七人の敵

男、閾を跨げば七人の敵と数多なる素晴らしきものごとあり。 都会から山河海島まで、外出先での徒然を。

『 明りを灯す人 』 -THE LIGHT THIEF-  於 シアター・イメージフォーラム スクリーン1

キルギス共和国、天山山脈の麓にある湖のほとりの小さな村。
アンテナの調節や電気の修理、時には貧しい家に盗電の細工まで施す“明り屋さん”と呼ばれる男。
村の人気者である彼には風力発電で村中に豊かな電力を供給する夢があった。

予告編を観て、魅力的な中年男性が牧歌的な村でファンタスティックな夢物語を紡ぐ話かと思っていた。


TLT


ところがストーリーは物質的には決して豊かではない僻地の集落が、
国の政情不安や国政選挙の計略、巨大資本の影に悩み怯えると云う背景の中で展開し、
家族愛や村の絆を描きながらも不安や物悲しさがついて廻る内容だった。

手作り風車で村中に明かりを灯そうとする明り屋さんの願う豊かさと、
村を国政選挙の票田としてしか見ていない若い野心家が中国の資本家と語る豊かさ。
本当に豊かな生活とは。 地域文化とグローバリズムの鬩ぎ合い・・・

この作品、現時点東京では1館のみ、全国でも2館でしか上映されていない。
それだけ我々には遠い世界の出来事であり、関心の薄い物語なのだ。

何かハートウォーミングなものを期待して足を運んだものの、そうした部分は脆弱にしか見えて来ない。
おそらくキルギス本国に於いては、社会的問題提起を擁した作品として扱われているのではないか。
そしてこの世界にはケースこそ違え、こうした社会背景を抱えた国や地域は五万とあると云うこと。

遍く世界には知らないことが多過ぎる。 我々は無知であり、目前のことに懸命である。

心用意とは随分違う感想を持ってシアターを後にすることになったが、
奇しくも貴重な体験を出来たと云う意味では、この作品は目っけ物だったなと思ったのであった。

観た後で知ったのだが“明り屋さん”を演じたアクタン・アリム・クバト氏、監督・脚本・主演であった。
朴訥な小父さんかと思いきや多彩な人なのだなと感心。


  1. 2011/10/17(月) 12:35:29|
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