七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

『 入船亭小辰じっくり落語会「長いのと短いのと」第三回 』 於 道楽亭 / 平成二五年七月二九日

道具屋 / 小辰
佃祭 / 小辰

仲入り

青菜 / 小辰


随分前に父から譲り受けた腕時計がある。
長く抛っておいたのだがふと気になって出してみる。
以前間に合わせで付けた安物の革ベルトがすっかり朽ちていた。
道楽亭へ行く前に伊勢丹に寄ってベルトを新調しよう。
その後は前から気になっていたカレー屋へ寄って会場入りだ。
そんなことを企んで事務所を出た。

伊勢丹メンズ館1階にカミーユ・フォルネがある。
少し明るめの茶系か、赤み掛かった濃い茶か。
そんな色目を考えつつ見せて貰う。
時計は IWC の古いラウンド、ゴールドケースでシンプルダイヤル。
時計を引き立たせるには少し濃い目の色で艶消しが良いとのこと。
ミシシッピ・アリゲータ、竹符柄のダークブラウンマットを選ぶ。
時計が古く下側のラグが少し歪んでいてベルトが入り難い。
カミーユ・フォルネのオリジナルばね棒では入らず、
普通のものに加工しなおして貰う。これで装着完了。
思いの外、時間がかかって結局カレー屋へは寄られなかった。

道楽亭では過去二回やっているが何れも日程が合わず不参加。
今回が初めて。 恒例で根多おろしをする会のようだ。
小辰は二つ目になってから引越した。まくらはその話題が最近の旬。
前回、日本橋で聴いた時より部屋のものも確実に増えているようだ。
TVより先にiPadを買った話。YouTubeであっと言う間に時間が過ぎる。
稽古の時間が誘惑に負けて減ってしまう。だから浚いが不十分だと。
遠まわしに根多出し根多おろしの 「 佃祭 」 の出来を牽制。
それでも出来は目立って悪いところもなく。
根多おろしの緊張感が小さな会場の空気をキリッと締めた感じ。
悪くない芝居であった。

はねてから打ち上げがあったが今回も不参加。
そのうち参加してみるか。噺家と近づく事にちょっと身構える。
それよりあのピッチャーで出されるビールだけは遠慮したい。
会場を出ると後から小辰が帰る客の見送りに出て来た。
次回の道楽亭は来られない。どうも道楽亭は日程が合わない。
その時におろす根多は十月のピッコロで聴かれるだろう。
十月のピッコロには行く予定だと告げてその場を後にした。

寄り道はゴールデン街。
ママの所は入れ替わりで先客が帰り、ずっと差しで話した。
話の流れで31日の落語会の後にも寄る約束をして店を辞した。


  1. 2013/07/30(火) 23:59:51|
  2. 演芸など
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『 らくご街道五拾三次 -両徳- 』 雲助独演会 於 日本橋劇場 / 平成二五年七月一九日

船徳~お初徳兵衛 / 雲助


今月は落語会を十も入れてしまい過去にない過密スケジュール。
そして遂に仕事とバッティングしてキャンセルを覚悟したのがこの会。
17時から川越で打ち合わせ、二時間後の開演には間に合いそうもない。

・・・と思ったのだが、打ち合わせは小一時間で終了。
車で出ていたが事務所へ19時頃には帰れそうだ。
お仲入りあとの後半だけでも聴かれそうである。
ダメ元で茅場町へ。駅からは小走り、日本橋蛎殻町、日本橋公会堂。
エレベータの扉が開くと会場内の雲助の声が漏れ聞こえて来た。
チケをもいで貰いホワイエのソファで改めて耳を傾けると噺は 「 たがや 」。
(どうやら前半はまくらたっぷりで 「 たがや 」 一席だったようだ。)

