東奔西走  南船北馬
美酒嘉肴  羽化登仙
歌舞歓楽  一竿風月
謹厚慎重  天空海闊

そんな感じでまいります。

.......................

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