七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

天使の分け前 - THE ANGELS' SHARE - 於 銀座テアトルシネマ

主人公は前科者の青年。冒頭は彼の傷害事件の裁判の場面から始まる。
裁判の10日後には恋人が出産予定、
弁護士は父親になる彼に更正のチャンスをと、酌量を訴える。

実刑は免れ、保護司の下で社会奉仕活動に従事する日々。
恋人は無事男の子を出産。
彼は嘗ての被害者を我が息子に置き換えて過ちを悔い、更正を誓う。

ある日のこと、同じく奉仕活動に従事するクセのある仲間たちと共に、
彼はウィスキー好きの保護司に連れられて蒸留所を訪れる。
そこでこの琥珀色の酒の魅力を知った彼は、
偶然にもテイスティング(利き酒)の類稀な才能を発揮するのだった。

やがてテイスティングの会に参加した彼はそこでも人々の注目を集める。
そしてその会で、既に廃業してなくなったメーカーの古い樽が偶然にも発見され、
高額なオークションにかけられるとの情報を手に入れる。
彼と仲間はそのヴィンテージカスクを何とか手に入れて、一儲けしようと一計を案じる。


angel's share
(C) Sixteen Films, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,
Urania Pictures, France 2 Cinema, British Film Institute MMXII


恵まれない家庭環境に育ち粗野な日々を送っていた青年が、
父親となり何とかまともな生活を掴み取ろうともがき苦しむ。
しかし悪い腐れ縁は断つことが出来ず、なかなか光明が見えない。
そんな彼の目に、1万ポンドの単位でウィスキーを競り合う人々はどう映ったのだろう。

ストーリーはシンプルだが社会風刺も盛り込まれて良い脚本だった。
世間的な見栄や値踏みでしか価値を判断出来ない金持ちと、
日常の親しみとして嗜む普通の酒飲みと、どちらが幸せであり豊かであろうか。
主人公のやり方はなかなか巧妙で、金満社会に一矢報いるところは観ていて痛快だ。

終盤に向けて思いがけない事が起きて、観ていて思わず息を飲んだ。
ちょっと下品で目を覆いたくなる場面もある。
派手ではないが思いの外、盛りだくさんである。

出来ればウィスキーづくりと云う魅力的な仕事と、
豊かな自然との関わりについてももう少し深く触れて欲しかった。
まぁ物語上、そこは拘るべき部分ではなかったので無理もないが。

酒を飲む幸せが人にあるように、
酒の方にもどんな人に飲まれるかで決まる幸せがあるのかも知れない。
凡庸な感想だが、そんなことを思ったりして。


  1. 2013/04/23(火) 23:59:36|
  2. フォト・キネマ・アートとか
  3. | コメント:0
<<シュガーマン 奇跡に愛された男 -Searching for Sugarman - 於 シネマカリテ スクリーン2 | ホーム | 『 入船亭小辰の会 その弐 ~春のコタツ~ 』 小辰独演会 於 日本橋ピッコロ / 平成二五年四月二一日>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

profile

 良速

Author: 良速
  
 
- りょうそく - と申します。
 
九山八海  花鳥風月
東奔西走  南船北馬
美酒嘉肴  羽化登仙
歌舞歓楽  一竿風月
謹厚慎重  天空海闊

そんな感じでまいります。

.......................

category

旅や野遊び (60)
演芸など (306)
フォト・キネマ・アートとか (152)
道具のたぐい (37)
飲んだり食べたり (4)
徒然なるままに (12)
序 (4)
未分類 (1)

comment

calendar

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

archive

counter

search form