「 船徳 」 と 「 お初徳兵衛 」 を通しで演る。両徳とは面白い趣向だ。
どちらも主役は大店から勘当を喰った若旦那、徳兵衛。
滑稽噺と人情噺、内容がかけ離れており徳兵衛の描かれ方もまるで違う。
片や船頭になりたてで船を満足に操れない情けない若旦那、
片や生来の育ちの良さもあってその後 評判の腕利きとなった人気の船頭。
前半で十分に笑わせ、後半はしっとりと。
雲助演じる柳橋で名うての芸者、お初の艶っぽさもなかなかのもの。
激しく降る雨に船を首尾の松辺りにもやう。船にはお初と徳兵衛二人きり。
お初が「実は幼い頃から若旦那が好きだった」と思わぬ告白。
記憶を辿れば徳兵衛の脳裏に幼かった裏長屋の娘、お初坊の姿が。
やがて大きな雷鳴にお初は徳兵衛に縋りつき・・・
雲助の語りがその場の情景をありありと浮かび上がらせる。 まさに堪能。
諦めずに足を運んで良かった。 両徳だけでも聴き応え十分であった。

はねてからどこで飲もうか思案。
あれだけ色っぽい噺を聴いたのだ。乙な姉さんの居るところが良い。
こうした時、店の抽斗がもうちょっと欲しい・・・。

結局まったく趣向を変え、高円寺でレバ刺しを摘みに赤星を飲むことに。
お目当ての店は外から見ると客がひとりも居ない。 静かに呑めそうだ。
ところが、しめしめと開けた扉を閉める間もなく四五人の若者が付いて来た。
途端に店内は賑やかになり、しかもTVに目を向けると空手の試合中継。
乙な姉さんどころか、静かに飲むことさえ儘ならない始末。
摘みもビールも美味かったが、風情だけは当てが外れてしまった金曜の夜。
まぁ、そんなこともあるさ。


  1. 2013/07/20(土) 23:59:26|
  2. 演芸など
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『 第34回 白酒ひとり 』 白酒独演会 於 国立演芸場 / 平成二五年七月一八日

金明竹 / 木りん
鰻屋 / 白酒
千両みかん / 白酒

仲入り

大山詣り / 白酒


出先から事務所へ戻って後片づけ。
余裕を持って出掛けられると思っていたらギリギリになってしまった。
昼食を取りそびれて四時過ぎに新座で美味いラーメンを食べていた。
いつも寄る小諸そばには寄らず演芸場へ直行。
丁度高座に木りんが上がって自己紹介を始めたところで着席。
いつものさん坊でないのがちょっと残念。

白酒一席目は 「 鰻屋 」。土用間近に旬な噺を持って来た。
実際の高座で聴くのは今回が初。
小さんの音源で聴きなれた噺だが、少しはこびが違うようだ。
いくらか短くしていたようにも思う。

二席目の前に恒例の桃月アンサー。
個人的には独演会の番組で途中にゲストが入るのはあまり好きでない。
こうして白酒が落語以外のお喋りをするような趣向の方が良い。
「 千両みかん 」 も季節もの。
夏と云えば子供の頃は赤いネットに入った冷凍みかんが御馴染みだった。
中学に上がる頃までは房総の御宿に別荘があった。
特急わかしおの中で冷たい冷凍みかんを食べるのが楽しみだった。
あの別荘が大学時代まであったらもっと悪い若者になっていたかもしれない。

前半2席は軽く睡魔に襲われた。
夕方のラーメンがこなれて来た頃合、一日忙しなく動いていたこともある。
空調の効いた中、心地好く体がだるくなってしまった。
仲入りで250円もする氷だらけのアイスコーヒーを買って眠気覚まし。
「 大山詣り 」 は頭も冴えて堪能。陽気な長屋仲間のドタバタが楽しい。

はねてからどこへ行こうかと思案。
久々に新橋のダイバーが集まる店にするか、「鰻屋」 を聴いたので高円寺か。
外へ出ると待ち構えていたかのように雨が。 雨脚は見る見る強くなる。
出る前に気象予報を確認して降雨はないと判断して傘は置いて来てしまった。
半蔵門まで歩くにはちょっと辛い降りに、さっさとタクシーを拾って新橋へ。
個人タクシーの運転手が朝に洗車したのに二度も降られたとボヤく。
どうやらこちらが新座に居た時分に東京ではひと降りあったようだ。

新橋の店は空いていた。瓶ビールと刺身三点盛りを頼む。金目・鮪・カンパチ。
今度写真集を出す知り合いがグラビアを飾った雑誌をママから見せて貰う。
近々テレビ出演も控えているようだ。 一躍時の人である。
取り巻き連中も随分と浮かれているようで、ご同慶の至りである。
自分も影ならが応援したい。 写真集は・・・見せて貰うだけでいいかなぁ。


