七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

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『 春 』 三三独演会 於 なかのZERO 小ホール / 平成二四年四月一三日

粗忽長屋 / 歌太郎
大工調べ (通し) / 三三

(仲入り)

御神酒徳利 / 三三


先週月曜の朝、ズキッと来た頭痛が日増しにひどくなり お医者に行ったのが前日(十二日)のこと。
その際 血圧が少し高いようなので暫く測ってみるようにと言われた。
早速翌日(この日)から朝イチで実家に寄って測ることにした。 のだが、一度で面倒になってしまった。
血圧を測るのがではなく、いちいち血圧計のある実家へ寄るのが。である。
そこで早速、外出に寄り道してヨドバシで手首に巻く小さな血圧計を購入。 もう立派なオジサンである。

そんな頭痛持ちのまま中野へ。 前日の三三の 「口入屋(引越しの夢)」 は物足りなかったが今宵はどうか。

一席目、まくらは自身の名の由来から入り、江戸っ子三代の代表格と云えば大工と流れて 「大工調べ」 へ。
与太、棟梁 政五郎、長屋の大家の演じ分けがなかなか良い。 棟梁と大家の遣り取りで聴かせる。
その二人の遣り取りを聴きながら この因業大家と棟梁 政五郎の立場の違いを、ふと考え巡らせるに至った。

噺の筋から大家は たな賃の取立てに厳しい情の薄い人物として描かれ、
棟梁は配下を思い遣り情に篤い人物だと容易に想像することが出来る。

大家はその昔、浴衣一枚 寒風の中 舞台となる界隈に転がり込んで来た流れ者である。
しかし色々と苦労と倹約、時の運も引き入れて長屋持ちとなり やがて町役人にまで就くに至った人物でもある。

一方 棟梁・政五郎は親の代からの大工。 噺の筋から父親も腕の良い棟梁であったことが窺える。
恐らく幼少から棟梁大工の倅として大事に育てられ、職人に囲まれ跡継ぎとしての自覚があったことだろう。

社会的立場としては成り上がった大家と、大工の身分ながらひと角の職人の家で跡目を継いだ棟梁。
少々、世間での苦労の仕方に開きがあることは少し考えれば想像に難くない。

与太が滞らせた たな賃の端数、八百文を棟梁が 「たかが八百」 と口走って大家の気分を損ねるのには、
それなりに二人の氏素性の違いがあってのことなのが、その後の棟梁が啖呵を切る場面で詳らかになる訳である。

大家はかつて寒風に身を凍えさせながら金の大切さを身に沁みた時期があり、
金勘定に細かく因業と陰口を叩かれてもそれに執着するだけの背景と事情がある。
町役人となって社会的立場のある人物となるステータスにも拘りと矜持があったことだろう。

片や政五郎は腕の良い父親の跡目を継いで、先代にも勝ると言われるまでに修練してきた職人である。
誰の前に出ても後ろ暗いものはなく大工一筋、誠実に生きて来た男だ。
配下に大勢の若い大工を束ね、それぞれをひと角の職人として仕上げてやらねばとの思い遣りと責任感も強い。
正しく生き、正しく生かせる為に日々を努めていると云う自負がある。

そんな二人がふとした言葉の綾からそれぞれの立場の違いを譲らず、お白州まで喧嘩を持ち込むに至ってしまう。
これには滑稽でありながらも江戸庶民の実直さとか不器用さとか云ったものも一摘み振ってあるのではなかろうか。
この噺を聴きながら、今回初めてそんな風に思い至ったのだった。

そうやって双方の立場を贔屓目なしに見た時、御奉行のお裁きは少々大家には手厳し過ぎるのではないかと。
噺としては、たな子として弱い立場、老母養い難き与太が裁きで良き目にあうところがカタルシスなのだろう。
しかしそこで活躍した政五郎、「調べをごろうじろ」と御奉行を前に悦に入っているだけで本当に良いのかと。
その後の大家とのつき合いにも思い至らせての、“ 細工は流々 ” と行かなくてはだめなのでは、ござんせんかと・・・。
 
 

  1. 2012/04/17(火) 19:08:14|
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  3. | コメント:0
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