七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

『 行徳名人会 』 小三治 独演会 於 行徳文化ホール I&I / 平成二四年三月三日

のめる / 三之助
厩火事 / 小三治

(仲入り)

猫の皿 / 小三治


昼間の落語会、久々に行徳まで行って来た。 地理的には遠いのだが地下鉄で一本、億劫ではない。
去年の三月四日の談春以来だから丁度一年ぶりだ。
確か線路沿いに立喰いそばがあったと思い、改札を出て記憶を辿ると行き着いた。
店は経営が変わったのか単なる改装なのか記憶と違い小奇麗に。
スツールタイプの座席店になっていたが、個人的には以前の寂れた感じの立喰いの方が趣味であった。
ガード下に新規の蕎麦屋が出来ていたので、そちらへ対抗するための宗旨替えかも知れない。
しかし似たような店づくりで迎え撃つよりは、以前の方が個性的で良かったように思うのだが。

会場へ着いて指定の二階席へ。 この会場の二階席は初めて。
上がって見ると一階席と二階席の一体感が希薄で、まるで天井桟敷のように舞台が遠く疎外感がある。
しかも座ってみると高座を見下ろす視線の先に二階席先端の手摺がストライクで入るではないか。
そう云えば以前誰かの落語会の際、仲入り後に二階席へ向かって
“ 観づらい方は二階の範囲で空いている席へ移動して頂いて構わない ” 旨、噺家が気遣ったことがあった。
それだけこの会場の二階席は落語会には不向きなつくりと云えるのではないか・・・根本的な相性の話。
実際に三之助が高座に上がると、手摺天端の丸鋼が上半身を真っ二つに横切っている。
さすがにこれは如何なものか・・・今後はこの会場で二階席しか空いてない時は止めようと早々に決心した。

小三治一席目、まくらはデジカメのメモリーカードの話から。
デジカメを使うようになって PC やら iPad やらと尾ひれはひれがついてきて煩わしい。
三之助は噺家になる前は IT 関係の仕事にも携わっていた為、PC 関係にとても強いと意外な事実も。
そんな三之助の人間関係の話から人の縁へと話題を回して 「厩火事」 へ。
今で云う天然とはまた趣の違う髪結い女房の惚けた物言いが可愛らしかった。
女房は亭主を立て、亭主は女房を思いやる、
そう云う古き好き慣習を柔らかいがハッキリとした表現で描き出す十代目の語り口が心地好かった。

仲入り後、話はニュージーランドへ行った時の昔話に。
昼日中からTV放送が休止して、
流す番組がないから外へ出て過ごしましょうと画面に啓蒙めいた字幕が映し出されたという。
のべつ幕なし番組を垂れ流している日本のTVとの違いを、
いや国そのものの成熟度合いの違いを見せ付けられた思いがしたと云う。

日本のTVはどうにも頂けないと云う結論だが、
そんな日本のTVでも骨董品を鑑定する例の番組は面白いと。
特に持ち込んだ当人の評価より鑑定額が低いと尚更面白いと、悪戯っぽく笑う十代目がお茶目だ。
程よい胡散臭さも含めて、あの番組は面白いらしい。 司会や目利きの胡散臭さあってこそだと。
“ 特にあの骨董商の男は胡散臭い。・・・実は対談したことあるんですけどね。 ” で会場爆笑。
そんな目利きの話から 「猫の皿」 へ。
以前 右太楼で聴いた事があったが、二ツ目と十代目では比ぶべくもない。
語弊があるかも知れないがこれもある意味、小三治ワールドの胡散臭さだったりするのかも知れないなと、
小三治 信者に聞かれたらド突かれそうなことを思いながら、更にド突かれている自分を想像しながら、
何故か穏やかな笑いを漏らしてしまうのであった。
これが小三治を聴く幸せかも知れない。 オレも信者なのか・・・?

サゲて拍手喝采。 1階席をぐるりとお辞儀で見回した後、二階席を見上げる。
両手をサッと広げてお辞儀。 さながらオペラ歌手の様だ。 座ってるけど。

次回の小三治は四月の立川。 大ホールだが、席は今回よりは多少マシである。 ・・・多少ね。


  1. 2012/03/04(日) 09:22:26|
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