  1. 2013/07/19(金) 23:59:07|
  2. 演芸など
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『 第四十七回 新文芸坐落語会 』 雲助・鯉昇・兼好・こはる 於 新文芸坐 / 平成二五年七月一六日

十徳 / こはる
粗忽長屋 / 兼好
船徳 / 鯉昇

仲入り

もう半分 / 雲助


午前中に信州から戻り、夕方まで仕事をして池袋へ。
猥雑な一角にある新文芸坐、個性的な落語会を定期で開催しているようだ。

会派の違う噺家が並んだ。 こはるが開口一番。
約二年半ぶりに聴く。 この人は面白い。
立川流の落語が好きなんだなぁと、その気持ちが伝わってくる高座。
兼好曰く “ その顔で トカゲ喰らうか 立川流 ” 云い得て妙である。

その兼好では初めて聴く 「 粗忽長屋 」。
このシュールな噺が師には合うかと思ったが、案外普通であった。
冷房が苦手、奥さんが死体を三回見た話など、まくらの方が面白かったか。

「 船徳 」 は徳兵衛のダメな若旦那っぷりが見どころ。
鯉昇の徳さんには少々ボンボンな感じが足りないように思った。
全般にもっと鷹揚な空気感が欲しかったのは自分だけだろうか。

意外にも 「 もう半分 」 は生の高座では初聴きであった。
酒屋の亭主による老人殺害の芝居は相変わらずの雲助節。
何とも悪い顔をするもので、瞼がピクピクするあたり役者顔負けである。

こはるの 「 十徳 」 が通算一千席目の高座であった。
遅刻で途中から聴いた半端聴きと、ゲストによる素人落語を除いての勘定。
約四年一ヶ月で四桁を数えるに至った。
ペースは取り立てて早い方でも遅い方でもない気がする。
もう少しペースダウンしたいが、ついつい月に五つ位の会を入れてしまう。
今月などは選びきれずに十も入れてしまった。さすがに多過ぎた。
十日に一度位、吟味した会へ運ぶのが理想的だと思っているのだが・・・。
欲深く通ってしまう。 そのうち今より熱が冷めるのを待つしかない。

午前中まで居た信州では獣ばかり食べていたので、繊細な料理を摘みたかった。
時分も遅かったが所用もあり遠回りして湯島へ向かう。
先客は常連さんがお一人だけ、女将には悪いが静かでホッとする。
すぐにオーダーストップの時分だったが、鱧の天ぷらを頼む。
女将も連休で小旅行に出ていたので、三人で旅の話など。
こちらは土産話と共にイソGから貰った野菜を手土産に持ち込んでいた。
見てくれの悪い手作り野菜をプロに失礼かと思ったが世辞と共に収めてくれ、
早速ズッキーニが手早くバターで焼かれて常連さんと自分に饗された。
これがなかなか美味かった。 女将も摘んでうんうんと頷いている。
図らずもイソGの農作業と女将の料理のコラボであった。
こう云う縁が酒飲みには嬉しいものだ。 連休を巧く締め括った気分で帰宅。


  1. 2013/07/17(水) 23:59:44|
  2. 演芸など
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海のない海の日 -信州ツーリング '13 初夏-

12日の晩、蓼科へ入ると翌日の予定だった兄が既に到着していた。
酒を控えている兄を差し置いてこちらはグビグビとビールを呷る。
知人が来られなくなり、夜中まで兄弟二人詰まらぬ話をして就寝。

13日の朝になってみると敷地内の雑草が結構な繁茂ぶりであった。
今回は薪づくりが目的であったが、急遽草刈りに作業変更。
ざっと五百坪ある敷地を約二時間半で刈り込む。


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Facebookのご縁で岡谷に知り合いが出来た。
その人の引き合わせで諏訪の酒屋、信濃屋を紹介して貰う。
諏訪湖周辺には幾つも蔵元がある。 地酒が豊富な店だ。

酒は飲むが詳しくないので好みを伝えて勧めてくれる人が有り難い。
辛口の純米酒を三種類、自分用と土産用に数本ずつ購入。
初対面叶ったFBの友人からは地酒ケーキなるお菓子まで持たせて頂いた。

