七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先でのよしなしごとを。

『 神楽坂落語まつり 神楽坂劇場二人会  夜の部 』 扇辰・三三 二人会 於 新宿区立牛込箪笥区民ホール / 平成二四年七月七日

金明竹 / 辰じん
鮑のし / 扇辰
妾馬 / 三三

(仲入り)

しの字嫌い / 三三
ねずみ / 扇辰


会場へは神楽坂で矢来口が便利なのは分かっていたが、小諸そばへ寄ろうと神楽坂口から地上へ出た。
そちらからの分かり辛い近道の順路はストリートビューで曲がり角の目印を憶えておいた。 便利な世の中だ。
途中、見覚えのある坂道の曲がり角へ。“ブラタモリ”の「江戸のゴミ」の巻で登場した袖摺坂であった。
神楽坂界隈はどこも良い雰囲気だ。 それでも往時に比べれば賑やかとは違うザワついた感じなのだろう。

辰じん。 彼の携帯電話の口上を聞くのもあと何回か、二つ目になったらやらなくなるのだろうから。
「金明竹」、なかなか良い。 言い立ての部分をただの早口自慢で終わらせていない。
師匠・扇辰から教わったのだろうか、師匠に通ずるものを感じる。
横谷宗みん(王へんに民)、小柄付きの脇差の柄前は埋れ木で、木が違っている旨 念を押す。
そこを何度も何度も繰り返すところなどは遣いの者の託けとしてリアルさを持たせていて噺に膨らみがある。
この人はこのまま上がって行って欲しい。 前座から贔屓にした初めての噺家さんだけに。

聴く度に扇辰に惹き込まれる。 師の魅力は何なのだろう。
ひとつには噺の組み立てが丁寧、その正確さなのではと思っている。 筋道が通っていて疑問が残らない。
「鮑のし」 で甚兵衛が片貝の鮑を買って来た時 女房に、
“ 本当はいけないんだけど あんたが持って行くんだからいいか ”と言わせる。
ここで後の大家の小言、“ おかみさんも承知の上かい ” “ 縁起でもない ” へ繋がる。
聴く側も女房が仕方なく持たせたのは分かっているのだけれど、
それはこの落語を知ってるからな訳で、噺の中でそれをきちんと分からせるか否かは別のことだ。
そこをきちんと演ることで噺の中にある世界の完成度はグッと上がる。
「ねずみ」 においても若い政五郎が飯田丹下(丹下の声色を圓生の真似でやっていたのがウケた)の虎を見て、
“ あれだけのものを彫れるかと言われればその腕はないが見る目はある ”
と若者の謙虚さと自信を短く表現している。 そう云う人柄、大工に育てた甚五郎まで見えるかのようだ。

誰かしら聴きたい噺家との共演を機会に聴くことの多かった扇辰であるが、
もっと師を目当てに積極的に足を運ぼうと改めて思う今回であった。

「妾馬」 で日本酒、「ねずみ」 で寿司な気分で会場を後に、向かうは地下鉄を乗り越し中野の寿司屋。
週末9時半の割に客は少なく店の空気は落ち着いていたけれど、ついている TV は勇ましくも「海猿」であった。
短冊に勝浦の鮎魚女が書かれている。 そこからはじめて、産地は忘れたが蛤の酒蒸しも頼む。
ほかに目に付くのは真鯵と しらす と蝦蛄だ。 まずは瓶のクラシックラガーで喉を潤してから冷酒に移ろう。
・・・と、算段したまでは良かったが、蛤の大きさと数が思いの外で食いでがあった。 貝だけで腹が膨れてしまった。
これは誤算、にぎりを楽しむつもりで寄ったがそこまで辿りつけそうもない。

寿司屋でいつも思うのは、握りを摘みながら日本酒の飲むのはどうなのか、と云うこと。
米食って米飲むみたいなのがちょっと解せない。 だから寿司屋ではビールが主になる。
しかしそれ以前に 米は飲み終わってから と云う普段の飲み方からすると、寿司自体が真にイレギュラーな肴でもある。
まず つまみ(刺身)で楽しんでから にぎりの順番で行きたいが、つまみは酒で楽しみたい。
しかし先述の にぎりはビール の論法で行けば 酒からビール と云うこれまた不思議な順番になってしまう。
酔いがまわればどうでも良くなってしまうのだが、
この 「 酒と ビールと つまみと にぎり (by 河島英五) 」 の関係は答えのない堂々巡りなのであった。

あぁ、それで結局にぎりは蝦蛄を一貫たのんだだけ。 あとはつまみで真鯵や玉子などなど。
五千円で釣りが来た。 次は にぎりを堪能せねば。
 
 
  1. 2012/07/08(日) 23:59:09|
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