七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

『 柳家小三治 一門会 』 小三治・〆治・三三・三之助 於 練馬文化センター 大ホール / 平成二五年二月一四日

道灌 / 三之助
池田大助 / 〆治

(仲入り)

転宅 / 三三
甲府い / 小三治


久々の練馬文化センター、ねりぶん(勝手に命名)である。
昨年から大きな会場の落語会を避けるようになって、
大ホールと呼ばれるような所には小三治の会でしか足を運ばなくなっている。
そんな小三治も昨年十月末の目黒以来、久々である。

三之助は今まで聴いた中では一番良かったように思う。
どことなく線の細さと云うか優男な印象が強かったのだが、
今回は以前より骨太な感じが出ていたように思う。
たまにしか聴かないから分かる変化もあるのかなと思ったり。

〆治は少し喉を痛めていたのか。 心なしか声に張りがなかった。
途中咳き込みそうになるのを堪えている様な場面もあった。
ただの乾燥喉か、それとも風邪でもひいていたのか。

食いつきの三三はまくら無しでいきなり噺に入った。
潔くて気持ち良いが、この時点で小三治へ急いで渡そうとしているような感じを受けた。
この 「 転宅 」 に女盗賊として高橋お伝なる名が出てくる。
毎回聞く名前だがどんな人物かまったく知らないことが今更ながら気になってネットを閲覧。
すると女盗賊と云うとのは随分様子が違うのだった。
お伝は生まれてすぐ養女に出され、十七で結婚するも夫と死別。
その後ヤクザ者と恋仲になってその生活で借財が重なり、
一夜の枕を条件に知り合いの古物商と借金の約束を交わすも同衾の末にそれを反故にされ、
怒りにまかせて剃刀でその喉を掻き切り殺害、財布の中の金を奪って逃走する。
お伝 二十六 の時の事件で、その後逮捕、判決が下り 二十九 で斬首刑に処されている。
ざっと流し読んだ範囲では、お伝の犯行はこの辱めを受けた男への強盗殺人一件のみ。
彼女は時の政府の道徳教育に利用され、毒婦盗賊に仕立て上げられ不貞の見本として晒されたらしい。
写真で見るとなかなかの美人だが不幸な人生の末、
極悪人として首を斬られた悲劇の人であったと思われる、これこそ“ああ無情”ではなかろうか。

そんな 「 転宅 」 の後、おもむろに師匠が登場。
いつもならいつ終わるとも知れないまくらを始めるところですが、今日は弟子達の噺がまくらと云う事で・・・
そう言うと小三治もまくら無しで 「 甲府い 」 に入った。周囲が少しザワつく。
師の場合はそのまくらお目当ての客が少なからず居る訳で、その当てが外れての溜息が漏れていた。

果たして小三治の高座は言い淀みや間違えが目立ち、正直良いものではなかった。
三三が急いだのも小三治本人がまくらを省いたのもその辺に理由があったのだろう。
高座が遠くて顔色までは判然としなかったが、体調が思わしくなかったのかも知れない。
それとも何かの気まぐれか・・・いや、それで高座の質が下がる人ではなかろうから、
やはり心身のいずれかに不調があったのだろう。
なかなかチケットの取りづらい人だけに、聴ける機会には堪能出来ることを願うばかりだ。
 
 

  1. 2013/02/15(金) 12:20:15|
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  3. | コメント:0
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