後発組の弟父子を茅野駅でピックアップ。
夜は外食、自分は馬刺し定食。兄と弟は鉄板焼き、甥っ子はほうとうを食す。
兄が運転手なので存分に飲ませて貰った。

14日は兄弟と別れ早々に蓼科を後にして大町へ。
以前フィッシングバッグを作って貰った革鞄職人で釣友のアキラさんを訊ねる。
同じデザインでネット付トートバッグをオーダーするため。

すると前回の訪問で見せて貰ったバッグがまだ残っていた。
革や布地、裏地までも自分のバッグと同じロットで出来ているまさに姉妹品。
自分が引き取りに来るのを待っていたようなものだと解釈して即購入。


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暫し釣り談義をして工房を後に。高瀬川流れる大町から犀川流れる信州新町へ。
アウトドアの師匠のひとりであるイソGのセカンドハウスへ向かう。
特に用事がある訳ではないが、久々にボロ家とその住人に会いたくなったのだ。

イソGは鹿と猪の肉を用意して待っていてくれた。
近隣の農家が害獣駆除で捕獲したものだ。 彼の畑で穫れた野菜と共に炭火焼き。
猪の方が鹿より歯ごたえがある。 夏場なので脂は少ない。 冬なら牡丹鍋だ。

ジビエと云えば聞こえが良い。 野生の肉は滋味深い。
炭火焼には渓魚の彫刻家であるヨシカワさんも加わり食後も夜更けまで飲む。
彼がいらっしゃるならアキラさんもお誘いすれば良かった。

15日、ヨシカワさんは朝食後もゆっくりされてから帰られた。
道具が積んであるので犀川へ行ってみるが、広い本流では渓流竿など爪楊枝だ。
ハヤらしき魚を一尾バラし、正直面白くないので早々に引き上げ温泉へ。

露天風呂は棚田を見下ろす絶景のロケーション。
晴れていれば北アも一望らしい。
素朴な施設に地元のお客。チラホラと混じる都会者は帰郷人か旅人か。

風呂でさっぱりしたところで腹ごしらえ。信州新町はジンギスカンの町だ。
地元で評判の店でラムとマトンの盛り合わせを食す。
驚くほど柔らかい肉だ。 なんか獣ばかり食べている旅行である。


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ハウスに戻るとイソGは畑へ。 自分は不精して午睡。
前夜に降った雨で熱のとれた風が心地好い。
集落を貫く広い道路が無いので通過交通が極めて少なく、とても静かな山村なのだ。

日はゆっくりと暮れて行き、20時くらいに漸く夜になった。
最後はイソGやご近所手作りの野菜でパスタをご馳走になる。
二日つづけてワインで乾杯。 この旅行で太っただろうか。

16日、世間は平日に。 早朝に出発して午前中のうちに東京へ戻る。
酷暑が退き過ごし易くなったと言われても、もっと涼しい土地から帰って来たのだ。
東京の暑さにはやはりゲンナリであった。



今回のツーリング <期間:5日>

  走行距離:607㎞      走行時間:10時間04分
  平均時速:60.30㎞/h  平均燃費:12.5㎞/L


  1. 2013/07/16(火) 23:59:56|
  2. 旅や野遊び
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『 喜多八膝栗毛 夏之噂 』 喜多八独演会 於 博品館劇場 / 平成二五年七月一〇日

権助魚 / 歌太郎
天災 / 喜多八
愛宕山 / 喜多八

仲入り

三味線漫談 / 小円歌 
抜け雀 / 喜多八


喜多八は聴いている数でも白酒に次いで多い。
中でもこの独演会は通いはじめてからはほぼ皆勤。
それでもどうしたものか、開演前のホワイエの雰囲気が苦手である。
会によって色はあるが、膝栗毛の感じはどうも馴染めないのだ。
始まってしまえばお構いなしなのだが・・・
そんな訳で今回も開演ギリギリに入って二番太鼓で着席。

「 愛宕山 」 のように動きの激しい噺を演ると意外に感じる。
脱力系な師のイメージとはどうも馴染まない。
そこを逆手に取るような戦略もあるや無しや。

「 抜け雀 」 は甚五郎ネタとは違った味があると思っている。
甚五郎には水戸黄門的な匿名性の中で噺を盛り上げるところがある。
抜け雀の若い絵師にはそうした含みがない。
何とも云えずあっけらかんとした奔放さがあり爽やかだ。
今回その辺の印象について喜多八が似たようなことを言っていた。
あながち自分の考え方も的外れではなかったかなと思った次第。

