七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

僕たちのバイシクル・ロード ~ 7大陸900日 ~  - FREE WHEELS EAST - 於 東京都写真美術館 1階ホール

ギャップイヤー、 卒業してから上級の学校若しくは社会に出るまでの猶予期間を示す言葉らしい。

これは大学を卒業した従兄弟同士の英国の若者二人が
約三年を費やして7大陸33ヶ国を自転車(鉄道・船舶)を使って、
陸路のみ(飛行機を使わず)で走破するセルフドキュメンタリー。

9 to 5 のオフィスライフには馴染めそうもないと、
モラトリアムな学生生活のラストステージを900日もの放浪に費やした青年たちの姿を追う。
彼等自身による旅の記録映像と帰国後のインタビュー、ピーター・コヨーテのナレーションで構成。

まず無計画である。
資金調達の為に出発前までは寝る間も惜しんでアルバイトに精を出したようだが、
いざ出発すると風まかせであり無軌道なのだ。
体力的な準備もお粗末な為、怪我も病気もし放題。 装備もお粗末で自転車も頻繁に壊れる。

しかし彼等は期間を限定することもなく、時にはひと所に数週間も滞在して身体や装備を立て直す。
資金が尽きたら無けなしの残金で自分たちのHPから旅の記録の小冊子を2種類作り上げ、
それをメルボルンの街頭で売って金を稼いだりするあたりは今時の子たちと云ったシーンだ。
しかも半年もの期間をそれに費やし1万部を売ったと云うから旅の衝動や目的の理解に苦しむ。


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(C) 2010 END PRODUCTIONS Ltd.


これは旅と云うより流離いに近い。 さすらいの旅と云う表現があるが、流離いと旅は違う。
唯一、彼らを旅人たらしめているのは7大陸を飛行機を使わずに訪れて帰国すると云う最終目的だろう。

そしてそれはたっぷりと時間をかけて成就する。
正直、まぁ良く生きて還って来られたものだと云うのが感想。 それほどにひどい旅なのだ。
唯一彼らが賢明であったのは政情不安、治安の悪い場所を避けて通ったことだろう。
中東にも行かなければアフリカ大陸も北部のモロッコあたりを掠めてさっさとヨーロッパ大陸へ入った。

900日もの記録を94分に凝縮しているのだから極々大雑把な粗筋なのは想像に難くない。
手撮りのホームビデオ映像と粗い編集で、旅の影の部分がどれ程のものであったのかは定かでないが、
あまりにも無防備な彼等の無事の帰還を見るにつけ、その幸運を祝さずにはいられない。

これを観て触発される若い人もいるだろう。 それは世の常だ。
「イージー・ラーダー」が世界中の道を駆け抜け、「エンドレス・サマー」は各地の波を切った。
そして今はネットとガジェットの普及で格段に情報と安全の確度が増した。
それ故に個人の “ 嗅覚 ” が鈍っているのも確かであり、
「運」の持つ意味が昔とずれて来ていることに少なからず違和感を覚えるのは
自分がオジサンになったからなのだろうか・・・
世の中は圧倒的な理不尽や傲慢と、ひとしずくの慈悲で出来ている。
 
 
  1. 2011/12/01(木) 12:47:22|
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