七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

『 圓太郎商店 その18 』 圓太郎独演会 於 池袋演芸場 / 平成二五年九月三〇日

まぬけ泥 / フラワー
目黒の秋刀魚 / 圓太郎
厩火事 / 圓太郎

仲入り

猫の災難 / 圓太郎


九月前半までの忙しさに比べると下旬になって少し楽になってきた。
六時十五分と開演が早い圓太郎商店だが五時過ぎには仕事も片付いた。
30分前には会場入り、まだ席を選べる入り具合。
最後列の中央、固定席より姿勢の自由が利く折畳みの席に陣取った。
座ると程なく一番太鼓が鳴った。
久々に聞くドンドンドントコイ、金持ッテドント来イ。
二番太鼓までぼちぼち客が入り、結局は立ち見の盛況ぶりとなった。

先日の雲助蔵出しで遊一が演った「目黒の秋刀魚」を圓太郎で。
さすがに比べようがない。 秋刀魚が美味そうに焼けて行く。
焼きたての秋刀魚の様子から初めてそれを口にした殿の驚愕振り。
これを聴かされたら後の肴が必然と決まると云うものである。

続けて「厩火事」。
夫婦喧嘩をしながら結局は八五郎が好きで堪らない髪結のお崎。
圓太郎の演じ方、年上女房の心の機微がとても良く出ていた。
八五郎の皿を割って本音を引き出せと仲人の旦那。
それにつづく短い件でのお崎の戸惑いと不安がよく伝わって来た。
志ん朝のような色気はないが、圓太郎のお崎は十分魅力的であった。

トリ根多は「猫の災難」。
ここで鯛の尾頭が登場、刺身に塩焼きに煮付けと想像が膨らむ。
しかし最早、心は秋刀魚に取りつかれているのである。

はねてから地元に三つあるうち、一番谷側にある駅へ帰る。
踏み切り近くの、炉ばた焼きを謳う居酒屋の暖簾を潜る。
瓶ビールと焼き秋刀魚を頼んで、お通しのつくね汁で待つ。
噺の中では秋刀魚を直接炭火に突っ込んで焼く隠亡焼きだ。
そこで黒く長やかなるとなるのだが、こちらはガスの遠赤グリラー。
銀色の腹に程よく焦げ目がついて行くのがカウンター越しに見える。
やがて焼きたての鈍く光る長やかなるものが饗された。
熱々でチープーと音をたてて皮が動いているところに箸を入れる。
サクリと皮が破けフワッとした身から湯気と共にジュッと脂が染み出る。
これぞ醍醐味、背骨に沿って身を解す。腸の焼き加減も絶妙である。
秋刀魚と云えば白飯だが、今は手元にビール。
酒を飲みながら米を食う習慣がないので脂に攻め込まれる。
ビールで洗ってはやり過ぎの感あり。そこで冷奴を注文して箸休め。
秋刀魚の合間に奴を摘みつつ、冷める間もなく背骨と尾頭に平らげた。
満足まんぞく。この夜、寄席に居た何人が秋刀魚を食したことだろう。
まだ月曜。 中瓶1本と秋刀魚に冷奴で、早々に帰宅。


  1. 2013/10/01(火) 12:30:07|
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