七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先でのよしなしごとを。

キツツキと雨 於 角川シネマ新宿 シネマ1

3/10 に観てレビューを先延ばしにしていたら主演の一人・小栗旬クンがケコーンしてしまったよ。 おめでとう。

役所広司と云う役者が好きである。 俳優と呼ぶより役者の方がしっくり来る。 別に役所だからではなく。
重厚なものから本作のようなホノボノするものまで、幅広く役に填まる感じが “ 役者 ” らしくて良い。
謙さんも大したものだと思うが、それとは別に役所贔屓なのである。

舞台は山里。木こりの男は定職につかないひとり息子と二人暮し。先立たれた妻の三回忌が近い。
単調な毎日に変化をもたらしたのはゾンビ映画のロケ隊。
ひょんなことから関わりを持ち、エキストラでゾンビをやる羽目に。
そのラッシュを見たのをきっかけにやがて積極的に撮影に関わるようになって行き、
のめり込んだ挙句の果てには妻の三回忌を失念してしまう始末。

いっぽう、ゾンビ映画の監督である若者は主体性に欠け、監督らしからぬ優柔不断さでロケ隊の信頼も薄い。
一度は脱走まで試みるへタレぶりで、次第に撮影にのめり込む木こりから父親のように諭されることも暫し。
そんな木こりと関わるうちにやがて積極性を身につけ、撮影に対して意欲を見せるようになる。
大物俳優にも作品に拘る姿勢を認められ涙することも。 そして撮影は佳境に入り・・・


kitsutsuki
(C)「キツツキと雨」製作委員会


ロケ地は岐阜の山間のようだ。 のんびりした日本の原風景のような美しい場所で、ゾンビ映画を撮る設定が面白い。
撮影が進むにつれ、村人たちもエキストラに巻き込んでちょっとしたイベントと化して行く。
メイクはいちいち落とさないので村の中で農民ゾンビが畑を耕し子供ゾンビが自転車で走り回っている。
それと長閑な山里の風景が合わさって滑稽なのであった。

ストーリーは単純、やがて監督としても大人の男としても一人前になって行く若者と、
木こり一筋だった男が外界からの刺激を受けて感情を咲かせて後、将来の明るい兆しも携えて再び日常へ戻って行く。
それを映画制作の過程と同時進行で見守る筋書きの安定感が観ながらの安堵感に繋がり、
最後まで穏やかな気分で過ごせる作品。 これは沖田修一監督の実体験が元になっているらしい。
こう云う経験をして「南極料理人」のような良作を撮る監督になったのだな。

エンディングで流れる星野源の主題歌も作風にマッチしていて、エンドロールで余韻に浸れる。

タイトルの「キツツキと雨」、キツツキは木こりの、雨は映画監督の天敵って意味らしい。
知らなかった。苦笑
 
 
  1. 2012/03/17(土) 21:26:58|
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