さて、このまま膝栗毛に通い続けるかどうしようか。
もっとこぢんまりとした独演会への鞍替えもアリな気がしている。
何とはなし、岐路に立っている感じではある。

はねてから久々に新橋の美人マスターのところへ。
すっかりご無沙汰で、昨年末に顔を出したきりであった。
聞くと半年の間にバイトが何人も変わったようだ。
今のバイト君(と云ってもかなり大人)も間もなく独立するらしい。
マスターの方針もあってなかなか厳しい職場の印象はあった。
彼女が重宝するような長く勤まる子が見つかれば良いのだが。

客足は相変わらずの盛況で、遅くなっても人が入って来る。
新橋の土地柄か、イケイケな感じのサラリーマンが多い。
このところ入り浸っている湯島に比べて店内の空気が熱い。
客層が少々若いし店の雰囲気が違うのだから当たり前ではあるが。
ひところは随分と入り浸ったものだがこの日は気圧された感じ。
まわりで盛り上がる会話の声が大きく、疲れてしまったのだろう。
急にビールがまわって手や顔が赤くなって来たのを機に店を出た。
また顔を出して下さいねと送り出されて、次はいつかなと思った。
落語の聴き方も変化しつつ、後のお楽しみも変化しつつ・・・。


  1. 2013/07/11(木) 23:59:14|
  2. 演芸など
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『 神楽坂落語まつり 神楽坂劇場二人会 夜の部 』 扇辰・三三 二人会 於 新宿区四谷区民ホール / 平成二五年七月七日

道具屋 / 扇兵衛
真田小僧 / 三三
阿武松 / 扇辰

仲入り

野晒し / 扇辰
転宅 / 三三


三日で四連荘もこれで最後である。
もう二度とこんなスケジュールは組まぬようにせねば。

七夕。 家を出る直前に雷鳴と共にもの凄い雨が降り出した。
盆、いやバケツをひっくり返したようなとはこのことか。
履物をスニーカーから裸足に漁サンへ履き替えたのは正解だった。
しかしパンツがコットンリネンのままだったのが迂闊であった。
登山用の化繊にしておけば良かったが、膝下がびしょ濡れに。
会場に着く頃には夕映えも見て取れたが、移動中はひどい降りであった。

神楽坂と冠しながら今回は新宿御苑大木戸門脇の立派なビルが会場。
ホールは9階にあり、雨に洗われた御苑の森が見下ろせる好立地。
あの豪雨の中、どうやって来たのか浴衣姿の女性も多い。

三三の二席、まずは 「 真田小僧 」。
前座噺だが通しで真打が演ると聴き応えも違うものだ。
とは云え、二人会の一席のチョイスとしては正直物足りない感じ。
師の 「 転宅 」 はお菊が随分とはすっぱだ。 終始勇ましい。
後が怖いと転宅に至る独り暮らしの女の機微が今ひとつ感じられない。

扇辰は名古屋場所初日とあって相撲のまくらから 「 阿武松 」。
まくらで名前の挙がった大砂嵐金太郎の四股名、確かにひどい名づけだな。
エジプトらしくピラミッド由来で四角粋(しかくすい)が良いと扇辰。
で、昇進したらナイル川で。と言ったがこれの漢字までは言及せず。
「 阿武松 」 は大して面白くもないが、まくらで十分楽しんだ。
「 野晒し 」 の八五郎は清十郎先生の大切にしている竿を持ち出す。
壊すと直す竿師がもういないから止めてくれと言うのを聞かずにだ。
釣り師としてはこの八五郎の所業は許しがたいものがある。
竿を粗末にするとは怪しからん輩である。

三三も若手実力派だが、こうして扇辰と並ぶと・・・うーん。
人物の作り込み、噺の背景にある諸々への詰めの差はまだ感じる。

はねてから高円寺、月曜に釣りへ出かけていたマスターのところへ。
釣り場は先日同道した群馬のとある谿。
その時に自分は落し物をして来たのだが、何とそれを回収して来てくれたのだ。
小さな沢とは云え、長い長い渓流筋の中で四十日以上前に紛失した物だ。
それも決して大きなものではない。 よくぞ見つけて下さった。
そんな奇遇に感謝しつつ、少々飲み過ぎの週末を軽めの酒で〆たのだった。


