七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

小三治独演会 於 サンパール荒川 / 平成二五年四月四日

たらちね / ろべえ
二人旅 / 小三治

(仲入り)

茶の湯 / 小三治


信号待ちをしていて、チケットを忘れたことに気づく。地下鉄に乗る前で良かった。
しかし当初の目論見より遅れての出発に追い討ちをかけてしまった。
考えていたルートでは間に合わない。
町屋の立ち食い蕎麦に寄ってみる企みもキャンセルである。
ググると定刻運行なら最短到着ルート、西日暮里でJRを下りて都バスの停留所へ。
しかし運行状況を iPhone でチェックすると6分遅れ。
世の中便利になったが情報が細か過ぎるのもどうかと思いつつ、
では調べなければ良いのだと結論に辿り着いてしまった。
計算上は開演時刻ちょうどの頃合で停留所へ到着する。
停留所から会場までは指呼の間だ。何とかなるか・・・
果たしてろべえが出る直前に席まで辿り着いた。 気を揉んでも結局はこんなものなのである。

最近のネット情報を総じると小三治の体調不良が窺えたが、
高座に上がった師の様子はそんなに不調とも思えなかった。
花粉症に罹ってしまい、薬のせいで多少冴えないようなことはこぼしていたが。

そんな花粉症のことやら何やら、いつもの長まくらが続いたが、
取り立てて印象に残る話題ではなかった。

「 二人旅 」 はこれで三度目。
盛り上がりの無い噺ではあるが、旅の道中の会話が長閑な春の一場面のようで悪くは無かった。
「 茶の湯 」でもご隠居と定吉の他愛のない会話が楽しい。
顧みれば今回は他愛のない会話で終始長閑な空気感であったことに気づく。
そんな中、「 茶の湯 」 で定吉が旦那 (ご隠居の倅) は茶の湯の嗜みがあると言う場面がある。
ご隠居は仕事一筋、身を粉にし真っ黒になって働いて身代を築いたのだろう。
そして自分の息子には大店の跡継ぎとして不自由のない生活をさせたのだろう。
そんな息子は風流を楽しむことを覚えたが、
自分は隠居してみればする事がないほど仕事の虫であったと云うこと。
ちょっと見栄を張って茶の湯の心得があるように振舞っている老人の可笑し味と切なさが、
ご隠居の一言一句に滲み出て、人生の機微とでも云おうか、何となく琴線に触れるのだった。
そして目に浮かぶ隠居の姿はやはり五代目小さんのような顔の丸い穏やかそうな老人なのである・・・

はねて帰りはチンチン電車で町屋へ向かう。 走り出す時に本当にチンチンとベルが鳴る。
乗り換えて湯島へ。 女将の店に今週は山菜が入っているのを聞きつけていたのだ。
春野菜と山菜の天ぷらで飲む。 小三治をたっぷり聴いて、美味い肴で酒を飲んだ。
火曜日に仕事が一山越えて、心も落ち着き満ち足りた夜だった。
客足の引きが早く、閉店前に自分ひとりになってしまった。
女将との他愛の無い会話を楽しんで、こちらも後を引かずに気分良く店を出た。
今にして思えば、女将を口説いて一軒誘ってみれば良かった。 後の祭りである。


  1. 2013/04/05(金) 17:36:27|
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