七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先でのよしなしごとを。

keeps in the winter '12 -Ⅱ - 山荘の冬仕舞い 其の二 -

(前回のつづき)

七年前に初めてマルスウィスキーを知って信州マルス蒸留所に赴き、
より一層興味をそそられたのが竹鶴正孝と岩井喜一郎の関係についてだった。

竹鶴正孝。 日本人で初めてスコットランドへ留学し本格的なウィスキーの製造技術を日本にもたらした人物。
酒屋の倅に生まれた彼は洋酒に興味を持ち、入社した「摂津酒精醸造所」でその留学を果たす。
留学から帰国後、彼は当時の時節柄その技術を生かすことなく会社を辞すが、
教師をしながらその機会を待ち「寿屋」の鳥居信治郎に招聘され国産ウィスキー製造の第一歩を踏み出すことになった。
現「サントリーウィスキー」の誕生である。
しかしその仕事は竹鶴にとって留学で体得した技術と哲学に従えるものではなく、
やがて理想のウィスキー作りを目指して寿屋を辞し、予てより蒸留所に適地と考えていた北海道余市に蒸留所を構えた。
しかし、熟成期間の必要なウィスキーを市場に出すまでは数多の年月と苦労を重ねることに。
それを凌ぐ為に収入源としたのが、これもイギリスで学んできた日本初の天然果汁リンゴジュースだった。
そのため創業当時の名は「大日本果汁株式会社」。 後に略して「日果」。すなわちニッカウヰスキーの前身だ。


1107-5


そしてその竹鶴に先の留学を命じた当時の上司が「摂津酒精醸造所」製造部門責任者・岩井喜一郎その人であり、
マルスウイスキーはこの岩井の指導の下に設計されたポットスチル(蒸留機)でウィスキー製造を始めた系譜にある。
つまりマルスウィスキーは竹鶴リポートによってもたらされた製造技術を正統に受け継ぎ、
小さな蒸留所で頑固に実直にウィスキーを造りつづけている貴重な存在なのである。

・・・とまぁ薀蓄はここまで。 今回はシェリーカスクのシングルモルト“1124”、12年ものを購入。
シェリー酒づくりに使われていたスパニッシュオーク材の樽で仕込んだモルトウィスキーで、
シェリー樽がもたらす独特な風味が特徴の逸品。 たまにしか来られないので少々奮発した。

これで駒ヶ根ツーリングの目的は達成、蒸留所周辺の景色を愛でつつ時間は遅いが赤い屋根の美味い蕎麦屋へ。
ダメもとで行っては見たものの、やはりそちらは生憎15時で閉店であった。 気づけば昼食を食べていない。
空腹を抱えつつも、今ひとつ考えもあったのでひとまず諏訪まで戻ることにした。


1107-2


諏訪では真澄蔵元・宮坂醸造へ立ち寄り父への土産にわさび漬けを購入、ついでに自分の燗酒用に純米吟醸山廃を。
そして諏訪IC近くにある昭和臭満点の 峠の釜めし本舗おぎのやの諏訪インター店へ。
おぎのやの釜めしを食べるのが今回の目的のひとつ、正確にはこの釜めしの器をゲットするのが目的なのであった。
この可愛らしい器は知る人も多いであろう。 ・・・これを使って炊飯をやりたい。 実はそれが最終目的。
先日そんなことをふと思いついてネットで調べてみると、炊飯のコツや炊き込みご飯の応用編まで情報満載なのである。
これは是非試してみるしかないと、山荘の冬仕舞いの折には是非 おぎのやへと企んでいたのであった。
釜めしは千円、それに味噌汁を150円で追加してすぐ脇の食堂で食べることが出来る。
昼食抜きとあってあっと言う間にそれを平らげ、器はご丁寧にお持ち帰り用のレジ袋が用意されていたので頂戴した。


1107-6


これで今回のツアーにおける目的はすべて達成、後は帰るだけだが既に中央道は都合30kmほどの渋滞。
取り敢えずは甲府まで戻り夜景のキレイな日帰り温泉・山梨ぷくぷく温泉にてたっぷり時間調整をし、
日付が変わる2分前にガレージへ滑り込んで今回の旅を終えたのであった。


(おしまい)


今回のツーリング <期間:2日>

  走行距離:547㎞     走行時間:9時間19分
  平均時速:58.7㎞/h  平均燃費:13.2㎞/L
 
 
  1. 2012/11/07(水) 12:00:22|
  2. 旅や野遊び
  3. | コメント:0
<<『 第三十回 白酒ひとり 』 白酒独演会 於 国立演芸場 / 平成二四年一一月一二日 | ホーム | keeps in the winter '12 -Ⅰ - 山荘の冬仕舞い 其の一 ->>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

profile

 良速

Author: 良速
  
 
- りょうそく - と申します。
 
九山八海  花鳥風月
東奔西走  南船北馬
美酒嘉肴  羽化登仙
歌舞歓楽  一竿風月
謹厚慎重  天空海闊

そんな感じでまいります。

.......................

category

旅や野遊び (64)
演芸など (318)
フォト・キネマ・アートとか (160)
道具のたぐい (40)
飲んだり食べたり (4)
徒然なるままに (12)
序 (4)
未分類 (1)

comment

calendar

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

archive

counter

search form