  1. 2013/07/09(火) 23:59:03|
  2. 演芸など
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『 雲助蔵出しふたたび 』 雲助独演会 於 浅草見番 / 平成二五年七月六日

桃太郎 / つる子 (途中から)
高砂や / 市弥
酢豆腐 / 雲助

仲入り

猫定 / 雲助


落語会の連荘はなるべく避けたいが二連荘までは由としている。
それ以上はちとキツいと分かっているのだが、
七月最初の週末は金土日で四つの会を巡る暴挙に出てしまった。

土曜は二つ掛け持ちである。午後二時からの落語会で小辰が頑張った。
思いの外はねるのが遅く、五時の雲助開演ギリギリになってしまった。
久々の浅草である。 時間があれば寄り道も考えていた。
ふじ屋で手ぬぐいを見たり、弁天で蕎麦を手繰ったりと企んでいたが直行。
見番に着くと既につる子が高座に上がっていた。
はじまってせいぜい2~3分だろう。タッチの差だ。(これが後々・・・)

客入りは前回よりやや少なめ、その割に既に座布団がなかった。
畳敷きだから布団がなくても構わない。 空いたスペースに潜り込む。

先日の圓太郎に続いての 「 酢豆腐 」。
圓太郎のそれもなかなかであったが、雲助にかかるとひと味違う。
雲助は纏っている雰囲気と滑稽噺とのギャップだけでも十分面白い。
旦那然とした師が繰り出す滑稽な表情や所作声色がいい。

「 猫定 」 の親分にしても然り。
雲助は芝居が過ぎると嫌う人もいるようだが、
子供からご隠居まで、師の演じ分けの多彩ぶりに個人的には感心が先立つ。

いつもの感想だが、この会はとてもいい雰囲気だ。
以前は二席 + おまけが恒例だったようだが、このところ二席止まり。
それでもたっぷり二時間超えであった。

前回が一時間半少々だったので七時入りの予定だった湯島へ七時半に入る。
前の来店で叶わなかった女将へ頼んでおいたお遣い物が漸く手元に届いた。
支払いを申し出るとお土産だと云うことで頂き物に化けた。
固辞するのも野暮なので、遠慮なく頂くことに。

隣り合わせた常連さんと他愛ないことを話しながら飲む。
いつも九時過ぎの入店で肴も軽めに済ませるが、この日は肉料理なども頼む。
しっかり食べて土曜の閉店時刻、九時まで飲んだ。
この日、女将の姉上が来る予定だったらしいが到着が遅れて謁見は叶わず。
居並ぶ常連に実姉を紹介出来なかったのが如何にも残念そうで、
ひとつ余ったお通しを恨めしそうに見つめる女将なのであった。
閉店時刻を前後して皆が席を立つ。 粘る常連さん一人を残して自分も立つ。
店を出るついでに暖簾をしまい、外看板の灯りを落してやって湯島駅へ。


  1. 2013/07/08(月) 23:59:52|
  2. 演芸など
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『 夏のコタツ 』 小辰独演会 於 日本橋ピッコロ / 平成二五年七月六日

青菜 / 小辰
星野屋 / 小辰

仲入り

宿屋の仇討 / 小辰


前回、開演時刻を間違えて大遅刻をした会である。

前夜、午前様だったため遅く起きる。
二時開演に合わせて行動開始。 銀座へ出て、とある写真展へ。
作品群はユニークで良かったが会場の設えが宜しくない。
作品演出に会場の暗さが肝心な割に入口から外光が入り過ぎている。
大ベテランの写真展だけに大きな「?」が・・・何故こんな事に。
搬入が日没後だったのだろうか。 いやそれ以前の問題だ。
陽光が燦燦と降り注ぐ銀座の裏路地を少々残念な思いで後にする。
予定していたより写真展での滞在時間が短かった。
開演までまだ余裕があったので銀座トラヤ帽子店を冷やかすことに。
ハンチングを見たがこれだと云うものがなく散財せずに店を出た。

会場まで地下鉄に乗るには近いが歩くには猛暑日の日照りがキツい。
結局歩いて途中、京橋にあるモンベルにも寄って涼む。
丁度、北アルプス三県合同山岳遭難防止対策連絡会の催しの最中。
登山マップを配布中、昨年の遭難データがマッピングされたものだ。
一部分けてもらう。 山をやる友人に打って付けなので進呈しよう。

いよいよ会場へ向かう。
指呼の間まで来てコロコロを引きずった若者が足早に追い越していく。
小辰本人であった。 店先で席亭と話しているところへ追いつく。
挨拶を交わしてこちらも会場入り。
ワンドリンク付き、炎天下歩いて来たので生ビールを貰い一気に干す。
甘露甘露、この一杯は美味かった。

火照った体にあちこち歩き回った足の疲労と程よいアルコール。
小辰の噺を聴きながらスゥスゥと意識が遠のく。
「 青菜 」 は堪能したが 「 星野屋 」 は1/3くらい落ちていたと思う。
狭い会場のこと、小辰も気づいたことだろう。 悪いことをした。

仲入りで表へ出てすぐ脇にあった自販機で珈琲を買う。
後半は頭も冴えて 「 宿屋の仇討ち 」。 小辰の演り方は手堅い。
この噺は白酒で聴くのがいちばん好み。
これから小辰はどんな噺を十八番にするのだろう。 楽しみである。

開演が遅刻客待ちで遅れ、仲入りが小辰の着替えもあってか少し長かった。
この日は昼と夕のふたつの会をハシゴだったので気分が急いた。
思ったより終演が遅く、小辰への声掛けもそこそこに会場を後にした。
次の会場は浅草である。


  1. 2013/07/07(日) 23:59:14|
  2. 演芸など
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『 人形町噺し問屋 その41 』 兼好独演会 於 日本橋社会教育会館 / 平成二五年七月五日

真田小僧 / 笑二
岸柳島 / 兼好

仲入り

京の茶漬け / かい枝
応挙の幽霊 / 兼好


昼食が凭れていたので、軽食せずに会場へ。

「 岸柳島 」 は以前に市楽で一度聴いた。
経験のある噺家で聴くのは今回が初めてだ。
兼好の若い侍はかなり軽い感じ。
研鑽を積んだ自信と倣岸が綯い交ぜになった感じはない。
血気盛んな、少々お調子者と云った風情だ。
年老いた侍の方も腰の低さは目立つが、
裏打ちされた人格の余裕みないなものが今ひとつ滲み出て来ない。
個人的にはこの老侍のイメージは志村喬なのだが、
兼好のそれは誰と例えようないがちょっと雰囲気が違う。
志ん生の十八番と云われる噺だが、志ん朝のものが好きである。

「 応挙の幽霊 」。
寡聞にして円山応挙のことを知らなかった。
幽霊画と言われて思い浮かぶものは漠然としてあるが、
応挙が描いた幽霊と云うもののイメージがズバリ湧かない。
後刻調べてみて、なるほどなかなか艶っぽい絵ではないか。
兼好の案内に依れば谷中全生庵にて、
応挙を含む円朝蒐集による幽霊画が八月に全幅公開とのこと。
機会を見て一度拝見してみよう。夏の趣向にはなかなか良い。

はねてから日本橋へ戻る。
そこが地元の友人がお勧めの店で一緒に飲むことに。
飲兵衛で夜更かしな彼女は店でも顔馴染みのようだ。
注文の品にはサービスが追加されちょっと豪華な肴で飲む。
こちらも食べ盛りではない。予定外の量が饗されると戸惑う事が多い。
全体の流れを考えての肴選びはしているつもりである。
それでも上質な酒肴に囲まれ、大人な男女は気侭に会話を楽しむのであった。
まさかあなたと差しで飲むとは思わなかったわ。と彼女。
こちらも同じである。縁は異なもの味なものとはよく言ったものだ。
・・・と云うほど色っぽい関係ではないが、たまにはこんな飲みも良いものだ。

思ったとおり二軒目へ連れられ、地下鉄がなくなってTAXIで帰宅。
酒手と共に足代も嵩んでいる今日この頃である。


  1. 2013/07/06(土) 23:59:55|
  2. 演芸など
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 良速

Author: 良速
  
 
- りょうそく - と申します。
 
九山八海  花鳥風月
東奔西走  南船北馬
美酒嘉肴  羽化登仙
歌舞歓楽  一竿風月
謹厚慎重  天空海闊

そんな感じでまいります。

.......................

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